出典(Source):Virgin Hyperloop One | Building DevLoop、以下同じ
もくじ
減圧したチューブの中を超高速で移動する
次世代交通手段
『ハイパーループ』は、ほぼ真空状態にしたチューブの中を「ポッド」と呼ばれる車両が高速で移動する次世代交通手段です。このような乗り物のアイディア自体は1970年代から提唱されていたようですが、世間の注目を集めるようになったのはイーロン・マスクさんがその構想を発表したからにほかなりません。
マスク氏は自動運転機能を備える電気自動車メーカー”テスラ”やロケットの製造と打ち上げを行なう”スペースX”の設立者であり「実現不可能」と言われるような事業に挑むことを矜持とする人物。そんなマスクさんが世に広めたものだけに、当初は『ハイパーループ』もその実用性に懐疑的な見方をされることがありましたが、現在はアメリカ合衆国ネバダ州の砂漠に「Devloop(※開発を意味するディベロップとループを組み合わせた造語)」という実物大のテストチューブをつくり、その中で実際にポッドを走らせるまでに至っています。
ハイパーループ試験場建設の空撮映像
そんな「Devloop」を建設する様子をドローン空撮などでとらえた映像がYouTubeで公開されています。
Virgin Hyperloop One | Building DevLoop
完成したテストコース(チューブ)の全長は500メートル。そして、ここに至るまでには、長い建設の道のりが……
砂利と砂だけの荒れ地を、整地するところからスタート。
完全に人気(ひとけ)のない荒野です。
まずは、建設作業員や研究者たちが仕事をするための建物づくりからスタート。
完成した建物の中には、大勢の人が集まりプロジェクトが動き出します。
現地にトラックで運び込まれる「チューブ」。
コンクリート製の「脚」の上に、巨大なリフトで「チューブ」を設置していきます。
建設用クレーンの上から空撮した様子はこんな感じ。
この巨大な「チューブ」の中をほぼ真空にして、空気抵抗を極限まで減らした状態で「ポッド」という車両を時速1,000km超の速度で走らせることがこのプロジェクトの目標です。
地平線に向かって伸びる「チューブ」。なお、このような輸送手段はUAEやインド、サウジアラビアなどで実現に向けた調整が進められており、早ければ2021年に実用化される可能性もあるそうです。
ハイパーループの「チューブ」の中を移した映像は以下の通り。完全にSF映画の中の世界です。
「ポッド」と呼ばれる車体はこちら。磁力を使って浮遊した状態で「チューブ」の中を移動するリニア・モーターカーに似た仕組みの乗り物です。
実験における最高速度は、秒速107m(時速385km)にまで達しているそうです。
編集後記
今回の映像に映っている「Devloop」を建設しているのはハイパーループ・ワンという会社。こちらの経営にはイーロン・マスクさんの他に、ヴァージン航空などの創業者として知られるイギリス人実業家リチャード・ブランソンさんも参加しており、近未来交通業界のドリーム・タッグが結成されています。
もちろん、実現に向けた課題や疑問も多く、例えば「短時間で時速1,000kmに加速し減速する状況に乗客が耐えられるのか?」といったものから、「チューブをほとんどカーブさせられない」という構造上の特性から敷設場所が極めて限定的になるといった弱点、「効率的な放熱方法が確立されていない」など、クリアしなければいけないことはすくなくありません。
そのため、「砂漠地帯をまたいだ都市間で、貨物輸送用」としての実用化が最も現実的で、実際にUAEではそのようなプランを前提に調整が進められているようです。さて、そんな未来の乗り物『ハイパーループ』にあなたは乗ってみたいですか? ぜひ、SNSで感想を教えてください。