「Skydio」というドローンを聞いたことはあるでしょうか?
ドローンを所有している人の多くは、DJI製ドローンを所有している方がほとんどだと思います、
ですが、DJI製ドローンはGPSが受信できない状況では安定した飛行を行うのが難しい機体がほとんどです。
この記事で解説するドローンSkydioはGPSが受信できない環境でも安定した自律飛行を行えるドローンであり、業務用途で国内でも多数の企業で導入されている機体です。今回はこの記事さえ読めば丸っと分かる、知っておきたいSkydioの基礎知識を解説します!
現役ドローンパイロット&ライターとして活動中 / Mini2・Phantom4 Pro+ V.2.0の2台を所有 / DJI CAMP スペシャリスト・ドローン検定3級・UAS Level2取得済 / 執筆のご相談はこちらから
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もくじ
Skydioとはどんなドローンなのか?
Skydioは一般的なドローンが安定飛行に必要とするGPS情報を必要としないドローンであり、狭い場所やGPSが入らないような室内などでも安定した飛行を手軽に実現できるアメリカのドローンメーカーSkydio社が開発した機体です。
一般的なドローンはGPSが取得できない場合はATTIモードと呼ばれる不安定かつ操縦者の技量が問われるモードで操縦しなければなりません。
そのため、橋梁下のようなGPSが入りにくい場所を点検しようとする際はATTIモードや目視外飛行に慣れている熟練した操縦者が点検を行う必要があり、安全性や確実性が問われやすい傾向にあります。
一方Skydioは画像認識による障害物回避(V-SLAM機能)やGPSではなくAIによる自律飛行を実現するSkydio Autonomy™という機能が搭載されており、狭い場所やGPSが入らない場所でも操縦者の熟練度や技量に依存しない、安定した点検を実施できるドローンです。
Skydioは現在家屋や橋梁などの点検に電力会社のようなインフラ点検や防犯警備でも活用されており、GPSが入らない環境や自律飛行が必要な飛行を手軽に導入できるドローンとして現在さまざまな企業が導入しています。
点検特化ドローンSkydioの特徴
Skydioは狭い場所やGPSが入らない場所、暗い場所など一般的なドローンが苦手とする場所での安定飛行を実現できるドローンです。
また、Skydioは「GPSを使用しない安定した自律飛行の実現が可能であり、点検に特化した機体」という特徴もあります。
Skydioの特徴①V-SLAM機能によるGPSを使用しない安定した自律飛行
Skydioの機体には上下で合計 6つのカメラが搭載されており、周囲360°全体を認識できます。
各カメラから伝達された映像データから自分(機体)の位置や姿勢、周辺にある物体の位置情報や距離感を三次元的に把握し、自分の位置推定と周辺環境の地図作成を同時に行う事ができます。
この技術をV-SLAM機能と言います。
V-SLAM機能によりSkydioは周囲の状況をAIで瞬間的に三次元化できるため、GPSを受信する必要なく、全方位の障害物を回避できる安定した自律飛行を実現できます。
Skydioは86cm/28cm/10cmと障害物を自動回避する距離を細かく調整できるドローンでもあり、発電所のように入り組んでいる場所で飛行する際も可能な限り近づく念入りな点検を実現可能です。
ただしSkydioはV-SLAM機能を使用して安定した自律飛行を行うという特徴柄、人間の目と同様に暗くて周囲の状況を確認できない環境での飛行は苦手としているため、トンネルや照明のない室内での飛行は避けなければいけません。
Skydioの特徴②点検に特化した機体設備
点検と一口に言ってもさまざまな点検がありますが、その中でも橋梁点検のようなドローン点検の場合は機体真上の状態を点検したいけれども機体の構造上困難であるというのが従来の課題でした。
元々飛行している時の機体重量バランスを確保する上でジンバル・カメラを上向きにするのが難しいため実現していなかった中、Skydio社は機体前方に実装したジンバル付きカメラを上向き90°に向ける撮影をできる構造で開発されています。
上向きを撮影できる構造により、従来の一般的なドローンでは不可能だった橋梁裏の天井部の点検や天井建造物も細かいところまでドローンで点検できるようになりました。
また、Skydio2+以降で搭載されている電波受信用のアンテナはグローバルモデルであれば最長6kmまで電波が届くため、人や車両の遠い橋梁点検や安全確保のために離れて行う必要がある点検でも電波の混線や断線が起こることなく、安定してドローンを飛行可能です。
バリエーション豊富なSkydioラインナップ
Skydio社が開発しているドローンSkydioは主に3種類のシリーズで展開されており、一般用だけではなく産業用ドローンとして活用できるSkydioも開発されています。
Skydio 2
Skydioシリーズの初代としてリリースされたSkydio2は60fpsに対応した4Kカメラを搭載しており、合計で6台のカメラが機体に設置されています。
3軸ジンバルのジンバル付きカメラは情報90°に向けることも可能であり、1つのバッテリーで約23分の飛行が可能です。
Skydioの特徴である自律飛行の最高速度は約60km/hであり、現在主に流通しているSkydio2+にも搭載されているAIによる障害物回避機能が標準で備えられており、6つのカメラで合計200°の広角で高画質な映像をリアルタイムに収集することで障害物を認識しています。
また、Skydio2には「AEF」と呼ばれる拡張機能が標準で搭載されており、これを使用することで障害物と検知範囲の変更やカメラ角度を上向き90°に設定したり、6つのカメラから取得したデータを元にした安全帰還ができたり、事前指定した経路通りの飛行、デジタルズームなどを利用することができます。
Skydio 2+
Skydio 2+はSkydio 2の後継機として開発されたドローンであり、Skydio2から変わった点はプロポと機体間での通信距離が長くなったことと、バッテリーの持続時間がより長い時間になった2点です。
Skydio2+では1つのバッテリーあたりの最大駆動時間が約27分となり、Skydio2よりも長距離・長時間での飛行を行える機体です。
Skydio2ではプロポと機体間での通信距離は200m程度でしたが、新しく開発されたSkydio2+では最大300m間での通信を可能としています。
また、Skydio2/2+は共に国土交通省が発表している「点検支援技術性能カタログ」でSkydio2/2+を活用した橋梁点検技術が掲載されており、建設業界でも導入する企業が年々増えているドローンでもあります。
Skydio X2シリーズ
Skydio X2シリーズはサーマルカメラ搭載や強固なセキュリティ対策などが施されている、Skydioシリーズの中でも業務に特化した産業用ドローンです。2022年11月現在ではSkydio X2シリーズでは以下のモデルがリリースされています。
・Skydio X2E Color/Thermal
・Skydio X2E Color
・Skydio X2D Color/Thermal
・Skydio X2D Color
Skydio X2シリーズは産業用途に特化しており、Skydio2/2+よりもバッテリー稼働時間や基本性能が優れているのが基本的な特徴です。
バッテリー最大駆動時間は35分と7~8分程度伸びており、Skydio X2はサーマルカメラが標準搭載されているため、熱源検知もできるようになりました。Skydio X2 Color/Thermalの場合はモノクロで2種、カラーで2種の計4パターンを選択して熱源の表示が可能であり、Skydio X2 シリーズは撮影対象の熱源をモノクロまたはカラーで把握できる機種として利用できます。
サーマル対応ができるため、一般的な点検業務はもちろん赤外線で摩耗具合を把握できる外壁調査や、太陽光発電パネルの点検、災害支援などを行うドローンとしても活用できる機体です。
また、Skydio2/2+では暗所の飛行を実現できなかったが、Skydio X2 シリーズにおいては機体に搭載されている赤外線またはサーマルカメラに切り替えることで暗所での飛行を行うこともできます。ただし、360°障害物回避機能の併用はできません。
購入先は?
現在Skydio2/2+は日本国内で個人向けの販売は行われておらず、購入する場合は海外から取り寄せるか、A.L.I. Technologiesが運営しているドローン空撮.comなどSkydioを取り扱っている販売代理店を経由して購入しなければいけません。
A.L.I. Technologiesでは、機体販売と合わせて、機体購入したユーザーへはSkydioの導入講習を提供しています。
ユーザーの需要に合わせて飛行申請から航空法などの座学、Skydioの飛行方法まで手厚くサポートしており、ドローンが初めてのユーザーでも導入が楽に導入できます。
また、機体販売と合わせてSkydioを使った橋梁点検の実践研修も提供しています。
●ドローン空撮.comのSkydio販売ページはこちら
編集後記
Skydioの基本から活用事例までを解説しました。国内でドローンと聞くとDJI製ドローンのAir2SやDJI Phantom4、Mavic3などを想像する方も多いと思いますが、最近はより業務利用に特化したドローンも多数開発されるようになってきました。
Skydioは個人で購入しにくい機体ではありますが、業務利用に特化したドローンの中でも注目されているドローンの1つであるため、今後ドローン業界が発展する上ではDJIにも劣らない知名度となる可能性が高いドローンです。Skydioの基本をこの記事で把握して、情報の流れが速いドローン業界のトレンドに置いていかれないようにしましょう。