ドローン前提社会カンファレンス【東京モーターショー・中編①】

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11月1日、東京モーターショー2019にて開催されたカンファレンス『ドローン前提社会を目指して』。11月12日に公開した<前編>に続き、今回は<中編①>をお届けします!

<前編>の記事はコチラ▼

ドローン前提社会カンファレンス【東京モーターショー・前編】

ドローンに関する各社の取り組み

博野 雅文さん(KDDI株式会社 経営戦略本部 次世代基盤整備室 グループリーダー)

「私たちは、モバイル通信を使ってドローンの事業化を進めていくということに取り組んでいます。通信の世界では、3G、4G、5Gと10年スパンでアップデートされてきましたが、4Gが世に出て10年経つ今年は令和元年であると同時に“5G元年”でもあるんです

【5Gの特徴】

■高速・大容量⇒4Gと比較し、20倍の通信データ量

■低遅延⇒1/10のタイムラグ

■多接続⇒10倍の接続デバイス数

5G領域において、私たちKDDIは国内最多の基地局を開設する計画を立てています。まずは2021年度に1万局超え、そして2023年度には5万局を超える基地局を全国で展開します。

また、当面の間は4Gと5Gを合わせて使っていただきます。ピカピカの4Gと、スペシャルな5G。これをミックスさせ、高速大容量を活かした体験価値の向上を提供します。私たちは、『スマート工場』『自動運転』『遠隔医療』『ドローン』『遠隔操作』を5Gユースケースと位置づけ、スマホだけでなく、あらゆるモノに通信が溶け込んでいく未来を期待しています

「制御できるエリアが限られた従来のドローンは、効率的な運用が難しい状況です。そこで、ドローンを4Gと5Gのモバイル通信に対応させることで、ドローンの遠隔監視および制御・クラウド連携を実現させていきます。

モバイルネットワークにつながり、自ら動き、人を助けるドローン。私たちはこれをスマートドローンと名付けました。

回の東京モーターショーでは、ドローンレースにおいて、高画質な映像配信や4Kリアルタイム中継による5Gプレサービスを提供しています。

また、山岳登山者見守りシステムをはじめ、さまざまな実証実験も行なっています。さらに、機体通信だけでなく、機体を制御するための運行計画などもプラットフォームとして提供していく予定です。

人がいないところでドローンを自律飛行させる目視外飛行──それが、スマートドローン事業のコアだと考えています。

さらに、KDDIでは『通信』『機体』『運航管理』『気象・地図』──これらのプラットフォームを活用し、スマートドローンの適用領域を『監視・警備』『点検』『測量』『農業』『物流』『エンタメ』へと拡大していきます

■「監視・警備」…広域監視ソリューション
〇LTE活用ソリューションとして、災害時の状況確認、河川監視等へのニーズ高
〇更なる効率化・ニーズ拡充に向け、画像認識によるリアルタイム物体・人物検知を早期実現

■「点検」…鉄塔点検ソリューション
〇ドローンによる鉄塔点検ソリューションを、19下期より自社鉄塔に対して適用中
〇鉄塔3次元モデル上で点検箇所を指定し、専用ドローンでピンポイント撮影

■「物流」…ドローン物流の社会実装
KDDIの信頼性の高いネットワーク網×PRODRONEの最先端テクノロジーを組み合わせ、離島・中山間地域のローカル物流/災害時対応から都市部の拠点間配送へ

■「エンタメ」…ドローンレース×au 5G
FAI(国際航空連盟)公認ドローンレースで5G提供
新たなライブ・エンターテインメント観戦体験を提供

矢野 裕さん(名古屋鉄道株式会社 取締役 常務執行役員 経営戦略部長)

「今日は、鉄道会社が進めるドローン活用についてお話したいと思います。当社は全日空さんが前身会社である日本ヘリコプター輸送の時代から協業したり、グループ企業である中日本航空で航空機の運用を行なったりと、鉄道会社でありながら空と深くかかわってきた会社です。

航空機が世間に浸透してきた頃、世の中では新幹線不要論が沸き起こりました。しかし、そこから一転、現在、新幹線はビジネスにおいて確固たる地位を築いています。私たちは、そうやって航空機や新幹線が定着していったように、ドローンも、規制の強化と緩和を経て発展していくと考えています。
ドローンは、現在、『空撮』『農薬散布』『測量』ぐらいしか市場ができていないんですね。たとえば、橋梁点検なんかは物凄い人手とコストがかかっているのに、GPSなどさまざまな課題があって実装に至っていないんです。

これをビジネスで展開していくためには、点検にかかわる法律が必要になってきますし、安全面の確保や採算性からも、まだ実験の域を出ていません。本日は、これらの課題を解決していくことを前提に話をしていきたいと思います」

名古屋鉄道×ドローン前提社会

①ドローンによる現サービスの代替

②ドローン周辺ビジネスの発展

③ドローン前提社会におけるインフラ整備

「農薬散布では、無人ヘリが2005年に有人ヘリを上回り、現在ではほとんどのケースで無人ヘリが使用されるようになりました。有人機パイロットが不足傾向にあるという問題もあり、今後は有人機がドローンに置き換わる時代がやってくるのではないでしょうか」

「先ほど千葉さんがおっしゃっていた、自動車産業がドローンにとってメタファーになる、というお話に共感しました。

当社はコインパーク(名鉄協商パーキング)を運営しており、おかげさまで中部ではシェアナンバーワンをいただいていますが、今後はコインパークがドローンポートへと発展していくのではないかと考えています。また、車体整備はドローンの機体整備に、自動車学校はドローンパイロットの養成にとつながってくると思います

「確かに、道路と違って空には渋滞がありません。でも、いま空が空いてるといっても、一度にたくさんのドローンを飛ばしたら事故が多発してしまうと思うんです。そうならないために、管制システムや空路の設計が大事なんですね。

そんな当社の取り組みとしましては、福島ロボテストフィールドの実験に一般企業として参加したり、名鉄ドローンアカデミーを運営したり、グループ会社の中日本航空でUAVレーザ測量のサービスを展開していたりします。

また、A.L.I. TechnologiesさんやPRODRONEさんといったベンチャー企業と協業し、ドローンの発展に寄与しています」

河野 雅一さん(株式会社プロドローン 代表取締役社長)

当社は、知財の獲得を重要視しています。産業用ドローンというものは、特許で守られなければならないんですね。世界中で“ヨーイドン”で始まった市場だけに、獲得競争が世界中で起こっているというのが現状なんです。そのなかで、当社は『主に他社で開発不可能であった案件を中心に受託開発』していることが特徴です。

産業用ドローンの運用に重要な5つの要素に『産業用ドローン基本特許』『高性能・高機能な機体の開発』『機体制御ソフト開発』『運用サービスソフト開発』『現場フライヤー役務提供』がありますが、当社はこれらすべてをワンストップで提供しています。これにより、日本のドローンメーカーとしてトップの特許数を誇るまでになりました。

そこで、私が本日伝えたいポイントは、この3つです」

1.ドローン配送、本当は長距離拠点間配送が一番向いている。

2.ドローンによる300km配送は実現可能。

3.将来、ドローンによる全く新しい無人配送のプラットフォームが生まれる。

災害現場って、ドローンが一番向いているんです。30km、50kmと指定した場所にピストン輸送する──この形態にはドローンが向いているんですね。私たちはすでに20km程度は飛ばしていて、今後もっと一般化させていきたいと思っています。中長距離──200kmくらいなら十分に行けると考えています。

また、当社は航空機やヘリコプターの無人化に務めています。ゼロからドローンを作るよりも、今ある航空機を無人化するという動きは、ボーイングをはじめ世界中が取り組んでいます」

「ドローンって、飛行効率がいいんですよね。当社は、ガソリン・ヘリコプター型を使って200kmを飛ばそうとしています。バッテリーをエンジンに置き換えて飛ばしているんですが、すごく安定しているし、燃料を積むと1時間でも2時間でも飛ぶんです」

©PRODRONE

「そういった現状において、当社は、三重県志摩市・愛知県蒲郡市・静岡県御前崎市・KDDIさんとの実証実験協定を9月に締結し、長距離飛行が可能なシングルローター型ドローンの開発を担っています

「ドローンで300km配送ができれば、名古屋から首都圏ぐらいまでの距離や、北海道のほぼ全域をカバーできるようになるんです。当社は現在フェーズ1として、5kgの荷物を搭載し、時速70km以上で1時間の自動飛行ができる機体の開発に取り組んでいるところです」

プロフライヤー(画像)
「ドローン飛行の最前線にいて何が一番困っているかというと、『必ず現地にオペレーターがいなければならない』ということなんです。でも、4Gと5Gを駆使した目視外飛行を行なうことで、現地までオペレーターが行かなくても遠隔地からオペレーションが可能になります

「こちら(画像)はフライトセンターのイメージですが、一人用の操縦席は主に物流用、二人用の操縦席は主にロボットアームを使用した作業用です。こうしたフライトセンターを全国に何箇所か作りたいと考えています。
このシステムが定着すれば、自己完結型の配送システムが可能になり、個人がドローンボックスに入れると宅配ができるCtoCのドローン配送インフラができあがる可能性も十分にあると思っています

編集後記

4G・5Gのモバイル通信を活用したドローンの遠隔操作による適用領域の拡大や、クルマの発展になぞらえたドローンの発展イメージ。わくわくするお話をたくさん聞くことができ、ドローンが人々の生活に根付いていくことを予感させられました。ビバ!ドローンでは、<前編><中編>に続き、カンファレンスレポート<後編>を近日中に公開します!

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