ドローンが命を運ぶ。米Zipline社が血液輸送サービスを開始

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ドローンベンチャー Ziplineとは?

近年、ドローン業界では様々なベンチャー企業が誕生しています。

なかでも世界的に注目されている企業が「Zipline」という、アフリカ中部ルワンダ発のドローンベンチャーです。ドローンビジネスについて日々情報収集をしている方のなかには、この会社を知っているという方も多いでしょう。

「Zipline」はドローンによる物流で期待されているユニコーン企業です。ゴールドマン・サックスや、日本の総合商社である豊田通商の社内ファンド「ネクストテクノロジーファンド」が投資するなど、世界的に注目を集めています。
※ユニコーン企業:創業10年以内、評価額10億ドル以上、未上場、テクノロジー企業の4条件を満たす企業を指す。日本ではPreferred Networksなどが有名です

日本郵便の実証実験など、日本でもドローンによる物流については多方面で語られていますが、「Zipline」はドローンによる血液輸送をルワンダで実用化している点が評価されているようです。そうは言っても、「Zipline」がなぜここまで注目されているのか不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。

今回はその真相を掴むべくドローンによる血液輸送について、
・重要性
・今後の展望 の2軸にわけて解説します。

ドローンによる血液輸送の重要性

まずドローンによる血液輸送の重要性については以下の2点があげられます。

自動車よりも場合によっては効率的に血液輸送ができる

わざわざドローンを使わなくても、自動車などの既存の交通手段で血液輸送をすれば良いのではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。ですが、交通インフラの水準が低いと言われている国においては、ドローンを使って輸送することに価値があるのです。

例えば「Zipline」のドローンであれば最高時速80マイル(128.7km)で輸送することができます。先進国の都市部などでは高層ビルが立ち並ぶため難しいですが、開けた土地であれば最高速度で長時間飛行することが、ドローンであれば技術的に可能なので、自動車よりもスピーディーに輸送ができます。また、山頂などに輸送したい場合もドローンのほうが効率が良いと考えられます。

次に、輸送地点までの間にジャングルや湖などが存在している場合、迂回していると時間的なロスが発生しますが、ドローンであれば上空通過が可能なのでその心配はありません。離島などにおいても同様でしょう。

最後に、東京のような高層ビルが立ち並ぶような都市においても洪水や積雪、震災などにより既存交通インフラが使用できない緊急事態にはドローンによる輸送手段が選択肢として存在することは重要であると言えます

ドローンによる物流分野に転用できる

血液というものは管理が大変であることで知られています。実際に日本赤十字社のHPを見るとわかりますが、献血された血液の保存温度などの基準を厳密に設置していることがわかります。

つまり血液という管理が大変であるものを安全に運ぶことができれば、医療用品に限らず他の一般的な物資も輸送することが可能だと言えます。日本のみならずAmazonを代表とするEC(electronic commerce)の利用率は右肩増加しており、ドローンによる輸送は非常に期待されている分野です。

比較的難易度の高いドローンによる血液輸送の手法を確立することは、ドローンによる物流の実現に向けても価値があると言えるのです。

ドローンによる輸送 今後の展望

都市部での墜落リスクの可能性

ルワンダのような途上国では既に実用化されているとはいえ、先進国の都市部は非常に人口密度が高いため万が一墜落した際に起こる被害は大きいと予想できます。また都市部は高層ビルが立ち並びますが、その場合でもGPSをドローンが正確に拾えるのか別途検証する必要があるでしょう。

積める物資の量を更に増やせるか

ドローンを活用して輸送することで人件費を削減することができる一方、あまりに輸送効率が悪いと費用対効果が割に合わなくなってしまいます。そのためには1度の輸送でできるだけ多くの物資を積めるドローンが必要です。ちなみに、現状で「Zipline」の最大積載量は1.7kgであるそうです。

ドローンの制度設計

血液輸送するようなタイミングでは、血液以外に医薬品を輸送するニーズが発生しそうですが、その場合に薬事法に引っかからないのかどうかは現状グレーゾーンであると言えます。いずれにしても様々な規制がある日本においては今後も実用化に向けて様々な角度からの議論が必要なのは間違いありません。

編集後記

今回はルワンダ発のドローンベンチャー「Zipline」を参考にドローンによる血液輸送について解説しました。

ドローンによる血液輸送の意義はアフリカなどのインフラ未整備の国だけでなく、日本のような高層ビルが立ち並ぶ国においても重要であることがわかりました。

一方で課題点も少なくありません。今後もドローンによる血液輸送(医薬品の輸送)は議論が続くと予想できますが、途上国から順に、ドローンによる物流は広がっていくのではないでしょうか。
※執筆日(2020/02/25)




2020.03.02