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馬スタートアップのエアロダイン、準天頂衛星システム「みちびき」実証に採択。ドローンによる洋上風力発電所の点検手法を実証!

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エアロダインジャパン株式会社(以下、エアロダイン)が、株式会社A.L.I. Technologies(以下、A.L.I.)とともに、準天頂衛星システム「「みちびき」の衛星測位システムを利用した風力発電所復旧点検の実証実験を島根県出雲市のキララトゥーリマキ発電所で実施しました。

本実証実験は、内閣府および準天頂衛星システムサービス株式会社が主催している「みちびきを利用した実証事業」の2022年度採択事業として行われる取り組みです。

本記事では、本実証実験の様子や特徴をご紹介します。

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実証実験の内容

本実証は、台風や地震による津波などの甚大な広域災害が発生したことを想定し、陸上からアクセスが困難な洋上風力発電所の被災状況を、沿岸からドローンを飛行させて把握し、復旧の可否を判断する、というオペレーションを行いました。

大規模災害時には、原子力発電所等が停止します。そのため、洋上風力発電所の復旧可否を速やかに判断することは、インフラ維持の観点から重要視されています。

しかし、現状のソリューション(2023年2月時点)では、船で近くまでいって、そこからドローンを飛ばして点検するというものしかなく、余震や津波・高波のリスクがある状況で船を出すのは現実的ではありません。

そこで、海岸から自動航行でドローンを飛行させ、風車に大きな損傷がないか等、被災状況を確認することが求められます。

ところが、通常のGPSを用いたドローン飛行では、位置精度に数メートルの誤差が生じてしまいます。これでは、風車にぶつかるリスクがあり、また点検カメラが風車をうまく捉えられないリスクもあります。

そのため、「みちびき」対応受信機を設置し、位置精度誤差をcm単位におさえて風車まで飛行し、点検カメラで正確に風車をとらえます。そして、点検に必要な画質で撮影し、適した利確距離や画角・アングルを検証しました。

ドローンの飛行は、東京にいるオペレータがモニターで遠隔監視し、A.L.I.が開発する運航管理システム「COSMOS*」上で事前に作成された飛行プログラムに従って、自動航行する体制で行われました。

また、取得したデータはエアロダインが保有するウェブアプリケーション「Vertikaliti WIND」にて損傷箇所のマッピングを行い、土台・タワー・ナセル・ブレードなど各部分の損傷状況確認及び要修復箇所を示しました。

COSMOS*とは

A.L.I.が開発している運航管理システム「COSMOS」は、ドローンを含むUAV並びにエアーモビリティの運用をサポートする空域管理のプラットフォーム技術です。

UAVの自動運用の原則となる、機体の健全性、運用の確実性、周辺と運用者の安全性をより確実に計画・監視・管理することができます。主な機能は、ドローンの複数台の一元管理や遠隔操作によるドローンの自動航行の設定などです。

「COSMOS」を活用することで、飛行現場のみならず遠隔地からもリアルタイムで機体情報および運航状況を確認でき、ドローンの飛行場所・航行ルートの指示や監督を行うことが可能です。

詳細はこちら:https://ali.jp/cosmos/

Vertikaliti WINDとは

出展:https://aerodyne.group/infra.html

DaaS(Drone as a Service)ソリューションをグローバル展開するエアロダインは、世界基準のドローン点検メソッドを確立しています。

また、SaaS(Software as a Servce)ソリューションとして、ドローンから収集した情報を管理・解析する精度の高いオリジナルクラウドサービス「Vertikaliti WIND」を提供。

世界中で培ったこのDaaSとSaaSソリューションによって、高い精度の点検・モニタリングデータを、従来に比べてより安全に、短いオペレーション時間で、且つ低価格で提供しています。

目的

本実証事業を通して、「みちびき」のセンチメータ級測位補強サービス「CLAS」を活用したドローンによる洋上風力発電所の点検、および巡視の方法を確立し、メンテナンスコストの削減を目指すとともに、災害に強い洋上風力発電所のシステム構築に貢献することを目的としています。

みちびきとは?

出典:https://qzss.go.jp/overview/services/index.html

みちびき(準天頂衛星システム)とは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムのことです。

みちびきはGPSと一体で利用できるため、安定した高精度測位を行うことを可能とする衛星数を確保することができます。GPS互換であるみちびきは安価に受信機を調達することができるため、地理空間情報を高度に活用した位置情報ビジネスの発展が期待できます。

引用元:https://qzss.go.jp/overview/services/index.html

飛行ルート

飛行ルートは、4km離れた海岸から離陸し、600m沖合の洋上を横切ってキララトゥーリマキ発電所にアプローチした後、風車の周りを旋回し、土台・タワー・ナセル・ブレードなどに亀裂や歪みなどの損傷がないか、点検画像を取得しました。

キララトゥーリマキ風力発電所までのアプローチルート

アプローチ後の風車点検の軌跡

キララトゥーリマキ発電所の風車全景を撮影し、土台・支柱などに亀裂などの損傷・劣化などがないかどうかを確認。

高度を変えて(40m、60m、80m)風車を3周。動画撮影とインターバルでの静止画撮影を行い、撮影データはエアロダイン社の「Vertikaliti WIND」を用いて詳細な解析を実施。

実証実験の様子

実験は無事成功。みちびきモジュールを用いて、洋上風力発電所を模した風力発電所までの海上飛行を実施。また、風力発電所の周りを旋回しながら、点検画像の撮影も行いました。

Vertikaliti WINDを用いた点検箇所の解析

ドローンを用いた撮影で取得したデータを「Vertikaliti WIND」上で点検。災害後の復旧に支障がある大きな損傷の有無を判別できることを確認しました。

エアロダインジャパン CEOのコメント

欧米や日本における洋上風力発電所の点検は、船で近づき、船上からドローンを飛行させる点検方法が主流。そのため、地震等の災害時に、陸上から洋上風力発電所にアプローチし、復旧を目的とした点検を行えることは画期的なことです。2030年までに10GWの洋上風力発電導入が掲げられており、復旧点検のニーズも高まっていくと考えています。エアロダインは、今後も洋上風力発電所の点検ソリューションを日本においてより洗練させていき、将来的には日本から海外へ展開していければと良いなと思っております。

*COSMOS: Centralized Operating System for Managing Open Sky

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2023.02.06