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空飛ぶタクシーのVolocopterが大型農業用ドローンを開発!

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渋滞ゼロの上空移動が現実に? ドイツで、空飛ぶタクシーを開発しているVolocopter社と農業機械メーカーJohn Deere社による農業用大型ドローン『VoloDrone』が発表されました。

空飛ぶタクシー×世界最大農業機器メーカーの強力タッグ!

ドイツで開催されている、世界最大の農業技術見本市『AGRITECHNICA』。ここでひときわ目を惹いているのが、農業用初の大型ドローン『VoloDrone』です。

『VoloDrone』は、空飛ぶタクシーを開発するVolocopter社と、世界最大の農業機械メーカーであるJohn Deere社の共同開発。

最大積載量は200kgで、作物保護用にふたつのタンクとポンプ、スプレーバーが搭載され、用途に応じてフレームにデバイスを装着できるようになっています。農作業が困難な地形において、作物保護剤の使用率の向上や、種子の播種、霜の抑制などに役立つとのことです。

『VoloDrone』の直径は、9.2メートル。18個のローターと、交換可能なリチウムイオン電池が使用されています。最大飛行時間は30分。事前にプログラムされたルートを自動で遠隔操縦できるようになっています。

また、ドローンはヘリコプターと異なり飛行高度が低いため、1時間で最大6haもの土地をカバーすることが可能。持続力、飛行の正確さ、安定度なども高く、省コストでヘリコプターに成り代われるだけのスペックを有しているといえるでしょう。

Volocopterとは?

Volocopterは、空飛ぶタクシーのサービス展開を目指すドイツの航空系スタートアップ企業。都市の交通において、「安全」「静か」「排出ガスゼロ」にすることを目標に掲げ、空飛ぶタクシーと、それに伴う交通管理システムを開発しています。

同社は、今年9月14日にメルセデス・ベンツ博物館(ドイツ/シュツットガルト)において、世界初の自動運転による空飛ぶタクシーの飛行を公開。さらに、10月22日には、空飛ぶタクシー用ステーションのプロトタイプである『VoloPort』がシンガポールでお披露目され、空飛ぶタクシーの有人試験飛行が成功したことも併せて発表されました。

空飛ぶタクシー『Volocity 2X』

こちらは、空飛ぶタクシー『Volocity 2X』の飛行映像。最大の特徴は、一般的な飛行機と異なり、滑走路を必要としないことです。離着陸をするためのポートを設置できるスペースがあればいいため、広々とした滑走路を確保できない都市部においても、ビルの屋上や川沿いなど、一定のスペースを確保すれば運用できます。

また、空飛ぶタクシー『Volocity 2X』の強みは、騒音が少ないこと。騒音レベルは小型ヘリコプターと変わらない程度であるといわれており、オフィスや住宅が密集した地域でも配慮しやすくなっています。さらに、競合他社の機体と比較し、操縦が容易であることもポイントです。

試験や研究が重ねられ、随時ブラッシュアップされている『Volocity 2X』ですが、最新バージョンは18ローターが搭載された2人乗り仕様です。フル充電で最大35kmの飛行を可能とし、最高速度は時速100kmとなっています。

空飛ぶタクシー専用ステーション『VoloPort』

こちらは、10月22日にお披露目されたステーションのプロトタイプ『VoloPort』。『VoloPort』では、飛行前のチェックや搭乗の手続きなどを含むサービス、機体バッテリーの交換や充電、機体のメンテナンス、セキュリティチェックなどが可能となっています。

先に紹介したとおり、空飛ぶタクシーは滑走路を必要としないため、一般的な飛行機とは異なり広大な土地を必要としません。そのため、都市部においてもステーションを設置しやすいだろうとVolocopter社は語っています。

2022年、日本で空のビジネスが拡大する!

今回紹介したVolocopter社はドイツの企業ですが、日本も決して遅れをとっているわけではありません。2022年までに有人地帯での目視外飛行を実現させ、都市部においてドローンを活用したビジネスを展開させていく目標に向け、産官学が一体となって研究開発が重ねられているところなのです。

こちらは、経済産業省のホームページで公開されている『空の産業革命に向けたロードマップ2019 ~小型無人機の安全な利活用のための技術開発と環境整備~』の資料。

2019年現在、無人地帯での目視外飛行実験が積極的に行なわれており、2022年度からの有人地帯での目視外飛行に向けての研究開発や環境整備が着々と進められています。より人口密度の高い地域で、より重量のある機体を使い、複数機体の同時飛行や、航空機・空飛ぶクルマ・小型無人機の共存が計画されているのです。

ロードマップには、2022年度以降の小型無人機における具体的な利活用イメージも記載されています。

■物流(都市部を含む地域での荷物配送)

■災害対応(ドローンを活用した現場状況把握の導入・加速化、災害現場への資機材の搬送など)

■農業(農作物の生育状況確認、農薬散布、病害虫発生状況の把握・予測および診断システムの開発・実装・普及、鳥獣害対策)

■林業(森林被害および森林資源の把握)

■水産業(漁業被害防止、クジラ類の目視技術開発)

■インフラ維持管理(都市部におけるインフラ点検)

■測量(都市部における測量)

■警備業(広域・有人地帯の侵入監視・巡回監視)

編集後記

先日の東京モーターショー2019~ドローン前提社会を目指して~カンファレンスでDrone Fund千葉さんが語っていたとおり、空は渋滞ゼロ。Volocopter社の空飛ぶタクシー『Volocity 2X』は、自動車と比較して超高速でスピードが出る乗り物ではありませんが、渋滞のない空で時間ピッタリ、あるいは時間に余裕をもって目的地に到着できると、ビジネスやプライベートがより豊かになるのではないでしょうか。

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2019.11.14