出典(Source):マイクロソフト、以下同じ
もくじ
マイクロソフトとDJIのパートナシップが生む
ドローン活用サービスの進化と多様化
マイクロソフトはワシントン州レドモンドで5月7日に開催した開発者向けイベント『Build 2018』でDJIとの戦略的パートナーシップ締結を発表しました。
世界最大のドローン企業である DJI は、マイクロソフトと提携し、Windows 10 PC 向けの新 SDK を開発しました。また、同社は企業向けドローンと SaaS ソリューションを推進するための優先的クラウドとして Azure を選択しました。本 SDK は、世界に約7億台存在するWindows 10 デバイスにフライトコントロールとリアルタイムのデータ転送機能を提供します。このパートナーシップの一環として、DJI と マイクロソフトは、農業、建設、警備などの新たなシナリオを実現するために、Azure IoT Edge とマイクロソフトの AI サービスを活用したソリューションを共同開発していきます。
マイクロソフトによる発表会の様子
『Build 2018』全体を通してマイクロソフトは、クラウド・プラットフォームである『Microsoft Azure』やビジネス・アプリケーション群『Microsoft 365』などの製品やプライバシー、セキュリティについてのポリシー、障がい者支援についてなど、幅広い発表を行ないました。
出典(Source):Microsoft Build 2018 // Vision Keynote、以下同じ
多岐にわたる発表の中で「モノのインターネット」のハブ『Azure IoT Edge』に関する説明を担当したのがSam George(サム・ジョージ)さん。「IoT(モノのインターネット)はリアルタイムのデータ収集を可能にし、企業のビジネスにおける利益を得ることはこれまでになく容易になりつつあります。これにより、設備のダウンタイムを減らしたり、環境負荷を低減させたりする、ブレイクスルーとなる製品を開発するといったことが可能になります」と話しています。
Azure IoT Edge とは?
Azure IoT Edge は、IoT Hub の上に構築されるモノのインターネット (IoT) サービスです。 このサービスは、クラウド内ではなく、デバイスで (つまり “エッジで”) データを分析したいお客様を対象としています。 ワークロードの一部をエッジに移動することで、デバイスがクラウドにメッセージを送る時間を減らし、状態の変化により迅速に反応できるようにすることができます。
Azure IoT Edge
ドローンに関するデモの事例に選ばれたのは『Azure IoT Edge』の上に開発されたロックウェル・オートメーション(Rockwell Automation)社の設備監視・点検のサービス。Windows 10のアプリケーション上に表示された画像では2ヵ所(赤丸部分)に異常があることが知らされています。
室内の場合は、クアルコム製固定カメラからクラウドに送信されたデータを異常検知に用いられているそうです。
画面右側に映っているのが固定カメラから送られた映像で、異常があると黄色い枠が映像内に表示されます。
そして、固定カメラと同じようにドローンで撮影した映像から異常を検知することも可能です。
デモ飛行に使われたのは『Mavic Air』という104,000円の機体。
デモ飛行を行なうDJIのフランシスコさん(左)と、ちょっと不安そうなマイクロソフトのジョージさん。
ドローンが撮影した映像内に表示された黄色い枠内は、クラウドで動くAIが動画を解析して検知した異常部分です。
AIのプログラミングやトレーニングはAzureのクラウド上で行えます。
また、こうして作られたAIプログラムは、SDKを通じて『Matrice 210』などの産業用ドローンの機体にもデプロイ可能です。
Microsoft Build 2018 // Vision Keynote
ドローンを用いたデモに関連する発表の様子は以下の動画の37:33ごろから見られます。
Exclusive: the future of Microsoft with Satya Nadella
また、発表会に先立って米テックメディアのザ・ヴァージがマイクロソフトに先行取材を行っており、その動画の02:33ごろにもドローンが登場します。
編集後記
ドローン単体でできる作業を超えて、AIクラウドと連携した画像や映像の解析を通じたソリューション開発が少ない工数でできるようになれば、ドローンを活用したサービスの進化と多様化が大きく進みそうです。先進的なAIシステムの先「エッジ」側にドローンなどのデバイスを接続することで、点検や測量などはもとより、現時点では思いもよらないような用途での利用が進む可能性もあり、今後の展開に期待が高まる発表でした。