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空から急行!人命救助&レスキュードローンの事例8

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レスキュードローン

出典(Source):DJI Stories – Saved By A Drone

もくじ

実用化が進むドローンによる
レスキュー&人命救助

ドローン(UAV・マルチコプター)は飛行機やヘリコプターより機体も運用コストが安く、無人で飛行させられるため人命を危険にさらすことなく危険な場所を飛行させられます。このような特性を活かしてドローンを捜索や救助などのレスキューミッションに活用する試みが広く行なわれています。

2018年には山や海で遭難した人をドローンで捜索した結果、無事に発見して救助されるといったことが現実に起こり、ドローンの有用性が証明されました。この記事では、そのようなドローンによるレスキューの事例を動画を交えてご紹介していきます。

ドローンによる人命救助の事例
山岳救助

アイスランド北部の山を散策していたカップルが日没後に道に迷って、遭難した際の捜索にドローンが活用されました。幸いにして2人が所持していたスマートフォンは電波を受信できたため、112番(現地の緊急通報電話。日本で言う119番)に救助を求めたところ、現地のレスキューチームが捜索を開始しました。しかし、GPSの信号などから遭難者の位置を特定することはできなかかったため、めぼしいエリアをくまなく捜索しなければなりませんでした。

しかし、地形が険しいアイスランドでは、いくらベテランの山岳レスキューと言えども人が歩いて探せる範囲は限られています。そして、夜間の気温は極めて低くなるため素早く遭難者を発見できなければ凍死してしまうリスクが高まります。 そこで「Dalvik Search & Rescue」のチームはドローンを使って空からの捜索を行ないました。

空からの捜索であれば険しい地形も問題にはなりません。飛来したドローンのローター音を聞きつけた遭難者がスマートフォンのライトを点灯させ、救助を求めたところドローンのカメラがそれを捉えて無事発見。まもなく2人は無事に救助されたそうです。

【動画】DJI Stories – Saved By A Drone

また、別の事例として、英国警察が3年前からドローンによる捜索を行ない、最新の『Mavic 2 Enterprise』も救助活動に取り入れている様子が動画で紹介されています。

【動画】DJI – Mavic 2 ENTERPRISE – 「イギリス警察 – 人命救助」

こちらの事例では、米国アリゾナ州のメサ(メタ)市の消防署が人命救助にドローンを活用している事例が紹介されています。同署の管轄にはハイキングコースや川下り(カヌー、ラフティング)の愛好者が訪れる河があり、事故が発生することがあるそうです。救助の成否にはスピードが重要であり、ドローンで素早く現場を捜索することで正効率が高められるそうです。

【動画】DJI – Mavic 2 Enterprise – 「米国メタ市消防局 – 救助活動」

このような山岳救助の場面では、少数のチームが素早く空からの捜索を展開できるドローンのメリットが遺憾なく発揮されており、ズームやスピーカーなどの機能が救助に役立っている様子が紹介されています。

また、寒冷地においては人の体温が周囲と大きく異なるため、サーマルカメラを登載したドローンによる救助も行なわれています。

【動画】 DJI – M200 Series – Search and Rescue in Extreme Environments

なお、植物が生い茂る日本の山では光学カメラやサーマルカメラでの捜索はアイスランドなどの場所と比べると困難であるようです。また、夏場の気温が高い状態では人の体温と地表の温度が近くなるため検知が難しくなるようです。以下は人命救助とは別のシナリオですが、熱検知カメラを登載したドローンでどこまで人を探せるのか? という実験を夏場の日本で行なった様子が公開されています。

【動画】 PR: 半裸男vsドローン。熱検知カメラはドコまで人間を映せるのか大実験 with KELEK – YouTube

ドローンによる人命救助の事例
海難レスキュー

2018年のドローン業界で最もポジティブだったニュースのひとつがドローンによる救助の成功です。オーストラリア海で泳いでいるうちに沖に流されてしまった男性2人にドローンが救命具(浮き)を投下し、無事に救出するというレスキュー事例が報道されています。AFP(フランス通信社)のYouTubeチャンネルでは、ドローンカメラが捉えた救助の瞬間の映像が公開中。以下のリンク先の映像では、ドローンから救命具が投下されると、海中で膨らみ「浮き」になり、それに男性2人がつかまって高波をやりすごす様子を鮮明に見ることができます。

【動画】Australia lifesaving drone makes first rescue

なお、報道によれば、2名の男性はこの後ライフセーバーが待機する海岸にたどり着き、怪我などもなく無事に生還したそうです。

また、ニュージーランドのクライストチャーチでは固定翼ドローンを使った捜索の試みが行なわれています。地元の有志からなるコーストガード(沿岸警備隊)と協力して海難救助に取り組んでおり、有人飛行機やヘリコプターなどを投入するのが危険な場所でも空からの捜索を可能にするために機体の開発を進めているそうです。ちなみに、大型の機体は10時間の飛行が可能で、レスキュー用具(浮き輪など?)を搭載することも可能だそうです。

【動画】New Zealand’s search and rescue drones – YouTube

ドローンによる救助の試みはイランでも行なわれており、最大3個の浮き輪を登載したドローンを溺れている人のところに急行させ助けるという実験が行なわれています。

【動画】The Iranian Drones That Save Lives

ドローンによる人命救助の事例
火災時の救助

火災現場でも、サーマルカメラと光学カメラを組み合わせることで、人命救助に活用する試みが行なわれています。氷河や寒冷地とは逆に、火災現場では人間の体温のほうが低くなるため煙の裏に隠れて見えない場所に人がいるかどうかを空からサーマルカメラを使って捜し出す様子が以下の動画で紹介されています。

【動画】DJI – Introducing the Zenmuse XT2

まだまだある!
人の命を救うドローン

捜索や救助の他にも人の命を救う目的でドローンやその“親戚”たちが活用される事例があります。以下ではそのようなユニークな事例をチェックしてみることにしましょう。

消火用ドローン

ドローン(マルチコプター)ではありませんが「空飛ぶホース」で消火活動をするという実験も行なわれています。まるで龍のように動くホースが炎に向かって放水する様子はなかなかの迫力。これも“ドローンの親戚”による人命救助活動を目指す取組の一環と言えそうです。

【動画】空飛ぶホースで消火 – YouTube

将来的には、よりホースを長くした物をはしご車の先端に取り付けることで、建物の奥深くまでホースを送りこめるようにするのが目標とのこと。人がホースを持って炎に近づかなくて良くなる分、安全性が高まります。

ドラゴンファイヤーファイターの発展形

AED輸送ドローン

こちらは「アンビュランス(救急車)ドローン」と名付けられた機体のコンセプト動画です。心肺停止かそれに近い状態の患者に電気ショックを送り蘇生するAED(自動体外式除細動器)をドローンに搭載し、通報があった場所をスマートフォンから送られる位置情報から特定。空から急行、機体が備えたスピーカーから音声によるガイダンスを行ないながら、AED使用者のサポートをするというシナリオが紹介されています。

【動画】TU Delft – Ambulance Drone

警備ドローン

複数台のドローンを自動で巡回させる仕組みにより不審者の発見や追い払い、不審火の検知などを行う世界初の警備システムをNEDO、KDDI、テラドローン、セコムが開発しています。4GLTE通信ネットワークを活用した自律飛行するドローンの「群」による警備の実証実験は世界初とのこと。実際にドローンが不審者役の人物を補足して追い払う訓練の様子は以下でご覧いただけます。

【動画】複数ドローンを活用した広域警備実験

輸血用血液輸送ドローン

ルワンダで活動するジップライン社は半径75kmの圏内に自動航行で輸血用の血液を届けるためのドローンを開発しています。ルワンダの郊外は陸上の移動が難しい山がちなエリアがあり、現状のバイクやトラックによる輸送では手術の際に輸血用血液の到着を1日以上も待たなければならないことがあり、そういった問題を解決するためにドローンの活用が検討されているそうです。

【動画】Drones carry patients’ blood for a fee in Rwanda

医薬品輸送ドローン

物流大手のDHL(デーハーエル)はタンザニアのヴィクトリア湖でドローンによる医薬品の配送を開始しました。「パーセルコプター」と名づけられた固定翼を備えた垂直離陸方の「VTOL」ドローンは最高時速は130khで飛行でき、ペイロードは最大4kgとのこと。「蛇に噛まれた患者に血清を届ける」といった緊急事態が起こった時に血清を空から届けるといった用途が想定されています。

道路の状況が悪い現地では陸路での輸送が困難で、停電が日常的に起こる地域では冷蔵保存な薬品や輸血用の血液の保管が困難であるという状況もあり、その打開策として予備電源を備えた「配送センター」からドローンで遠隔地に血清や血液を送る方法が注目されています。

【動画】Deliver Future: Parcelcopter 4.0 | Delivering vital medicines by drone

レスキュー&人命救助ドローン記事の編集後記

危険な場所でもものともせず飛行できるドローンは過酷なコンディション下での人命救助の強い味方です。一方で、バッテリー駆動時間の短さから市販機では30分程度しか飛行できない、雨や雪が降ると特殊な機体でないと飛行させられない、といった弱点があります。

将来的には自動航行と群飛行で一気に広いエリアを捜索することや、安価な防水機体の登場で、より効率的な捜索や救助ができるようになるかもしれません。

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2018.12.21


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