撮影:Masahira TATE(楯雅平)、以下同じ
もくじ
“ドローンの都” 深センのUAVエキスポ
世界最大の民生用ドローンメーカーDJIや「ドローンタクシー」で知られるEHANGが本社を置き、数々のドローン関連企業が集う中国広東省の都市深セン市。ドローンの都とも言えるこの街で『Shenzhen UAV Expo(深セン ドローン エキスポ)』が2018年6月22日〜24日にかけて開催されます。
というわけで、さっそく現地に行ってきました。
深センのUAVエキスポ
現地取材レポート
展示会場がある「会展中心駅」の周辺の様子。東京に例えるなら「丸の内とビッグサイトを合体させた」ような場所です。
展示会の入り口はこんな感じ。
展示ブースは以下の通り。このような展示エリアが1ホールにわたって広がっています。
ブースマップを見ると出展社がわかります。ほとんどが日本では見たことが無い会社ですが、JUIDAやArduPilotのブースがありました。
軍・警察向けドローンが多い
日本の展示会ではほとんどお目にかからない軍・警察用のドローンが大量に展示されているのが深センUAVエキスポ2018の特徴。
こちらは、中型の固定翼型偵察ドローン。
ステルス機のようなフォルムの小型ドローンも展示されています。
こちらはVTOL(垂直離陸機)型のドローン。
中にはランチャーを搭載した機体もあります。
ランチャー部のクローズアップ。
3連のカートリッジに充填した物を打ち出せる構造です。
ほぼヘリコプター、大型のプロペラドローン
最高時速は400km、本体重量約200kgで、500kgの荷物を搭載して飛行できるという大型のドローン。
横に立つ人と比べると、その巨大さがよくわかります。
ローター(プロペラ)は2基で、内燃機関による動力で回転します。
長いアームを持つ農薬散布用ドローン。
消火剤を投下用ドローン
こちらは火災消火用に開発された機体。
機体下部に備えたボール型の消火剤を投下可能。
遠隔操作用の固定翼機
一見すると、小型の固定翼ドローンですが、このシステムの特徴は機体のみにあらず。
注目すべきは、この機体とセットで使用される操縦システムです。
まるで有人機のコックピットのような「ドローン操縦システム」
本格的な操縦桿を備えています。
左手側の操縦桿はこんな感じ。一瞬「ただ、飛行機から引っこ抜いて、挿しただけでは?」というギモンが頭よぎりますが、筆者の中国語力では確認ができず……。
パイロットの眼前には大型のスクリーンが設置され、ここにリアルタイムでドローンが撮影した映像が映し出される仕組み。
警察の監視用を想定したシステム
こちらのグレーの機体は、警察による監視などに使用することを想定して開発された機体です。
車内から監視活動を行えるように、専用の車両がセットで開発されています。
車内の様子は以下の通り。「DJブースかよ!」というツッコミをしたくなるハデなLEDライトが気になりますが、備え付けのディスプレイでドローンが捉えた映像を見られるようになっています。
DJI機の改造版
DJIの『Matrice 600』に小型のガソリンエンジンを装着し、それで発電した電力で飛行できるように改造した機体です。
水陸両用ドローン
水上に着陸するための浮力を持つ「脚」を備えた機体。装着されているのはミサイルではなく、火災消火に使われる消火剤が詰まったポッドだそうです。
人命救助用ドローン
装着するモジュールを組み替えることで消火や水難救助に使用できる機体。
展示されている機体には、おぼれた人に投下して助かるための浮き輪が装着されています。
消火剤を噴射するドローン
こちらの機体は、高層ビルの火災などの際に地上から急行してノズルから消火剤を吹きかけるためのものです。
利用が想定されているのは以下の写真のようなシチュエーション。
こちらのノズルから消火剤を勢いよく噴射します。
編集後記
今回の展示会を見て感じた傾向やトレンドは以下の通りです。
- 軍・警察用にドローン開発をする会社が多い
- ドローンの機体のみでなく、周辺のシステムとのセット開発が進んでいる
- 人命救助は新たなトレンド?
・監視目的をベースにVTOLや小型機から大型機までさまざまな機体が展示されていた。
・「ドローン+遠隔操作用コックピット」「ドローン+監視用車両」など。
・火災消火や浮き輪の投下などのドローンを展示するブースは軍・警察用の次に多かった印象です。一方でホビー用ドローンの展示はほとんど見られず、人命救助などよりシリアルな場面での利用を提案するメーカーが多くありました。