【海外ドローンニュース】Skydioを使った目視外飛行での「鉄道巡視業務」に初認可!

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△トップ画像はSkydio Dock™️からSkydio X2が離陸する様子(画像クレジット:Skydio )

読者の皆さん、こんにちは!外資系ドローン企業のしゃちょーです!先月から毎週更新している「海外ドローンニュース」も、早くも5回目となりました。今までは一風変わったマイナーなドローンニュースが多かったのですが、今回は日本でも話題を集めている米国Skydio社の熱々なニュースをお届けします!

アメリカ最大の鉄道会社によるSkydio 2 Dockの運用開始

米国28州とカナダ3州にまたがり、延べ52,300キロメートルと、アメリカ最大の鉄道ネットワークを持つのがBNSF鉄道です。(余談ですがJR全体でも総延長距離は20,000kmちょっとなので、1社でJRグループの2.5倍の距離をカバー!)

そんな北米の衣食住を支えるBNSF鉄道が、今年の6月29日に連邦航空局(FAA)から初めて据え置き型ドローンドックを使用した目視外飛行を許可されました。ドローンドックとは、自動での離発着、自動充電を可能にした、ドローンの据え置き型ボックスです。そして、米国初となるこの取組を実現させたのが、Skydio社が2019年10月に発表していた「Skydio 2 Dock」です。

この許可により、BNSF鉄道は職員並びにパイロットが一度もドローンと接触せずに、遠隔地からドックに収納されたドローンを離発着させることが出来ます。これまでは、いくら目視外飛行が許可されていたとしても、法規制の関係でドローンを離発着する場所まで運ぶ必要がありました。しかし、今回ドッキングステーションの使用が承認されることによって、離発着すら遠隔操作で行うことができるようになったのです。つまり、人間が現場に立ち会う必要が完全に無くなったということです。

△Skydio Dock™️からドローンが離陸する様子を見ることができます。まるでSFのような最先端の技術をご覧ください。(動画はSkydioの公式チャンネル「Skydio Dock Tease」のもの)

鉄道点検によるドックの活用方法

BNSF鉄道が今回承認された新しいリモート操作権限を使用する方法は、主に3つ計画されています。

一つ目は、セキュリティーのためのパトロールです。車両の入れ替えを行うために設けられる操車場の周辺を監視し、その主要部分を定期的に撮影、画像データを残すことで、セキュリティ上の問題がないかどうかを確認する方法です。

画像クレジット:Skydio  

Skydio2が定期的なセキュリティ検査、遠隔点検、備蓄品の分析を行う説明図です。リアルタイムでストリーミング(!?)された画像とデータを職員が画面で見ているのが分かります。

二つ目は、線路上の緊急対応です。線路上で事故が発生した際に、ドローンを飛ばすことで、重要な画像データを迅速に職員に提供し、即時に問題を特定するという運用方法です。

画像クレジット:Skydio

緊急事態があった際にドローンがドックから駆けつけるイメージ図です。こちらも遠隔操作がなされることが見て取れます。

最後に三つ目は、橋梁や線路といった鉄道インフラの点検です。上空から定期的な点検を実施し、メンテナンスが必要な潜在的な問題を特定します。検査頻度を高めることで、早期予防が可能になります。

画像クレジット:BNSF鉄道

実を言うと、レール上の針のように小さなひび割れを発見するには、専用の点検車両を用いた検査の方が適しています。しかし、点検専用車両が1日に走ることのできる距離は限られます。BNSF鉄道は、利用頻度が高い幹線は毎日のように点検しますが、地方の支線はそういうわけにはいきません。

ましてや、同社が保有する13,000にも及ぶ橋梁や89カ所もあるトンネルを人の手によって高頻度で点検することは不可能に近ため、ドローンを用いた自動かつ定期的な点検が重要になってくるわけですね。

52,300キロメートルの空が目視外飛行の対象に

過去の実証実験のように、特定の地域や期間だけではなく、BNSF鉄道が日常のオペレーションの中で使いたい、あらゆる種類のミッションに対して、全国的に適用されるという点が今回の承認の大きなポイントです。

実証実験という枠を超えて、実際の業務のためにFAAが飛行許可を出したのは今回が初めて。これはアメリカだけでなく、世界のドローン産業にとって大きなポイントと言えるでしょう!

運用は、地上または障害物から100フィート以下(約30メートル)で行われ、有人航空機と遭遇するリスクを最小限に抑えます。また、空港から3海里(約5.5キロメートル)以上離れている限り、BNSF鉄道の私有地の全ての空域で飛行させることが認められました。つまり52,300キロメートルに渡る空が、目視外飛行OKとなったに等しいのです!

FAAの許可内容によると、本目視外飛行の許可は「2023年6月19日までの2年間は、この権利放棄が有効」とあるので、ややこしいですが「2年間は目視外飛行ばんばんやっちゃって!」ってことです。凄すぎるぜ、アメリカ!!

日本の目視外飛行はどうなる?

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、実は日本でも目視外飛行の実現がもうそこまで来ているのです。

政府が定めた「空の産業革命に向けたロードマップ」の中で、2022年度に有人地帯での目視外飛行を実現させることを目標に掲げております。ドローンの所有者情報の登録義務化や、ドローンの国家免許製、土地所有者の空中権の無効化など、この3年ほどで矢継ぎ早にドローンにまつわる法改正も進んできました。

NEDOが5カ年プロジェクトとして行ってきたDRESSプロジェクト(正式名称:ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト)も、今年が最終年の5年目となります。来年から始まるLEVEL4を見据えた実証実験が、なんと全国10の自治体で同時に行われます!

編集後記

ドローン点検は大きなコスト削減効果があり、国土交通省も「インフラ長寿命化基本計画」の中で、橋梁や法面などの国が管理するインフラ点検において、予算削減と省人化の観点からドローンの積極活用を促し始めています。

しかし、より大きな効果が期待できるのは「点検の自動化」です。

今回のアメリカでの許可が降りるまでの流れは、実は日本のDRESSプロジェクトと同時期に開始されたIPPという「統合パイロットプログラム」の延長線上にあります。IPPは昨年でプロジェクトが一旦の終了を迎え、その翌年に今回の発表になったわけですから、日本も来年には似た発表がなされるのは想像に難くないでしょう。

日本の鉄道各社が誰と「点検の自動化」を実現するのか?水面下で始まっている戦いが、どんな風になっていくのか、今から楽しみです。

 

 





2021.07.10