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【ドローンに関わる法律】航空法や条例、ルールをわかりやすく解説!

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ドローンを日本国内で利用する場合には、航空法を始めとするさまざまな法律を遵守しなければなりません。そこで、この記事では「ドローンに関わる法律って何? ルールはどれだけあるの?」という素朴なギモンを解消するべく、ドローンに関連する情報をまとめてご紹介していきます。

サクッとわかる!
ドローン利用時に確認するべきおもな法律一覧

それぞれの法律の詳細に入る前に、全体像をイメージするためにドローン利用時に確認するべきおもな法律の一覧をご覧ください。

  • 航空法
  • 小型無人機等飛行禁止法
  • 道路交通法
  • 民法
  • 電波法
  • 都道府県、市町村条例


※  上記の他にも、ドローン利用時には河川法、港則法、港湾法、自然公園法が関わってくる可能性がありますが、法律に「ドローン」や「無人機」について明確に定めた部分はないため、原則として飛行の際は都度、個別に管理者へ事前の相談と確認をし、調整をするという流れになります。

※ ドローンの利用に際しては法律以外にも「マナー」を守ることも求められます。ドローン利用者以外への配慮も怠らないようにしましょう。

それでは、さっそく、各法律の詳細についてチェックしてみることにしましょう。

ドローンに関わる法律まとめ

ドローンに関わる法律
航空法

航空法を管轄する国土交通省が公開している『改正航空法概要ポスター』がイラスト付きでわかりやすく、ドローンに関わる航空法をサクッと理解するためにおすすめなので、まずはそちらをご覧ください。

ひと目でわかる! イラストで見るドローンと航空法

 

ドローンに関わる航空法のルール

上記のイラストの内容を箇条書きにすると以下の通りです。

飛行禁止空域

以下の4パターンに該当する場合は、原則ドローンの飛行は禁止で、飛行させたい場合は国土交通省への手続きを経て許可を受ける必要があります。

  • 空港周辺
  • 150m以上の上空
  • 人家の集中地域
  • 緊急用務空域

上記の「空港周辺」と「人家の集中地域(通称DID)」に該当するかどうかは国土地理院が提供する地図(通称:地理院地図)で確認できます。地理院地図をチェックした際のイメージは以下の通りで、赤くなっている場所が制限エリアです。

なお、地理院地図へは下記のリンク先からアクセス可能です。

地理院地図(人口集中地区・空港等の周辺空域)

上記の緊急用務空域については、パイロットはドローンを飛ばす前に、飛行範囲が緊急用務空域に入っていないか確認する義務があります。
緊急用務空域については、国土交通省のHP( https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html )をご確認ください。

飛行の方法

ドローンの飛行に際しては以下のルールを守る必要があります。

  • 日中での飛行
  • 目視の範囲内
  • 距離の確保
  • 催し場所での飛行禁止
  • 危険物輸送の禁止
  • 物件投下の禁止

上記以外の場合、例えば「夜間の飛行」「目視範囲外での飛行」などに該当する場合は、国土交通省への手続きを経て承認を受ける必要があります。

申請先についてはこちらの記事、申請方法についてはこちらの記事をご覧ください。

航空法に違反したらどうなる?

航空法では「無人航空機の飛行等に関する罪」が定められており、これに該当するとされた場合は五十万円以下の罰金に処するとされています。

また、道路、公園、広場その他の公共の場所の上空において無人航空機を飛行させた者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するともあるため、申請内容以外の飛行方法・飛行場所で無人航空機を飛行させた場合も処罰の対象となります。

過去には実際に航空法に違反した人物が逮捕される事例も発生しており、ドローンに関する規制に違反する悪質な行ないをした場合には厳格に処罰されることが明らかになっています。

無許可でドローン飛ばした疑い 福岡で全国初の逮捕者

2022年6月20日より、従来まで200g以上であった規制対象が100g以上に変わりますのでご注意ください。

航空法の対象外になる機体

航空法には以下の通り記載があり、200グラム未満のドローンは規制の対象外であることが明記されています。

飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(200g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)です。いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。

飛行ルールの対象となる機体|国土交通省

なお、「機体本体とバッテリーの重量の合計」が200グラム未満となっている点には注意が必要で「本体のみで199グラム、バッテリーを付けると200グラムを超える」というような場合は規制対象になってしまうので要注意です。

ドローンに関わる法律
小型無人機等飛行禁止法

小型無人機等の飛行禁止法」は、 国会議事堂や内閣総理大臣官邸、外国公館、原子力事業所、防衛関連施設の周辺地域300mを飛行禁止空域と定めています。また、例えば「米国大統領の来日時などの特定のイベント」の際には、大統領の宿泊施設周辺などが飛行禁止エリアに指定される場合があります。

航空法では100g以上の無人航空機が規制対象でしたが、小型無人機等飛行禁止法の規制対象は重量を問いません。航空法では規制されていない機体であっても小型無人機等飛行禁止法には抵触してしまうという場合もあり得るため、該当地域周辺でドローンを飛行させる場合は注意しましょう。

ドローンに関わる法律
道路交通法

道路交通法(道交法)は第七十七条で「道路において工事若しくは作業をしようとする者」に対して「道路使用許可申請書(申請料2,100円)」を管轄の警察署に提出し、事前に許可証を取得しなければならないと定めています。道路上や路肩などでドローンの離着陸を行う場合はこのケースに該当するため申請が必要です。また、道路を通行する車両に影響を及ぼすような低空を飛行する場合も同様の許可が必要です。

ドローンに関わる法律
民法

民法では「土地所有権の範囲」として、土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ、と定めています。そのため、だれかの私有地の上空でドローンを飛ばす場合は所有者や管理者の許諾を得ることが望ましいといえるでしょう。なお、どれくらいの高さまで所有権が及ぶのかは民法に明記されているわけではありません。

また、仮にドローン飛行させたことを訴えられたとしても、「権利者の権利を侵害した」とされるかは微妙なところです。とはいえマナーの観点からは土地の権利者の許諾を得るべきであることは間違いありませんので、第三者の土地の上空を飛行する場合に事前に連絡をして許可を得るようにするのがおすすめです。

なお、私有地には電車の駅や線路、神社仏閣、観光地、山林なども含まれるため、これらの場所で所有者の許可なくドローンを飛ばせません。

ドローンに関わる法律
電波法

ドローンの操縦には電波を使用するため、他の装置との混線などを防ぐため「特定無線設備の技術基準適合証明(通称:技適)」の取得が義務付けられています。DJIやParrotなどの大手メーカーの正規販売代理店が販売するドローンは技適通過済のため問題ありませんが「海外でドローンを購入して持ち帰った」というような場合は技適を通過していない機体である可能性が高いため要注意です

DJIは、あくまでも販売した国のみの使用を前提にしておりますので、海外で使う際の保証はしておりませんのでご注意ください。
(DJI JAPANで販売された機体は日本国内のみの使用を保証)

技適未取得の機体に関しては、飛行させない、電波を発する状態にしない、というルールを守りディスプレイ(観賞用)などとして利用するようにしましょう。
電源を入れた時点で電波が発せられるため、その時点で電波法違反になってしまいます。

また、同じ2.4GHzでも技適マークがついていなれば電波法違反になるのでご注意ください。

技適の概要については、以下の総務省のウェブサイトからの引用をご覧ください。

電波は多くの人が利用しており、現在の社会生活に欠かすことのできない重要なものですが、電波は有限希少ですので効率的に使って頂くために、使用するチャンネルや送信出力、無線機の技術基準など様々なルールが設けられています。技適マークが付いていない無線機の多くは、これらのルールに従っていません。このような無線機を使用すると、知らずに他人の通信を妨害したり、ひいては社会生活に混乱を来すことになりかねません。

総務省 電波利用ホームページ | 技適マーク、無線機の購入・使用に関すること

ドローンに関わる条例

ここまでご紹介してきた法律は日本全国どこでも当てはまるものですが、それとは別に都道府県条例や市町村の条例によりドローンの利用が禁止されたり、制限されたりしている場合があります。

ドローン利用を禁止する条例の例

都立公園もドローン使用禁止 都、81カ所に通知 |日経新聞

県立都市公園内でのドローン禁止の掲示について|千葉県庁

公園・公共施設 よくある質問|相模原市

内容は各地域によってまちまちなので、都道府県や市町村が管理する場所でドローンを利用する場合は事前に確認をするようにしましょう。

ドローンに関わる法律以外の要注意ポイント

法律に明記された禁止事項でなくても、ドローンを利用する上で避けるべきことや注意すべきことが存在します。

高速道路、新幹線などの上空は飛行を避けよう

ここでは、国土交通省のウェブサイト内の航空:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールに記載のある「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」から、要注意ポイントをご紹介します。

  • 高速道路や新幹線等に、万が一無人航空機が落下したりすると、交通に重大な影響が及び、非常に危険な事態に陥ることも想定されます。それらの上空及びその周辺では無人航空機を飛行させないでください。
  • 鉄道車両や自動車等は、トンネル等目視の範囲外から突然高速で現れることがあります。そのため、 それらの速度と方向も予期して、常に必要な距離 (30m)を保てるよう飛行させてください。
  • 高圧線、変電所、電波塔及び無線施設等の施設の付近では、電波障害等により操縦不能になることが懸念されるため、十分な距離を保って無人航空機を飛行させてください。

上記の他に、注意すべきケースとして、一般道の上空を飛行するケースが挙げられます。道路や歩道を専有していなくても、近隣住民からの通報などでトラブルになる可能性も否定できないため、管轄の警察署に事前に一報を入れるのがおすすめです。

これにより、周囲の状況などについてアドバイスがもらえる可能性があるだけでなく、現地でトラブルが起こった際にも状況が深刻化するのを防げる可能性があります。なお、道路上で撮影をする場合に他人の車を無断で追尾して撮影するなどした場合はプライバシーの侵害とみなされる可能性がありますので、くれぐれも不用意に周囲の人に不快感や不安を与える方法でドローンを飛ばすことがないようにしましょう。

また、これは当たり前過ぎるとかもしれませんが……アルコールを摂取した(酔った)状態や、風が強い状況下や機体に損傷がある場合も飛行しないよう注意喚起がなされていますので、このようなケースに該当する場合も飛行を控えるようにしましょう。

ちなみに、アルコールを摂取した状態で飛行させた場合、1年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金と、航空法のドローンに関する中でも唯一、懲役が科されますので絶対に行わないようにしましょう。

米軍基地上空のドローン飛行は自粛するべき

防衛省、警察庁、国土交通省、外務省が連名で、米軍施設の上空でドローンなどを飛行させる行為をやめるよう「お知らせとお願い」をするポスターを2018年2月20日に公開しています。

米軍施設の上空やその周辺においてヘリやドローンを飛行させることは、重大事故につながるおそれのある大変危険な行為ですので、行わないで下さい。

こうした行為により、航空機の安全な航行を妨害したとき等には、法令違反に当たる場合があります。


お知らせとお願い|国土交通省

みだりに米軍施設上空でドローンを飛行させることは大きなトラブルや事故の原因になる可能性があるため、飛行予定周辺に基地等が無いか確認をするようにしましょう。

100g未満のドローンにも規制はある

ここまでは通常のドローン(100g未満の重量を除いた飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの)の法規制をご紹介してきました。

ですが、正確には100g未満のドローンにも守らなければ罰則を受ける可能性がある法規制が存在します。機体重量が100g未満の小さなドローン、トイドローンと呼ばれるものについての法規制は下記リンク記事にて詳細に解説しています。

トイドローンでも要注意?!100g未満のドローンでも適用される法規制まとめ

ドローンに関わる法律 わからない時はまずココに聞こう!

下記の国土交通省の電話対応窓口(無人航空機ヘルプデスク)は、同省が管轄する航空法についての問い合わせに対応するためのものですが、無人航空機の利用に関する全般的な質問をすることも可能です

もちろん、マナーとして「調べればすぐわかること」や「あまりにも無関係なこと」を聞くのはNGですが、どこに問い合わせるべきかわからないことがあれば、ここに問い合わせると適切な問い合わせ窓口などを紹介してもらえることが多いです。

  • 電  話 : 050-5445-4451
  • 受付時間 : 平日 9時から17時まで(土日・祝・年末年始(12月29日から1月3日)を除く)

なお、筆者の個人的な見解ですが、実際に無人航空機ヘルプデスクに電話をしてみると、とてもていねいに質問に回答していただけることが多く、プロフェッショナルな対応に有り難いと感じたことが多いです。

ドローン利用に関するルールの理解が不確実なまま飛行されることは周囲の危険につながるばかりか、操縦者自身が罰則を受ける可能性もあるシリアスな問題ですので、あいまいな部分があれば「まぁ、いいか」で済ませることなく事前に確認することを強くおすすめします。

編集後記

空撮や点検、測量、リモートセンシング、物流などの幅広い用途への利用が期待されるドローンですが、イベントでの事故などによりその利用を不安視する声が挙がっているのも事実です。悪いニュースが続けばより厳しい規制がかけられたり、ドローンが利用できる範囲が狭まる可能性があり、ひいては日本でのドローン活用が滞ることにすらなりかねません。そのような事態を防ぎ、仕事や趣味にめいっぱいドローンを利用するためにも、この記事を法律や条例を知り、安全にドローンを運用するための参考にしていただければ幸いです。

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