出典(Source):Mars Helicopter to Fly on NASA’s Next Red Planet Rover Mission | NASA、以下同じ
もくじ
火星を自律飛行で探査するドローン
NASA(アメリカ航空宇宙局)は火星探査を目的として、自律飛行が可能なドローン(ヘリコプター)を開発中であると、5月12日に発表しました。
NASA is sending a helicopter to Mars.
The Mars Helicopter, a small, autonomous rotorcraft, will travel with the agency’s Mars 2020 rover mission, currently scheduled to launch in July 2020, to demonstrate the viability and potential of heavier-than-air vehicles on the Red Planet.
(意訳)NASAは火星にヘリコプターを送り込みます。
『ザ・マーズ・ヘリコプター』は小型で、自律航行が可能なプロペラ機です。「マーズ 2020 ローヴァー ミッション」において、赤い惑星(火星)における大気より比重が高い飛行機の可能性を探る実証実験のために打ち上げられます。なお、打ち上げは、現在のところ2020年7月に予定されています。
Mars Helicopter to Fly on NASA’s Next Red Planet Rover Mission | NASA
NASAが火星用ドローンのイメージ映像を公開しているので、以下でその詳細をチェックしてみましょう。
火星用ドローン(ヘリコプター)のイメージ映像
火星用の地上探査機ローヴァー(右)とセットで運用されるドローン(左)。
こちらが、調査の主力を担うローヴァー。NASAは既に同様の機体を火星に送り込み、探査を行なっています。
ローヴァーの弱点は、山や丘などの先を見通せないこと。当たり前ですが、地上に停車しているため、カメラの高さ以上の「目線をさえぎる物」があった場合は、その先に何が有るのかはわかりません。
そこで登場するのがドローン(小型の航行が可能なヘリコプター)。1日2〜3分の飛行でローヴァーの周囲500メートルを調査することを目的としており、充電は太陽光から行なうそうです。
ローヴァーからは見えない遮蔽物(山や丘)の先を調べて、安全に調査が行えるかどうかを判断するための情報を提供します。
地球でも行なわれている「ドローン測量」の火星版といった感じ。
調査が終わると、ローヴァーの近くに着陸し、取得したデータを転送します。
打ち上げまではまだ2年以上ありますが、NASAはすでにプロトタイプを完成させ実験を重ねています。
おもに二酸化炭素で構成され、地球の0.75%しかないと言われる極めて薄い火星の大気を模したチェンバーの中でテスト飛行が行なわれています。ちなみに、この機体はの「胴体」部分はソフトボール程度の大きさで重量は約1.8kmとのこと。また、大型のローター(プロペラ)を一般的なドローンの10倍のスピードで回転させられるようになっているなど、薄い大気の中で飛行するための特別な工夫も施されているそうです。
NASA Mars Helicopter Technology Demonstration
実際に火星用ドローンが飛行する様子を描いたイメージ映像はこちらでご覧いただけます。
編集後記
ドローンその物が状況を判断しながら飛行できれば、地球から遠く離れているため通信タイムラグが有る火星でも飛行が可能になります。地上より広く、衛星より精密な調査ができるドローンが無事火星に届けば、これまでに無かった赤い惑星の情報を私たちは知ることができそうですね。まだ、打ち上げ予定までは2年ありますが、今からミッションの成果が楽しみでなりません!