徹底取材!『かながわドローン前提社会ネットワーク』に迫る!

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9月2日、神奈川県庁で『かながわドローン前提社会ネットワーク』の第一回会合が開催されました。この話題をさらに深堀りするべく、同月6日に行なわれたのがドローン専門メディアを対象としたキックオフミーティング。ビバ! ドローンでは、“ドローン前提社会”実現に向け、白熱したトークを余すことなくお届けします。

『かながわドローン前提社会ネットワーク』とは?

『かながわドローン前提社会ネットワーク』とは、“ドローン前提社会”の実現に向け、市町村や企業、アカデミアと連携するべく神奈川県が立ち上げたコミュニティのことです。主な目的は、神奈川県内でドローンの社会的な活用を促進・浸透させることによって、地域の課題解決や経済振興を図ることにあります。

その活動を推進するにあたって、神奈川県では、モデル事業を募集していました。募集内容は、「県内のフィールドにおいて、ドローンを活用した社会課題の解決に取り組む事業提案」であること。業種に制限はなく、「災害」「環境」「物流」「点検・監視」「観光」など、幅広い領域で応募を募っていました。

※第一期の募集は9月12日で終了。今後、第二期の募集を行なう予定とのことです。

モデル事業募集にこめられた、“行政を再定義する”というメッセージ

この日、“ドローン前提社会”に向けて最前線で取り組む生の声を聞かせてくださったのは、神奈川県政策局・未来創生担当部長の脇 雅昭氏(以下、脇さん)。まずは、今回の取り組みに向けた想いを伺いました。

慶應義塾大学 SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアム 副代表の南先生(左)と、神奈川県 政策局 未来創生担当部長の脇さん(右)

脇さん

急速な高齢化や環境問題、鳥獣害対策など、神奈川県はたくさんの課題を抱えています。その課題を解決する手法を探るにあたって、『行政の力って、なんだろう』『行政が世の中に提供できる価値って、なんだろう』という想いがありました。

従来の行政は、『〇〇しなければならない』という考えのもと、条例やルールをつくることで最適解を出してきたんですよね。でも、そういう義務感で発揮される力と、自分たちで『これをやりたい』と思って発揮される力って、ぜんぜん違うと思うんです。

たとえば、誰かからの『ありがとう』という一言で、すごくモチベーションがあがったりしますよね。こういったプラスの気持ちから生まれる力を、神奈川県が抱えるさまざまな課題に対して、うまく活用できるんじゃないかと考えたんです。

この“力の連鎖”を行政で幅広く活かせるように、チャレンジしていくことが僕たち未来創生課の役割です

なぜ、県として“ドローン前提社会”に取り組むのか?

脇さん

「“行政の再定義”を意識したとき、これまでとは違ったアプローチで社会課題を解決していきたいという想いがありました。そこで、『行政には、まだテクノロジーの力が浸透しきれていない』『テクノロジーの力をもっと課題解決に活かせるのではないか』と考えたんです。

テクノロジーのなかでも、なぜドローンなのかといえば、ドローンを誰でも身近に使うことのできる社会が目前に迫っているからです。誰もが手に入るテクノロジーって、とても大事だなと思っています」

課題解決のカギは、誰もが自由に使えるテクノロジーを浸透させること

脇さん

いままで、空はごく一部の人たちが限られた用法だけで触れられるものでした。でも、ドローンが浸透すれば、これからは誰でも自由自在に空を使える世の中になるんです。

もちろん、技術そのものを開発した人はとても偉大ですよ。その一方で、テクノロジーに多くの人々が触れられて、『こんなふうに使えるんじゃないか』と試行錯誤していく。そうやって、自分たちでいろいろと使ってみることで新たな価値が生まれる。それが凄く大事なんだと思います

ドローンの“魅力”を伝えることが、『ドローン前提社会』の肝となる

では、神奈川県でドローンの活用を促進するにあたって、具体的にはどのような要素から取り組んでいく考えなのでしょうか。今回のミーティングに脇さんとともに出席された、慶應義塾大学 SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアムの南 政樹副代表(以下、南 先生)に伺いました。南 先生は、福島県田村市でドローン人材と産業育成を手がけ、地域振興の活性化に貢献してきた人物です。

南 先生

福島県田村市では、ドローンについて知っている人がほとんどいませんでした。だからこそ、田村市では担い手の育成から着手し、若い世代が都市部へ流出することなく地元に定着したくなる仕組みをつくったんです。

でも、神奈川県ではすでにドローンを使っている人や、ドローンの存在を知っている人がたくさんいます。だから、神奈川県の場合は、産業創出という観点で企業がテクノロジーを活用できる環境をつくることが大切だと考えました。

たとえば、神奈川県内でも横浜市や川崎市はDID(人口集中地区)に指定されているので、ドローンのテストフライトが気軽にできる場所がないんです。テクノロジーって、トライ&エラーの繰り返しなんですよね。だから、つくってすぐに飛ばせる環境って凄く大事なんです。

何度も何度も失敗しながら、『次はこの方法で試そう』と試行錯誤を重ねていく──ノウハウとは、そうやって蓄積されていくものなんです。だから、産業を育てるための環境はとても重要ですね。

そこで、まず着手していきたいのがドローンの“魅力”という要素。ドローンをどうやって魅力的に見せるかについて考え、取り組んでいくことがモデル事業へつながっていくと思います。

すでに、ドローンの存在を多くの人々が知っている神奈川県で、僕たちがすべきこと。それは、『ドローンがどんな用途に使えて、どんなふうに便利なのか』という具体例をもっと発信していくことなんだと考えています。それが“魅力を伝える”ということなんです」

県民の生活や思い出にドローンを浸透させていきたい

南 先生

「“魅力を伝える”という点では、県民の皆さんがドローンを身近に感じる機会をもっと増やせればいいなと思っています。行政の課題を解決することも大切ですが、まずはドローンにもっと慣れ親しんでほしいんです。

たとえば、観光地に行ったとき、ドローンで写真を撮ってもらえたら思い出の品になりますよね。あるいは、水難救助でドローンの存在を認識してもらうのもいいと思います。水中や水上でドローンが巡回していれば、『海の安全を守ってくれているんだ』『見ていてくれてるんだ』という安心感にもつながります。花火大会で、たくさんのドローンを飛行させるドローンショーを開催するのもいいかもしれません。

そうやって、県民の皆さんの思い出にドローンを少しずつ浸透させていくことが、魅力づけにつながんじゃないでしょうか。

そのためには、行政のルールを特例的な枠組みで柔軟に変更したり、地元住民の方々にご理解いただいたり、といった取り組みが必要になってきますよね。そういう、テクノロジーを育てるための環境づくりを神奈川県と一緒に進めていきたいんです

 

脇さん

「個人の生活や、行政のなかにドローンがどのように入っていくか──それによって、強い理解を得られたり、次世代のプレイヤーを産むきっかけになったりしていくんじゃないでしょうか。

そういった、人々の生活に寄り添えるものもモデル事業に組み込んでいきたいですね。その積み重ねが、産業の裾野を広げていくんだという話し合いを県庁メンバーでしているところです」

行政の働きかけじゃない、“民”の意志で動くことに価値がある

脇さん

実は、校内でドローン教室を開催したいという声が県立高校からあがっているんです。公立の一校が動くって、凄く価値が大きいんですよね

 

南 先生

田村市(福島県・田村市でのドローン人材および産業育成)でも、最初に手をあげてくれたのは、県立高校だったんです。田村市の場合、市が県立高校に働きかけることって難しいんですけど、いざ始動してみれば『行政のモデル事業にするから』という話になって、軌道に乗っていきました。

高校生ぐらいの年齢になると、社会的な意義も徐々に理解していくので、地元の魅力を発信していくツールとして積極的に活用していこうという姿勢が見られますね。

神奈川県は、(福島県田村市と比較して)大きな枠組みです。でも、一地域での『ドローンを使ってこんな催しをしますよ』という発信を機に、それぞれの地域で取り組みが循環していけば面白いなと思います。

そういった視点でも、公立の学校は“ドローン前提社会”の推進に適しているんじゃないでしょうか」

 

脇さん

「僕たちはこの取り組みを6月から始めていますが、まだ充分な信頼を得られていないと思うんです。

でも、これからさまざまなモデル事業を展開していくことで──たとえば、県立高校での取り組みを知ることで、『自分たちもチャレンジしてみたいな』と許容され、広まっていくことを期待しています」

 

南 先生

日本社会は、よくも悪くも“右にならえ”な一面がありますよね。だから、ほかの人が着手し始めたら、『私もやってみたい!』という反応に変わっていくんじゃないでしょうか。

実際に、田村市(福島県・田村市でのドローン人材および産業育成)がそうでした。

最初のうちは僕たちも黙々と取り組んでいたんですが、『町のイベントで子供たちが空撮を始めました』というふうに、ニュースで取り上げられる機会が増えていったんです。すると、一年がたつ頃には『こんなことにチャレンジしてもいいんだ』という空気が醸成されて、お金を出さなくても自発的に動いていってくれるようになりました

 

脇さん

“民”でできることは“民”でやっていくって、凄く大事ですよね。市町村の課題を誰かに渡すと、それが財産に変わっていくというか。“民”同士が手を取り合っていって、最終的には行政が介入しなくても自発的に動ける流れをつくっていくことが大事なんだと思います

 

南 先生

テクノロジーって、行政が主導してうまくいくものではないと思うんです。コンピュータしかり、自動車産業しかり。行政からのトップダウンで成果の出なかったテクノロジーでも、“民”が自分たちの生活を豊かにしていこうという想いで事業を始めたら、急速に伸びていく。

だから、“民”の声を大事にすることが、行政の本来あるべき姿なんだと思います。神奈川県に期待しているのは、そういった流れを組むための環境や、きっかけづくりですね

“ドローン前提社会”というキーワードに負けない社会をつくりたい

脇さん

ただ単にドローンを活用するだけで終わらせたくないんです。

たとえば、ドローンそのものを開発する会社や、それに対するサプライチェーン。そういったものを前提とした社会になってドローンが増えれば、いまでいう自動車よりもドローンがマストな存在になっていくんじゃないでしょうか。

ドローンのサプライチェーンを神奈川から発信できれば、国内なら豊田市、中国でいえば深センのようなポジションを目指せるのではという野望があります。そのためには、県とか行政単位での連携が必要になってきますよね」

神奈川県を日本全体のベースモデルにしていきたい

脇さん

「神奈川県って、むちゃくちゃ都会かというと、全然そうではない。鳥獣害対策しかり、山林で産業廃棄物が不法に投棄されている問題しかり、環境問題も高齢化問題もあって、そういうところが日本の縮図だと感じています。

これだけ課題があるということは、逆にいえば凄くポテンシャルがあるということなんです。

そんな神奈川県で、まだ黎明期であるドローンが浸透していくことによって、それが日本全体のベースモデルになっていくことを期待しています。都道府県が抱える課題って、地方が持つ特性に置き換えられると思うんです」

 

南 先生

「まずは、地方の特性に合わせた取り組みを仕掛けていきたいと思っています。『北風と太陽』みたいに──あの童話は、日差しが暖かいから旅人が自ら服を脱ぐという話でしたが、魅力的な取り組みが目の前にあることによって、県民の皆さん一人ひとりが自発的に行動してくれるようなアプローチができれば凄くいいですね。

そういった取り組みを神奈川県内にある33の市町村で、最低33ケースはつくっていきたいです」

 

脇さん

「33市町村に対して、自治体ごとにドローンの活用方法についてのアイデア出しをしてもらったんです。すると、もう現段階ですでに12市町29か所で『こんなことができるんじゃないか』という声をもらいました。これって、凄いことですよね。

最初はモデル事業からスタートして、だんだんと社会に受け入れられて、産業が生まれていく。そんな状況をつくっていきたいんです。

神奈川県を皮切りに、社会全体がドローンのサービスを当たり前の存在として受け入れていく流れができれば、日本国内に限らず、世界的に物凄くおもしろいテストモデルになれるんじゃないかと思います

神奈川県を“モノ”ではなく“知”の深センにしていきたい

南 先生

「(会合での『神奈川を深センに負けない“ドローン前提社会”にしたい』という鎌倉市・松尾市長の発言に触れて)深センをそのままモデルにしようという話ではないんです。

深センの成り立ちっていうのは、iPhoneの誕生や部品の流れ、労働力の安さだとかいろいろな理由が絡み合った地政学的なもの。それを人為的に目指そうとなると、人が考えたアイデア──つまり知的財産をたくさん産み続けることがビジネスになると思うんです。

日本は、土地も高いし税金も高い。大きな土地でマニュファクチャリングをするというのは現実的ではありません。

それよりも、優秀な人をたくさん集めて自由な発想ができる場所をつくり、そこでライツを取得していくという戦略のほうが向いていると思うんです。

ドローン業界でいえば、株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区)さんがそういったことを先見的に手がけていることに大きな意味があるなぁと。

だから、“モノの深セン”ではなく“知の深セン”という発想がよいかなと考えています」

楽しくてわくわくする体験に、ドローンはもっと寄与できる

脇さん

『ドローンっていいよね』というのは、皆さん感覚的にわかってらっしゃるかもしれません。でも、それをリアルに落とし込むには、やはり先ほど話していた“自分の生活上の動線にくる”とか、そういった状況をつくっていかなければならないんですね。

そのためには、神奈川県の抱える課題を“見える化”できる状況をつくりたいと思っています。

だから、モデル事業でさまざまなジャンルの業界から手をあげてもらうというのが大事なんです。

災害関係でいえば、火山活動の監視や、海水浴場での水難救助だとか。鳥獣害対策に、農地の現況調査、物流なら外出困難者の買い物支援対策もできるんじゃないかと。

ほかにも、公共・福祉施設の点検、漁港なら水中の監視もやっていきたいですし、神奈川県には横浜、鎌倉、箱根と観光地がたくさんあるのでツーリズムもいいですし、エンターテイメントの分野からも手があがってほしいです。

人がわくわくするって、凄く大事な体験じゃないですか。課題をいかに解決するかも大事なんですけど、もっと楽しくてわくわくする体験にドローンが寄与できると思うんです」

 

南 先生

「今度ラグビーの大会がありますよね。そういう大きなイベントごとに絡めて、日産スタジアムの外でドローンを使って遊べるだとか、そういう体験ができると少しずつ浸透していくんじゃないかと思います」

ケースバイケースな対応で、気軽にドローンを飛ばせる世の中に

南 先生

「いまって、ドローンに触れるきっかけそのものがないんです。ただ飛ばすだけにしても、都市公園条例があって、簡単には飛ばせないじゃないですか。

藤沢市にある辻堂海浜公園って、凄く広いんです。たとえば、あの公園でエリア分けができて、条件付きなら公園管理者の権限でドローンやスケボーを使ってもいいというようにルールを上書きするとか。ケースバイケースで判断していいんだということが伝われば、そういう工夫って皆さんされると思うんですよ。

農薬散布なんかも、平成4年に出た通達が大勢の記憶にずっと残っていて、ドローンでの空中散布をしてはいけない空気になっている。法律で禁止されているわけでもない、ただの通達が独り歩きしているんです。

そういうルールの整備だとか、行政の権限でできることがたくさんあるはずなので、モデル事業も併せて精査が必要だと思います。

魅力づくりでいえば、公園や神奈川県が所有している施設でドローンを運用できるように規制を緩和できれば、ずいぶん変わっていくでしょうね

 

脇さん

「この“一穴あける力”って凄く重要で、そういうシーンでは具体的な課題が大きな力を持つようになるんです。

たとえば、農業をテクノロジー化しようというときにヘリコプターではなくドローンの技術が出てきましたよね。テクノロジーの進化に合わせて、農業の担い手が減少してきているなかで、『十年後、二十年後の農業はどうする?』というリアルな課題が見えてくるんです。

そういうときに、『現行のルールって、このままでいいのかな』ということに気付ける。その課題感をどれだけ集めて、どんなふうにマッチングさせて、外に出していくかというのが凄く大事なんです」

 

南 先生

「そういう意味では、『県がテクノロジーを使って社会を変える』という話をしてますけど、県の姿勢を少し変えるだけで、風向きを変える後押しができるというか、きっかけになるんじゃないかと思います。

せっかく“ドローン前提社会”と言ってくださったのだから、『ドローンでちょっとお試し』という気軽な体験ができるように考えていただきたいんです。やがてそれが別のテクノロジーにもつながっていくかもしれないですしね。

たとえば、それがVRになるのかもしれないし、あるいは、家のなかにロボットが3台くらいいる“ロボット前提社会”になるのかもしれない。そうなってくると、きっとまたいろいろな規制やルールが必要になってくるでしょう。試行錯誤しながら、『ああしたら失敗して、こうしたら成功した』というノウハウが神奈川県に残ることが凄く大事だなと思っています」

 “民”と“民”の出会いをもっとデザインしていきたい

脇さん

「ネットワークの役割については、いま考えているところなんですよね。先日の会合(『かながわドローン前提社会ネットワーク』)にしても、本当に議論を深めるための場所なんだろうかという疑問があったんです。

それこそ、ああいう場は百何十人という大勢の人々が出会う場所。出会いをもっとデザインして、それぞれの強み弱みを見える化するような仕掛けで、行政が間に入らなくてもいろいろな人々が出会う場づくりをしていかなければならないと思っています。

あとは、プロジェクト単位で動いていくことになるのかな。結局、いかにプロジェクトをいっぱい生み出していくかが重要だと思うんです。その積み重ねで、最終的には“民”だけで動いていただくようになるのが理想ですね。

先を見据えながら、プロジェクトごとにいろいろな人たちに参加してもらうことが大事かなと。そのうえで、若い人たちが増えていくことは凄く素敵だと思います。

それこそ、若いユーザーと直接リーチするんじゃなく、若い人向けのビジネスを展開している人にめちゃくちゃ投資したり。ああいうやり方は凄いなぁと思います。

若い人たち向けのサービスを手がけるということは、若い人たちがいままさに何を感じているのかを取り上げて、それをビジネスとして展開しようとしているわけじゃないですか。そういう人々を応援することが、実はその先にいる若い人たちのニーズを吸い上げられのかなと。

それこそ、行政だけでは把握が難しいと感じたときに、そういった事業を支援していくというのは凄く意義があると思います。それが民間の人々を応援するというか、手を組む価値なんじゃないでしょうか

若い世代へアプローチするための一手は、相互認証制

ミーティングでは、ビバ! ドローン編集長・中村からの質問にも答えていただきました。

ビバ! ドローン編集長・中村

「先日までドローンスクールに通っていたのですが、通っている方々の年齢層が高めだと感じました。同期生のなかで、私が一番年下だったんです。こんなに良いものなのに、同世代の友人はドローンにあまり興味を持ってくれなくて、寂しいなと思いました。

先ほどお話にあがったように、まずは若い方がドローンに興味を持てば、未来につながっていくんじゃないかと思うんです。そういった若い世代に向けて、どんなアプローチ方法があると思いますか?

南 先生

「たとえば、けん玉とか竹馬みたいに、学校にドローンが普通に置いてあって、自然に学んでくれるのが一番だと思います。ドローンスクールって、短期間で仕事のために技術を覚えなきゃいけないという理由で通う人が多いんです。時間がないなかで、ドローンを利用する知識を正確に身につけるための場というか。

僕はドローンをたくさん飛ばしているほうですが、ライセンスは持っていないんですよね。ライセンスなんて、農薬散布ぐらいしか持ってないんです。それも条例があるから必要に応じて取得したわけで、ライセンスの有無ってあまり関係ないのかもしれません

じゃあ、若い人にドローンを使ってもらうにはどうすればいいかと考えたときに、ドローンレースやドローンを活用したゲームなんかの、スポーツ的な部活動づくりが有効な手段じゃないかと思います。

ドローンスクールって、自動車学校と同じくらい費用がかかるんですよね。それを、たとえば県や市町村単位、あるいは任意のグループごとに分けて、『あなたはこれだけ飛ばせる技術を持っている人なので、それを証明します』という信頼の輪だけでつながるような相互認証制度があってもいいと思います。

必ずしも講習過程がなきゃいけないんじゃなくて、ブロックチェーンみたいに第三者的に証明するという方法があってもいいと思うんです。それも行政がけん引するんじゃなくて、主導するのはあくまで地元の民間企業や教育機関。

特にビジネスでドローンを使いたい人たちにとって、ドローンスクールは必要な存在だけど、『選択肢がそれしかない』というのはもったいないですよね。たとえば、お金がない子供たちがドローンを飛ばすために、もっと違うアプローチがあってもいいかなと思っています

モデル事業は通年で継続させていきたい

脇さん

モデル事業の募集は9月12日でいったん締め切りますが、二次募集、三次募集と継続していきたいと思っています。

実は、今回補助金を出さない理由のひとつにそれがあるんです。税金を投入すると、年度末の3月末までに結果を出さなきゃならないんですよね。でも、なにかの成果を出すには時間がかかってしまう。そうなると、もう動き出さなくてはならない。でも、お金を出さないことで通年で継続できるんです。

必要なものを必要なときに必要とする人たちと手を組んでいくためには、この方法がベストだと考えています。僕らの挑戦は、そこにあるんです。そうやって、どんどん行政が口を出さなくても“民”同士で動いていただく、マッチングの役割を担っていきたいと思っています

編集後記

コミュニティの設立背景からモデル事業にかける想い、神奈川県と日本全体の未来にいたるまで、ざっくばらんに語ってくださったおふたり。社会課題を解決するカギとして、ドローンが多くの人々に親しまれ、世の中に浸透していく未来は、そう遠くないのかもしれません。ビバ! ドローンでは、今後も『かながわドローン前提社会ネットワーク』に注目していきます。

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