ドローン前提社会カンファレンス【東京モーターショー・後編/パネルディスカッション】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

<人気記事リスト>

11月1日、東京モーターショー2019にて開催されたカンファレンス『ドローン前提社会を目指して』。公開済みの<前編><中編①②>に続き、締めとなる<後編>レポートをお届けします!

【前編レポートはこちら】

【中編レポート①はこちら】

【中編レポート②はこちら】

パネルディスカッション

5時間に及ぶカンファレンスのトリを飾るのは、豪華登壇者によるパネルディスカッション。TMI総合法律事務所の新谷さんと内閣官房参事官の長崎さんをファシリテーターにお迎えし、各登壇者の講演内容を掘り下げたり、ドローンのリアルな現状を語っていただいたりと、とても実りあるディスカッションとなりました。

■ファシリテーター
新谷 美保子さん(TMI総合法律事務所 弁護士)
長﨑 敏志さん(内閣官房 小型無人機等対策推進室 参事官)

■パネリスト
鷲谷 聡之さん(株式会社自律制御システム研究所 取締役 最高執行責任者/COO)
柴田 巧さん(株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク 代表取締役社長)
博野 雅文さん(KDDI株式会社 経営戦略本部 次世代基盤整備室 グループリーダー)
西沢 俊広さん(NEC PSネットワーク事業推進本部 マネージャー/ロボットエバンジェリスト)
横山 敦史さん(株式会社日立製作所 ディフェンスビジネスユニット ドローン事業開発センタ部長代理)
南 政樹先生(慶應義塾大学 ドローン社会共創コンソーシアム 副代表)

ドローン+他技術を組み合わせる未来

新谷さん
「今日お話を聞いていて、ついに空というものが埋まるんだという実感が湧いてきました。船があって鉄道があって自動車があって飛行機があって、ロケットがあるのに、空の産業革命はこれまで空いていたじゃないかと。エアモビリティが次に来る産業なんだなということを私がきっと一番わくわくドキドキしながら聞かせていただいたように思います。

今日は非常に豪華なパネリストの皆さんに登壇いただいておりますので、ひとりずつちょっとだけ違う質問をさせていただきたいなと思っています。

最初に鷲谷さんからお伺いしたいのですが、先ほど『なにができて、なにができないのか』『現実が見えてきて市場が伸びた』という、とても地に足のついたお話をしてくださいました。もし、ドローン前提社会の理想像や、こんなことやあんなことができる、一番わくわくできる未来像とは、どんなものでしょうか?

鷲谷さん
「とても難しい質問ですね!(好きに話していただいて大丈夫です、との新谷さんのバトンを受けて)では好きに話させていただきますと、当社は自律制御システム研究所といいまして、会社名に“自律”というキーワードを入れているんですね。

自律=自動で人が操縦しなくてもドローンが飛ぶ世界がやってくるという、空という世界は素晴らしいということを語っているんですけど、いつも僕が忘れてはならないなと思っているのが『すべてがドローンで解けるわけではない』ということなんです。というのも、物流という領域で考えたときに、必ずしもドローンが効率がいいかというとそうではないですよね。

たとえば、いま自動運転とかいろいろな取り組みがありますので、自動車でいったほうがいいというルートも必ず出てくると思うんです。

では、どういう領域ならドローンが最大の効果を発揮できるか? たとえば、川を渡るとか、山を渡るとかは、あきらかにドローンのほうが効率的なんですよね。一方で、渋谷のど真ん中を走るなら自動運転のほうが効率的かもしれない。

もちろんドローンの素晴らしさもありつつ、ほかのいろいろな技術を組み合わせたらどういう世界になるのかなというのを、いつも僕は妄想して楽しんでいます

ドローンシェアリングでBtoCが楽しくなる!

新谷さん
「次に柴田さんにお伺いします。先ほどインフラのコスト削減についてとても熱く語っていただき、お話にすっかり引き込まれてしまいました。BtoBのお仕事をたくさんされていると思うのですが、動画に登場したコンシューマーベネフィットや、社会をどう変えるか、といった未来志向の観点では、どういったサービスをお考えですか?

柴田さん
コンシューマー向けにワクワクするものでいけば、シェアリングプラットフォーム的なものがあればわくわくするなと感じています。たとえば、ドローンってお店で買ってこなくちゃならないし、スマホやプロポで運転しなくちゃいけないんですよね。結構僕にとってはハードルが高くて、よく落とすし、お金もかかるし。

でも、ジャパンタクシーみたいなスマホアプリがドローンにもあれば、釣りや運動会、サーフィンなんかで映像を撮ってくれたり、警備や点検をやったり、細切れかつかんたんにドローンを使っていけると思うんです。そんな社会がくると、BtoCのマーケットはもっと楽しくなるなと思います

エンタメも!医療も!5Gが運んでくるドローンの未来

新谷さん
「博野さんにお伺いします。講演では、5Gの未来とスマートドローンプラットフォームというお話をいただきまして、非常におもしろかったです。エンタメへの利用って、ほかの会社にはなかった手法だと思いますが、今後、将来を見据えてエンタメ利用にどういった広がりがあるのかを教えていただけますでしょうか?

博野さん
明日のドローンレースで、我々は5Gを乗せて俯瞰的な映像で4Kの映像を配信するということをするんですけど、これは超低遅延の映像配信になっています。通常、ドローンというのは5Gとかの通信、4Gでもそうなんですけど、無線の遅延ってそんなにないんですね。

映像伝送で一番ネックになるのがコーデックの部分で、そこで1秒、2秒とかかってしまうのが普通なんです。今回、我々が行なっている5Gの映像伝送では、コーデックの部分を極めに極めまして、超低遅延の映像伝送を構築しました。これって結構画期的というか、いろいろなユースケースがあると思っています。

やっぱり遅延というのは、ヒトのストレスとかに非常につながってくる部分ですし、ここまでの低遅延であれば、やっぱり医療などの分野にも活かせるという面での可能性はあるかなと感じています。超低遅延のユースケースというのは、やっぱりエンターテインメントやさまざまなビジネスでも利用できると考えています。

我々はデジタルゲートというオープンイノベーションをパートナーの皆様とつくりあげていまして、そこに設置しているのが医療の低遅延性を確かめるシステムというのをつくっておりまして、4Gと5Gですと、4Gは急に針が動いてしまって医療分野ではつかえないんです。

でも5Gの低遅延性によって、そこが実現できるというのがシステムから見えているので、我々はそういった低遅延性も活かしていきたいと考えています

運航管理を握るカギは、事業者間の調整にあり

新谷さん
「次に西沢さんにお伺いします。運航管理の実証実験のお話にすごく感銘を受けたのですが、あれって大変なとりまとめだったのではないかと思います。あのプロジェクトはどのようにして実現できたのでしょうか? 大変だったことや、どうやってあのようなビッグネームが集結したのかなど、可能な範囲で裏話をお願いします」

西沢さん
「守秘義務があって言えない話が多いのですが、飛行計画を調整するのというのはやはり非常に難しかったです。システムがどこで干渉しているかを皆さんにお知らせして、事業者間同士で調整するというところですね。

そこがやはり実証実験の間も、海岸エリアとかいろいろなところで干渉がどうしても起きてしまうんです。それを解決するのに事業者間の調整がひとつの大きな課題だなと感じました。

いまは運行管理統合機能が『干渉しています』とお知らせするまでがいまの仕事なんですけど、それをしっかり調整するところまでやらなければならないなと感じたのが今回の気付きというか、薄々感じていたところですね」

日本のドローンが世界で勝つために、国際標準化の舵を取る!

新谷さん
「横山さんにお伺いします。先ほど国際標準化のリーダーを取られていると言うお話がありました。国際標準化というのは、ほかの産業……たとえば物流などでもとてもポピュラーになってきていると思うんですけど、国際標準化のリーダーを取ったとしても、さらに産業界で勝たなければいけない、日本が先頭を行かなければならないということだと思うんですね。

国際標準化というのはみんなでルールを決めていくわけですが、そこについて御社はどんなスタートダッシュをかけようという戦略を持っておられますか?

横山さん
国際標準化って基本的にオープンな場ですので、別にそこで優位性があるわけではなく、オープンな場でありつつクローズなところも盛り込んでいく、そこが標準化の難しいところだと思っています。

国際標準への感想的なものをお伝えしますと、正直、空の世界というのは非常に硬いんです。国際標準を空の世界のオーソリティー、それこそICAOやFAAとか、そういった人たちが出てくるといきなり厳しくなります。

ですので、国際標準の時間軸というのは、時間がかかりそうかなという感触がありつつも、そこに出てくる方たちはすごいベンチャーの方たちがいっぱいいてですね、すごい勢いで世の中を変えようとしています。国によっていろいろ規制の度合いが違うので、ドバイとかオーストラリアとかはわりと緩いほうで。

私の経歴で申し訳ないのですが、私はテレビをやってきて、通信をやってきて、これは正直にいって日本が負けたと思っています。千葉さんのお話にもありましたけど、ドローンでは勝ちたいなと、やっぱり。日本として。勝ってみたいなと思っています。

国際標準化というのも、弊社で勝つんじゃなくて日本としてドローンで勝っていきたい。日本が強くなっていくためにどうしたらいいか、そういった視点で皆さんにとって有益な国際標準化を進めていけたらなと考えています

レベル4実装のポイントは、社会受容とのさじ加減

新谷さん
「では南先生に、アカデミアの立場から伺いたいのですが、2022年までにレベル4という話がずっと出ていますが、社会実装に向けて、本当の一番の参入といいますか、一番難しいところというのはなんでしょうか?

私は法整備と技術開発、皆さんがおっしゃっているので両方気になっているんですが、いまドローンビジネスというなかでの本当に一番大変な、乗り越えなければならないポイントは、先生の目から見てなんだとお考えですか?

南先生
技術はたぶん、日進月歩どんどん進んでいきますよね。でも、それに対してどれぐらい技術側に寄せたルール形成をできるかというところ、このさじ加減が非常に難しいと思うんです。

たとえば、無人で人の目が届かないところへ行ったときに、その目が届かないところで撮影されている映像がどのぐらいまで許容されるのか、とか。どれぐらを基準にするとそれを許容してもらえるのかというところがあるんです。

今日社会受容性の話をしましたけど、社会受容ってまさにそこで、要はこれくらいの技術でいったらうまくいくんじゃないかなというさじ加減が難しいなって思います。たとえば、自動車の例で考えると、公道を走った最初の自動車が事故を起こしたというのは有名な話で、あの件で、要するに事故が起こったら検証をしなければならないという話が出たんですね。

日本の運転免許制度って、別に国がつくったわけではなくて、最初につくったのは愛知県なんです。愛知県で始まった制度がやがて国家までエスカレーションしていったという経緯があるんです。

それは新しいもの──たとえば、それまで道の幅が狭かったときに、車が通るために道を広げなきゃいけない。というふうに、段々と車の受容性が高まっていくことで世の中が変わっていったという経緯があるんですね。

アメリカなんかは、クルマをいち早く使っていたのはそういった理由があるからなんです。イギリスで遅かったのは、事故が起こったときにイギリスで事故が起こるのは困るということで赤旗法っていう法律をつくったんです。

こういうさじ加減が僕は大事だと思っていて、2022年に向かって、僕らが一番気を付けなきゃいけないことだし、努力しなきゃいけないことだと思います。なので法律家の方のご意見も凄く大事だと思っています。よろしくお願いします」

意見交換で見えてきた、ドローンに対する千差万別のイメージ

新谷さん
「というところで長崎さんにバトンタッチしたいと思います。長崎さんに教えていただきたいのは、社会が許容するためには、やっぱりさっきおっしゃっていた衝突とか、墜落とか、そういったときどうするの? ていう社会の不安を解消するならやはり政府がやっていただける部分が自動車産業でもあったはずですので、ドローンにもそれがあるんじゃないかなと思っています。

たとえばですけど、許認可を出すときに厚生保険をつけてみるだとか、初期の安全性が確認されるまでは保険のカバーを超えた範囲には政府がある程度まで補償しますと言ってみるだとか、いろいろな方法で産業を大きくしたいとなると、それこそセンスも問われる施策が出てくると思うんですけど、長崎さんはどのようなプランでいらっしゃいますか?」

長崎さん
「先ほどの南先生のお話は非常に耳が痛いものなんですけれど、さじ加減って役所が一番苦手なんですよね。たとえば、いま安全基準であるとかさまざまな検討会をやって民間の方々と意見交換をすると、それぞれのイメージしているバックボーンが違うんですよね。

純粋に、ラジコンとまでは言わないんですけれど、ドローンを飛ばすこと自体に凄く面白みを持ってそれ自体が目的になっておられる方と、そうじゃない、もっと経済的な目的を持って活動されたい方、はたまた『わけがわからないもの』『不安なもの』というイメージを持っておられて、保険のみならず『基準をバリバリ飛行ルールもバリバリにして、なかなか飛べないようにしてくれ』とおっしゃる方もおられる。

となると、そこのせめぎ合いを2022年に向けて我々がやっているというのが現実です。そういった意味では、南先生のおっしゃることがよくわかります。

新谷さんからのご質問でいうと、我々はドローンを飛ばすんだったら保険の加入をお願いしたいと思います。そうなると、いま民間が受け入れてくれる保険っていうのはどんなものがあるのかと考えたときに、値段なのか、カバレッジなのか、加入条件なのか、いろいろな問題があるんですよね。それをマッチングしながらお話をしていきたいです。

一方で、車と違ってドローンが凄い楽だなと思うことがひとつあって。車の場合、ある事故が起きたときに凄く複合的な要因が絡み合うことが多いんですね。たとえば、交差点の対向車であるとか、歩行者が飛び出してぶつかっちゃったとか、スピードの出し過ぎとか、いろいろあるんです。それで、いつも面積だとか過失割合が2割・3割だとかそういう問題で揉めるんですよね、人身だ、対物だとか。

でも、ドローンの場合は少なくとも対被害者との関係において楽なんです。下にいる人のところにドローンが落ちてきて当たりましたとか、家に落ちてきて屋根が壊れましたとなったときに、被害者──人であるとか家の家主とかが自分が悪くないという説明をする必要がないんです、基本的に。落ちてきたんだから。

あとは、操作した人が悪いのか、機体が悪いのか、そう問題はあります。でも、保険というのを被害者に対する賠償責任であると捉えるならば、結局加害者は特定されるわけですけから、保険商品としてはかなり楽なんですね

点検・物流・災害分野でドローンの需要は着実に伸びている

長崎さん
「皆さんにぜひお伺いしたいのが、法整備と技術が両輪だとよくいいますけれど、我々役所からすればもうひとつの懸念があって、絵姿──どの場面を想定して技術や法律をつくるのかという、共通の土台を凄く組みにくいところでもあるんです。

皆さまが持っているドローンで2022年にできることを想定し、基準であるとか法整備を考えるのがいちばんの近道じゃないか、まずそこから始められるんじゃないか、ということがあればぜひそれを教えてほしいんです。物流だとか災害だとかいろいろあるかと思うんですが、2022年に向けて、どういった場面を想定して我々にそれを描いてほしいのかというご希望があればぜひお教えいただけないでしょうか。

鷲谷さんはどういった希望で安全基準とかですね、我々も200~300gのドローンに対して安全基準をバリバリにしてですね、それで法整備ができたとかそういうことを言うつもりはなにもないので、経済活動として活用されるドローンを念頭に置きながら、安全基準やさまざまな制度を設けていきたいと思うんですけれども、どのあたりが2022年ターゲットになってくると思いますか?

鷲谷さん
「すごく重要でおもしろいポイントについて尋ねていただいたと思っておりまして、基本的につくる側、我々サービス側もそうなんですけれども、エンドユーザーに需要があるかどうかが重要だと思っています。

需要のないところに企業として投資することはできないですし、逆にいえば需要のあるところには普及も早まっていくので、法整備に着手するとなると規制もかけなきゃならなくなる分野だと思っています。

私は確たる答えがあるわけではないんですけれど、手応えとしては点検分野、次に物流、そして災害というところは、市場とニーズが確実にあって技術的にもある程度応えられる見通しがたっていて、あとはそれらがどうやって規制とともに水準をあげていけるかっていうふうに考えています

長崎さん
安全基準で見ていくと、物流であるとか災害であるとか、分野ごとに安全基準が違うと思うんですね。物流というのは物を運ぶわけですから、ある程度重量に付加を置いて飛ぶドローンですね。

一方、災害で考えていくと、どちらかといえばどこで被害があるだとか、重さの問題よりもカメラとかに重きを置くことになると思います。もうひとつは、ヘリの時も問題になると思うんですけど、どこかで災害が起きると各社のヘリがわーっと飛んでいくわけですね。これはドクターヘリが飛ぶときにプレスのヘリが邪魔で仕方がないという問題もあるわけですね。

これはドローンにもいえることで、災害でドローンを使われるようになってくると、自治体やプレスがわーっと飛んでくると、飛ぶことの技術よりもUTMの運航管理をどう設けるかということなのかもしれない。

ですから、逆にいえば、安全基準なんかは物流を念頭に置き、UTMは災害をイメージしながらやっていくということもあり得るかもしれないですね

悪意に対するセキュリティ対策が次なる課題

長崎さん
「西沢さんはどうでしょう?ほど横山さんがおっしゃったように、基準化となると社会実装や芸術面などで、ドローンにおいて我が国が先見性を示せる分野だと思うんですけれども、UTMはどのあたりに絵姿を置けばよろしいでしょうか?

西沢さん
「UTMについてなんですが、実はいまの世の中には正直いらないんですよね。『鶏が先か、卵が先か』なんですけれども、UTMというのは高密度でドローンが飛ぶ時代になったら必要になってくるシステムであって、まばらに飛んでいるうちは、実はいらないシステムなんです。

我々の絵姿でいえば将来、物流においてドライバー不足などの社会課題をドローンが解決していく、そのときが一番台数が飛ぶところだと認識してるいんですけど、そこまでの時代がやってきたときにUTMが必要になってくると思っています。

まだクルマが少ない時代に、高速道路をつくるのにすごい予算をかけていたわけですけど、いまUTMはまさに経産省から多額の予算をつけていただいて取り組んでいるところなんで、本当にありがたいことです。

ここ数年間取り組んでいることは、性善説に基づいた運航管理といえばいいでしょうか。基本的にルールに則ってみんなが使ってくれることを前提に運航管理システムを設計しています。当然悪意がある人がどう使うかだとか、セキュリティ対策どうするかだとか、我々としては課題のリストは挙げていて、将来取り組む課題として置いております。

なので、2022年まで残り約2年、ここでセキュリティなどの課題を社会実装に向けて取り組む必要があると感じております

長崎さん
「いま悪意のある方というのがお話にあがりましたけど、我々自身もすごく問題意識を持っているテーマでありセキュリティーにも絡んでくるんですけれど、ドローンの乗っ取りや、不法に許可なく飛行したり、許可をとった方だけが飛んでいるところに乱入していったり、そうなったときにUTMをどうするかとかということにもすごく問題意識を持っています。

乗っ取りに関してKDDI博野さんにお聞きしたいのですが、5Gなどの電波・通信において、この分野で新たな技術とか、我々がドローンの安全を意識した上で考えていくことってあるんでしょうか?

博野さん
「非常に難しいご質問なんですけども、ご指摘いただいたリモートIDの議論は確かに進んでいるところで、機体の認証をしていかないとパブリックセーフティという観点での制御はできないというところがあります。

LTEに関しては、SIMという非常に堅造な情報セキュリティの高いものをもとに通信しているのがセルラーフォンですので、そういう意味でもセルラーのセキュリティ性は高いと思っておりますので、機体認証という点では非常に親和性が高い技術だと思っています。

これが5Gになってどうなっていくかについてはまだまだ議論が必要な部分なんですけれども、セキュリティ関連でも必要に応じて標準化が進んでいくんじゃないかと思っています」

海外進出に向けたそれぞれの想い

新谷さん
「最後にひとつだけお答えいただきたいのですが、海外進出についてはどのように考えていらっしゃるのかを伺いたいと思います。もちろん、国内法があって国内で飛ばすということではありますが、機体をつくれば海外に売ることもできますし、国際戦略では先ほど知財の観点からも発表がありましたが、とても日本が世界的にグローバルに勝つには大事なところかと思います。

もしこの場で、少し国際的な見解をご発言いただける方がおられましたらお願いしてもいいでしょうか」

南先生
「さっきリモートIDの話が出ましたけど、リモートIDの議論のなかで日本の声が聞こえてこないという議論が凄く多くて、ちょっと僕らとしては残念だなと思っています。たとえばいまインテルさんがOpen Drone IDとかに取り組んでますけど、そういう議論を投げかけたことが日本ではほかから聞こえてこないいうのが凄く海外で課題になっていると聞いています。

なので、いろいろな展開の仕方はあるんですけれども、今日ここにいるみんなとの気持ちをあわせたいので、これからは国際展開頑張るぞみたいな感じでいけたらいいなと思っています。今日千葉さんが課題先進国とおっしゃってましたけど、ありとあらゆる事例をすごく丁寧に作りこむっていうことに関しては、僕は日本は作りこめてないなと思っています。

なので、たとえばアジアの国々に対して農業用ドローンを輸出するであるとか、そういったチャンスはたくさんあるはずなので、ぜひ皆さんの期待というか決意をお聞かせいただけるといいなーと思っています」

博野さん
「いまの南先生に対する回答になっているかどうかはわからないんですけれども、ひとつ我々が取り組んでいるものとしては、この運航管理システム、我々が開発した部分をですね、韓国のモバイルキャリアと連携するという形で業務提携を結んでいます。

どういった業務提携かというと、運航管理システムとアプリケーションのインターフェイス、それから運航管理システムと機体を接続するための通信モジュール、これを共通化していきましょうという話をしています。

こうすることによってアプリケーションも相互利用できますし、通信モジュールも共通化することでいろいろな機体が接続できる環境ができるという観点で、プラットフォームとしては非常に意義がある取り組みかなと思っています。

なにがいいたいかというと、我々がこのプラットフォームというのが、海外の事業者とアライアンスをすることで日本の運行管理システムを広めていくことにもなるということにもなると考えておりまして、我々はそういう意味でも海外事業者とのアライアンスを進めていきたいと考えています

西沢さん
空港システムの分野ですと、アジア圏にNECのシステムが結構入ってきております。そういう意味では運航管理システムも世界ではアメリカ勢とか欧州勢とか各国の市場によってシステムがつくられていますが、運航管理の統合部分についてはNEC、日立、NTTデータでパッケージ化しててですね、アジア諸国にしっかり収めていけるような、そういうパッケージができればいいなと考えております

新谷さん
「では今日は、機体でもインフラでもアジア全部とる、ぐらいの勢いで皆さんで目線を合わせたということにさせていただきたいと思います。今日は官民が協力して技術開発をして、災害とか人口減少とか、そういう社会課題にダイレクトにきくドローン産業について一日学ばせていただきました。

当然のようにドローンが空を飛んでいる近い未来がとてもよく見えたような気がします。新しい産業が巣立っていくことにワクワクを感じております。今日は長い間どうもありがとうございました」

閉会の挨拶

パネルディスカッション終了後には、株式会社A.L.I.Technologiesの代表取締役会長・小松周平氏が登壇し、閉会の挨拶を行ないました。

「今日は皆様、ドローン前提社会に向けてこの場でディスカッションをしていただき、また一歩、ドローンをしっかり社会実装していく世界に近づいたんじゃないかなと思っております。

冒頭で今枝先生もおっしゃっていましたが、やはりクルマの発展の歴史というものがドローンの歴史につながっているんじゃないかということで、我々は明日のFAIドローンレースファイナルにおいて、レギュレーションの分野に力を入れてきました。

先ほどもお話がありましたように、技術面でも実際のレギュレーション、ルールとのせめぎ合いというものが非常に大事になってきます。私たちは今回のレースにおいても、『どのようなテクニカルレギュレーションに基づいてスポーティングレギュレーションを決めるか』ということを、実は一年半前からやってきたんです。

その集大成として明日のファイナルがありますので、ぜひご来場いただけたらと思います。本日は、長い時間ありがとうございました」

編集後記

産官学の垣根を超え、白熱した講演が繰り広げられたカンファレンス『ドローン前提社会を目指して』。2022年のレベル4実装実現に向け、第一線で研究開発や環境整備に取り組む企業や行政の取り組みはもちろん、現状の課題や本音をたくさん聞くことができました。

このカンファレンスを通じ、ドローンについて一人ひとりが自分なりの考えを持つきっかけになれば、ドローンがより身近な存在へと変わっていく第一歩となるかもしれません。

<最新記事>




2019.12.07