ドローン前提社会カンファレンス【東京モーターショー・中編②】

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11月1日、東京モーターショー2019にて開催されたカンファレンス『ドローン前提社会を目指して』。公開済みの<前編><中編①>に続き、<中編②>レポートをお届けします!

【レポート前編はこちら】
【レポート中編①はこちら】

西沢 俊広さん(NEC<日本電気株式会社> PSネットワーク事業推進本部 マネージャー/ロボットエバンジェリスト)

「私たちNECは、航空管制システムや航空・空港ソリューションなど、有人航空機のインフラに50年以上取り組んできた会社です。

最近では、小惑星探査機『はやぶさ』のシステムインテグレータとしてシステム全体の設計、製作、試験、運用を担当し、『はやぶさ』が小惑星リュウグウへタッチダウンする際のレーザー開発にも携わっていました。

現在は、そのノウハウをドローンにも応用し、2020年度のレベル4実現に向けた運航管理システムの技術開発に取り組んでいます

運航管理システムの必要性

安心・安全で効率的に大量の無人航空機の運航を管理するシステムの実現
■ 目視外環境下での複数の無人航空機の空域の共有と相互の安全確保
■ 空域・空間や電波といった有限の資源の効率的な活用
■ 無人航空機による物流等のサービスによる省エネ社会の実現

「その一方で、環境整備面で必要となってくるドローン情報基盤システム(DIPS)の飛行情報共有サービスも弊社が開発しています」

「運航管理システムの構成は主に3つに分かれています。『運航管理統合機能』では飛行計画や飛行状況の情報を共有し、『運航管理機能』ではドローンのサービスを提供します。『情報提供機能』では気象、地図などの情報を提供し、これら3つの機能が連携することで、安全なドローンの運航を実現することができます」

【運航管理統合機能】

⇒飛行計画管理
■ 複数ドローン事業者の飛行計画を一元管理
■ 飛行計画の干渉、気象情報による荒天エリアの飛行等を自動でチェック
■ 危険と判断した計画は否認し、計画の見直しを要請

⇒空域情報管理
■ ドローンの空域管理に必要な情報(空域情報、有人航空機情報など)を統合的に管理する基盤を実現
■ 情報提供機能(ゼンリン)が提供する高精度障害物データを運航管理統合機能で活用するための技術を確立
■ ドローン事業者と空域管理関連情報を共有するAPIを提供

⇒飛行状況管理
■ 複数事業者の飛行中ドローン位置情報、速度、飛行進路等を一元管理
■ ドローン同士、ドローンと飛行禁止エリアおよび地表障害物との近接状態、飛行計画との差分を監視
■ 必要に応じて警報を運航管理機能に通知

「10月23日と24日の2日間、福島ロボットテストフィールドとその周辺空域において、運航管理システムの相互接続試験が行なわれました」

「試験には計29事業者が参加し、『運航管理統合機能』と『情報提供機能』においての相互接続を検証し、1平方kmに最大37機のドローンが同時飛行を実施。1時間で最大146フライトの飛行試験を達成しました

【参加事業者① DRESS-PJ外】
⇒|用途|機体数|特徴

■ワインディング福島
|農薬散布|1|長時間運用が可能
■eロボティクス福島 東日本計算センター
|気象観測|12|多数の機体の同期制御
■名古屋鉄道 中日本航空
|地形測量|1|レーザースキャナーによる高精度測量
■エアロセンス
|空撮|1|有線給電による長時間空撮
■ゆめサポート南相馬
|空撮|3|地域密着でのサービス提供
■日立農業制御ソリューションズ
|空撮|1|画像による航行ルート確認
■三菱重工業
|点検|長距離監視|1|高耐久性と長時間運用
■ALSOK福島
|警備|2|有線給電による長時間警備
■双葉電子工業
|点検|1|通信塔・プラント点検
■ANAホールディングス
|物流|-|API接続による検証参加

【参加事業者② DRESS-PJ内】
⇒|用途|機体数|特徴

■NTTドコモ
|災害調査|4|LTE運航管理機能による接続支援
■楽天
|物流|2|拠点間配送
■日本気象協会
|気象観測|1|ドローン飛行高度の風速等の計測
■KDDI / テラドローン
|警備|4|LTEによる警備映像伝送
■日立製作所 / 情報通信研究機構
|物流|5|無線中継による長距離運用
■SUBARU / 日本無線 / 日本アビオニクス / 三菱電機 / 自会制御システム研究所
|衝突回避の研究|2|研究開発中の衝突回避技術を搭載したシステムと運航管理システムの接続確認
■スカパーJSAT
|災害対応|1|衛星通信機能の搭載
■プロドローン
|物流|1|大型機体による重量物搬
|空撮|1|小型機体の運航管理システム接続
|シミュレーション|‐|汎用シミュレーターの接続検証
■エンルート
|災害調査|1|三次元地形モデル作成
■イームズロボティクス
|物流|1|液体搬送に向けた振動計測
■宇宙航空研究開発機構
|シミュレーション|‐|シミュレーションによる安全性などの評価

横山 敦史さん(株式会社日立製作所 ディフェンスビジネスユニット ドローン事業開発センタ部長代理)

「今日は『来たるべきドローン社会実装に向けた産官学連携と日立ドローンプラットフォーム(UTM、利活用サービス)のご紹介』と題し、日立っぽいドローンビジネスってどういうものだろうというお話をしたいと思います。実は日立は、全社をあげてドローンビジネスをやっている会社です

これは日立の新しいスローガン『POWERNG GOOD』です。日立といえば『Inspire the next』のイメージが強いという方も多いと思いますが、Inspireより地に足をつけていこう、あらゆる社会課題を企業や個人の枠組みを越えて解決し、世界中の人々のQoL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させる──そして、世界中の人々が望む“良いこと”すなわち“GOOD”を実現するために、さまざまなパートナーとともに全力を注ごう、という意味が込められています

「エネルギー、産業、モビリティ、ライフといった社会インフラビジネスは、『OT』と『IT』と『プロダクト』で成り立っていると考えます。それにあたってお伝えしたいことは、日立はITだけを売る会社じゃない! ということです。

OT=オペレーションテクノロジー、つまり業務のことですが、たとえば工場を例に考えてみたいと思います。なにかプロダクトをつくるとき、私たちがすることは、ただ単純に工場へ機械を売るだけではありません。

工場でなんの業務に困っていて、それをどう解決するか? 『じゃあ在庫にタグをつけましょう』『監視カメラをつけて、誰がどのスキルに向いているかを分析しましょう』といった具合に、課題を解決するためにデジタル技術を活用しながらソリューション、サービス、テクノロジーを提供する、その総称を日立ではLUMADAと名付けました。

つまり、今日お伝えしたいことは、ドローンを使ってこうした社会課題を解決したいということなんです」

「自動車って、工場でクルマをつくって、それをディーラーが販売しますよね。クルマに乗るには免許も保険もいりますし、車庫証明も必要です。さらに、道路や信号があるからクルマを運転できるわけで、道路などを取り締まる機関も必要ですし、車検だってあります。

この長い歴史の中でクルマ社会がつくられていったように、ドローンでも、これをつくっていかなければならないんです。ドローンはまさに、ルールと技術が両方あって成り立つビジネスだといえます

「でも、ルール形成って日立一社では声が通らないんです。そこで、こういったコンソーシアムをつくって、ドローンに関連する事業者みんなの意見を代表の鈴木先生(一般財団法人 総合研究奨励会 日本無人機運航管理コンソーシアム 代表:鈴木真二さん)が取りまとめ、それを国に対して発信するということをしています。

国も、いろいろな事業者の意見をまとめて伝えてくれると助かるし、事業者も国に意見を言える、まさにWIN-WINの関係なんですね。こうしたルール形成からのビジネス戦略を行ない、ドローンでルールをつくることで、私たちは何らかのビジネスをつくっていきたいと思っています

【日立ドローンプラットフォームの特徴】

■マルチドローン
お客さまの用途に応じた最適なドローン機体に対応

■Drone As a Service
お客さま業務を最適化するワンストップサービスを提供

■豊富な実証
お客さまとの協働による豊富な実証に裏付けられた利活用サービス

■運航管理システム
安全・安心なドローンの飛行を支援する運航管理システムの提供

「マルチドローンという観点では、弊社はどんなドローンも使えますよというのが強みとなっています。これは、まだ明確な業務が見えてない状況なので、業務ごとにいろいろなドローンを使いましょうというご提案ができるんですね。

もちろん、ドローンに夢中になってしまうと、業務システム全体として本質的に何が必要なのか? という観点を見失ってしまうと思うんです。だから、活用方法も一通りで終わらせないこと、ドローンはあくまでツールであり、業務が本質であるということ。

そのツールにIoTがあり、IoTの中にドローンがある──それが日立の目指すPOWERING GOODです

編集後記

運航管理システムの必要性や、ドローンのビジネス展開について熱く語ってくださったおふたり。このあとのパネルディスカッションでは、さらに踏み込んだお話をたくさんしていただきました。豪華著名人が白熱したトークを交わしたパネルディスカッションのようすは、近日中に<後編>レポートとしてお届けします!

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2019.12.05