アメリカ合衆国アーカンソー州に本部を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートがアメリカ中部ルワンダ発のドローンベンチャーZiplineと提携し、米国にてドローンでの配送サービスを2021年より開始すると発表しました。
ドローン配送サービスを2021年より開始
両社は2021年初めにアーカンソー州北西部にあるウォルマートの本社近くでドローン配送サービスの試験運用を開始する方針とのこと。担当者は半径50マイル(約80km)の範囲内で1時間以内に配送できる見通しだと述べています。このサービスは主に健康やウェルネス製品のオンデマンド配送を目的としているとのことです。
ドローンベンチャー Ziplineとは?
近年、ドローン業界では様々なベンチャー企業が誕生しています。
今回、ウォルマートと提携するZiplineは世界的に注目されているアフリカ中部ルワンダ発のドローンベンチャーです。ドローンビジネスについて日々情報収集をしている方のなかには、この会社を知っているという方も多いでしょう。
Ziplineはドローンによる物流サービスで期待されているユニコーン企業です。ゴールドマン・サックスや、日本の総合商社である豊田通商の社内ファンド「ネクストテクノロジーファンド」が投資するなど、世界的に注目を集めています。
※ユニコーン企業:創業10年以内、評価額10億ドル以上、未上場、テクノロジー企業の4条件を満たす企業を指す。日本ではPreferred Networksなどが有名です。
日本郵便の実証実験など、日本でもドローンによる物流については多方面で語られていますが、Ziplineはドローンによる血液輸送をルワンダで実用化している点が評価されているようです。
Ziplineは2016年末から現地で事業を展開。病院への血液パック輸送にかかる時間をドローン配送により大幅に縮小したことで注目を集めました。さらには複数の国で医療施設に20万個以上の重要な医療品を届けました。
ドローンで非接触配送を実施
2020年初め、Ziplineは米ノースカロライナ州の病院システムと提携を発表。医療用品などの非接触配送をドローンにより行うとすでに発表しています。
今回発表されたウォルマートとZiplineの提携は米国全土でのドローン配送の実現に向けた第一歩となります。ドローンで配送できる重量は約1.8kg、飛行速度は時速128kmで、注文を受けた商品は配達ボックに入れられ顧客のドアの前にパラシュートで投下される仕組みです。
アマゾンにつづく?!
ウォルマート社は2015年からドローン配送のテストに取り組んでいる小売大手のひとつです。手始めにノースカロライナ州で食料品や家庭用品を配達するドローンサービスプログラムを発表しています。
ウォルマート最大のライバルであるアマゾンも先月、米国でドローン配達をするうえでの米連邦航空局(FAA)の承認を得て試験運用を始めようとしています。
国内でもドローンによる配送サービスへの注目度が高まっています。日本はこれから少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少していくと予想されており、あらゆる業種での人手不足や高齢化社会が進むと言われています。
また、昨今の新型コロナウイルスの影響で不要不急の外出自粛が各都道府県で呼びかけられていることから、ドローンによる配送サービスは新たな買い物の形態としても注目を集めています。