画像出典:複数ドローンを活用した広域警備実験、以下同じ
4G LTE通信と自律飛行に対応した
複数ドローンによる施設警備システム
複数台のドローンを自動で巡回させる仕組みにより不審者の発見や追い払い、不審火の検知などを行う世界初の警備システムをNEDO、KDDI、テラドローン、セコムが発表しました。4G LTE通信ネットワークを活用した自律飛行するドローンの「群」による警備の実証実験は世界初とのことです。
不審者を空からドローンで追跡
今回の実験で使用されたのは、こちらの『スマートドローン』。
地上の警備センターでは、ドローンから送られる映像によるリアルタイム監視や運行管理が可能です。
4G LTE回線に繋がった複数台のドローンによる警備を行なえることがこのシステムの最大の特徴。
今回の実証実験の舞台となったのは遊園地です。
警備用ドローンには「俯瞰用」と「巡回用」の2種類の機体があります。
ドローンは飛行中もLTE回線に接続されておりリアルタイムに地上へ映像を送れます。
実証実験における「不審者役」の黄色いシャツを着た男性と対峙するドローン。この状態からスピーカーから「あなたの行動はすべて画像に記録しています。すぐに犯行をやめなさい」という警告を与えることもできます。
不審者発見の通報を受ける地上の警備員。
現場に急行。
ドローンには赤外線カメラも搭載できるため、不審火の検知も可能です。
赤外線カメラが捉えた出火場所の様子。
夜間にはLEDライトを灯して地上の不審者を撮影したり、威嚇したりできます。
ドローンから見たライトに照らされる不審者。
今後は5G通信などへの対応などを進め、空からの施設警備を拡大していくことを目指すそうです。
今回の実験に関するKDDIの発表は以下のとおり。
実証実験では、プロドローン社製のドローン4機に高感度カメラ、スピーカー、赤外線カメラ、LEDライトを搭載し、運航管理室から施設内を遠隔監視し、不審者の発見や注意喚起、不審火の発見、さらには夜間警備などの実験を実施しました。「スマートドローン」の特長である目視外の長距離自律飛行を施設の警備に応用し、既存の防犯カメラで対処できなかった部分にドローンを活用します。複数のドローンから届く映像を運行管理システムでは一元的に管理し、それぞれのドローンのカメラの映像の制御、さらに遠隔で飛行ルートの変更をすることで、より広い範囲に対し機動的にくまなく対象を捉え状況認識と対処が可能になります。
世界初、4G LTEで自律飛行する複数ドローンを活用した広域警備に成功 | 2018年 | KDDI株式会社
不審者をドローンで見つけ出す実験の様子がよくわかる動画はこちらでご覧いただけます。
複数ドローンを活用した広域警備実験
編集後記
労働力人口が激減する今後の日本社会において、施設の警備は大きな課題です。このまま行けば「おじいいちゃん、おばあちゃんばかりの警備チームで夜中の施設を守る」といった心許ない状況になりかねないわけですが、人手が要る巡回をドローンに任せ実際に不審者と対峙する警備スタッフは少数精鋭とすることで、限られた人員を有効に活用できそうです。その先に「ドローンによる攻撃を許可するか」という問題はあるものの、野外の広域巡廻監視においてドローンが有用性であることは間違いなさそうです。