「ロボットは復興の希望」福島県南相馬市がイノベーションシティへ。

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福島県南相馬市が「イノベーションシティ」へと変革しつつあります。その背景にあるのは東日本大震災および原子力災害からの復旧・復興のために国を中心に進める「南相馬市復興総合計画」です。

この計画の政策目標は「100年のまちづくり〜家族や友人とともに暮らし続けるために〜」。

南相馬市は「世界一ロボットの実証・チャレンジがしやすく、ロボットが日常に溶け込んだまち」を目指し、福島ロボットテストフィールドを核とした新産業創出と人材誘導を戦略的に行なっています。

本記事では、南相馬市の新産業創出を推進する取り組みをご紹介していきます。

南相馬市新産業創出エコシステム

日本一実証実験のしやすい環境を提供

南相馬市では、ロボット・ドローン等の実証に当たり、地域関係者の特定から調整までを事業者とともに実施しています。例えば市営団地での自動配送ロボットの実証実験、溜池を利用した飛行艇型ドローンの実証実験、公道を使用した自動追従ロボットの公道走行実証などです。また、市内の飲食店、宿泊施設、農地、工場などとも連携し、実証場所として活用可能なフィールドを30件以上リストアップしています。

福島ロボットテストフィールドでは2017年9月〜2021年1月にあたるまで296の活用事例があります。海や陸での広大な実験地が確保されており、緩衝ネット付飛行場ではドローンや空飛ぶクルマの実証実験が行われています。

手厚く多様な支援策

創業者支援事業助成金

市内の産業活性化及び雇用確保のために、新たな商品やサービスの提供等を行う創業者を支援策です。事業を営んでいない者が市内で個人開業又は会社を設立し代表となる場合、助成対象経費の2/3以内(上限5,000千円)を支援します。また令和3年からは市と協定を締結しているVC等からの出資を受けている場合、あるいは旧避難指示区域内で操業する場合は条件を満たしている場合、3/4以内(上限6,000千円)が補助されます。

ロボット実証実験支援事業助成金

ロボット産業振興を迅速かつ効果的に推進することを目的に、市内でのロボット実証実験を行いやすくするため、ロボット実証実験に要する経費の一部を助成する制度です。助成対称経費は交通費、宿泊費、通信運搬費、賃借料、委託料、消耗品、印刷製品費など多岐に渡ります。助成率は1/2以内、1回あたり20万円までで1事業者につき年間60万円まで利用可能です。市とロボットに関する研究開発、地元企業との連携などについての協定を締結した企業は補助率2/3以内、助成上限は年間200万円になります。

基盤技術産業高度化支援事業補助金

市内の製造業者の皆様が、基盤技術産業の高度化や大学等との連携強化により、本市の産業振興に資する、試作品等開発の経費の一部を補助する制度です。研究開発に要する経費の1/2以内(限度額5,000千円)で、令和3年度から新規拡充で市と協定を締結しているVCから出資を受けた者、または市内に所在する会社や大学、高専等と連携して事業を行う者に限り補助率3/4以内(限度額7,500千円)が補助されます。

環境整備された活動拠点

福島ロボットテストフィールドから最も近いインキュベーション施設である「南相馬市産業創造センター」は、ロボットスタートアップなど13事業者が入居しています。産業創造センターは施設管理に留まらず、入居者に対するインキュベーション機能、シェアードサービス機能の提供を実施。新産業の創出に向け、地元企業との連携促進に加え、大企業や投資家等との連携機会の創出など、企業の成長段階を踏まえた支援策を提供しています。

また復興工業団地については、立地にあたり国の自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金に加えて、市独自の立地助成金(最大2億円)も活用可能であり、工場設置にかかる初期投資費用の大幅な軽減も可能です。

資金調達が容易な体制を整備

ロボット関連産業を中心とした新産業に取り組むスタートアップ企業の資金調達が容易な体制を整備しており、2020年12月21日には市と20のベンチャーキャピタル・金融機関等との連携協定を締結しています。南相馬市内のスタートアップ企業とベンチャーキャピタルのマッチング相談等が開始され、ピッチを実施し新たなチャンスを創出しています。また出資に連動した市の補助制度の拡充も実施されています。

事業者や研究者が生活しやすい住環境

産業創造センターを活用し、各種取り組みを行う事業者等の生活環境の向上に向け、住居確保支援や生活関連情報の発信を実施しています。飲食店、医療機関、宿泊施設などと連携し、地域外からの研究者等来訪にも対応。宅建協会と協定を締結し、優良な民間賃貸物件を紹介するなどの取り組みを進めています。

創出されたイノベーションの事例

JapanDrone2021でも特に注目を浴びていた「株式会社テラ・ラボ」は、2019年9月に福島ロボットテストフィールドの研究棟に入居し、長距離無人航空機と大規模災害時の情報収集システムを研究しています。

今般、一定の研究成果が得られたことから2020年9月からは産業創造センターの貸工場において、長距離無人航空機の試作品開発等を実施。今後は復興工業団地内に工場と試験場を整備していきます。

同社は南相馬市の連携VCであるリアルテックホールディングス、DRONE FUNDから資金調達を受けています。

株式会社テラ・ラボ – 福島イノベーション・コースト構想

ロボットのまち、南相馬市

2019年以降、ロボット関連産業を中心に延べ35の事業者が福島ロボットテストフィールドを核に、復興工業団地、南相馬市産業創造センターに短期間で集積。行政、ロボット関連産業の地域コミュニティ、施設管理者が地域一体で新産業を創出しています。

イノベーションシティへと変革を遂げる南相馬市。VIVA!DRONEでは今後も南相馬市の取り組み、また同市から創出される新たな新事業をお伝えしていきます。

 

 





2021.06.18