画像出典:MQ-25、以下同じ
空中給油用のドローン(UAV/無人機)のコンセプト機『MQ-25』の動画をロッキード・マーチンが発表しました。艦載機としての運用が可能で、パイロットに負担をかけることなく長時間空中に留まり必要な際に素速く空中給油ができる機体。アメリカ海軍の新型ステルス戦闘機『F-35C』などと連携し、作戦を遂行する範囲を最大152%拡大できるそうです。
MQ-25 スティングレイ ドローンが空母上で運用される様子
実写映像とCGを組み合わせて、『MQ-25』の飛行姿や機能を紹介するロッキード・マーチンの公式動画から、主なシーンをチェックしていきましょう。なお、記事の最後には動画もありますので、お見逃しなく。
MQ-25 スティングレイは艦載機として運用できる
『MQ-25』はジョージ・ワシントンなどの航空母艦から離発着可能です。
エレベーターでデッキに送り出される『MQ-25』。
機体の全面を見ると、コックピットがあるように見えますが「窓」にあたる部分は空洞です。
翼を折りたためるので、待機時はコンパクト。
遠隔地から機体を操縦できます。
前面カメラでリアルタイムに周囲の映像が確認可能。解像度はこの動画では明らかにされていませんが、前に人の姿がハッキリ見えるクリアな映像が映し出されています。
離陸前の『MQ-25』の様子。
「顔」の部分はこんな感じ。青く光るライトがいかにも近代兵器、という風貌です。
フラップの動作確認。
カタパルトにセットされた『MQ-25』。
発進。
『MQ-25』が空中給油を行なうためのホースを後方に垂らしている様子。※CGイメージ
給油を受ける戦闘機側から見るとこんな感じ。
燃料消費量が多い戦闘機は比較的滞空時間や航続距離が短いため、それを補うために空中給油が行われます。
『MQ-25』を使用して給油を行なった場合、空母からの発着のみの場合とくらべて作戦を展開できるエリアが『F-35C』は152%増、『F/A-18E/F』は145%増となるとのこと。
給油を終えた後は、もちろん艦に帰還することが可能。
着艦。
夜間飛行にも対応しています。
人が乗り込んで操作しているわけではないので、長時間の空からの諜報活動(Intelligence, Surveillance and Reconnaissance)にも対応可能です。
機体下にタンクを追加して運用することもできます。
タンクを爆弾にも変更するなどして、将来的に様々な作戦に対応できるようにつくられています。
実際に『MQ-25』が飛行する様子を収めた映像や空中給油のイメージCGなどが見られるロッキード・マーチンが制作した公式動画はこちらでご覧いただけます。
MQ-25
編集後記
人が乗らない無人機には「パイロットを乗せて守る」ための装備は一切不要です。そのため、軽量化小型化ができステルス性を向上させるための設計もしやすくなります。また、操縦は地上から行われているためパイロットの交代が容易なので、有人機とは比べ物にならない長い時間、連続で作戦を遂行できます。
そのようなアドバンテージを活かして、無人偵察機はテロリストの主導者などを狙った爆撃などに多用されてきましたが、ここに来てさらに高度な空中給油などが行える機体の実用化が見えてきました。「自社の技術を軍事用に使用しないで」という訴えがGoogleで起こされているという話もあるように、このようなドローンの開発には賛否両論があるのが難しいところですね。