今なにかと話題のドローンを使って「空撮動画にチャレンジしてみたい!」という方も少なくないと思いますが、まず、最初にしなければならないのはどのドローンを買うかという選択です。せっかくですから、良い機体が欲しいですが、上を見れば20万円? 40万円!? いやいやそれ以上!! という際限のない世界です。
これだけの大金をポンと出せる方は少ないはずなので、この記事では、空撮用にどのドローンがおすすめなのかを(1)値段の安さ最優先、(2)値段と性能のバランスが良さの2基準で選択した機体をご紹介していきます。
もくじ
プロが値段別におすすめドローンをチョイス
ドローン専門メディアを運営したり、ドローン空撮案件の受託も行なったりする中で日々ドローンを飛ばし、相談を受けり評判を聞いたりした結果をもとに、おすすめのドローンをまとめているので、ぜひ、ご覧ください。また、記事の後半には何がドローンの価格を決めるのか?といった「知っ得情報」もありますのでお見逃しなく!
値段の安さ最優先で選ぶ!カメラ付き空撮ドローン
ドローン空撮の練習を始めたいけれど、最初から機体に高いお金はかけたくないという方向けに、値段が安くても写真や動画の撮影ができる機体を選びました。
とにかく安く
HD動画空撮ができる
・Holy Stone F181W
安価なトイドローンでAmazonのランキングを席巻しているホーリー・ストーン社製の『F181W』はHD画質(1080P)での動画撮影が可能なカメラを備えた格安ドローンです。
販売価格が8,000円代と値段が安く気軽に買えるのが強み。ボタンひとつでホームポイントに帰還できるリターンモード機能搭載や、専用の大型コントローラーに加えてバッテリーが2個付属するなど、セット内容が充実しているのも魅力。プロペラガードも標準で搭載されているので、室内飛行にも好適です。画質に期待しすぎてはいけませんが「サクッと買ってパッと撮るならこれもあり!」と言える製品です。
折りたたんで
コンパクトに持ち運べる
・Holy Stone SHADOW HS160
アームを折りたたむことで収納時のサイズをコンパクトにできる持ち運びに便利なドローンです。自分で荷物を背負っていかなければならないアウトドア・アクティビティの時も持ち出しやすく、カメラ性能はHD画質(720p)で撮影ができます。
YouTubeにあったHoly Stone SHADOW HS160で撮影した動画のサンプル
1万円以下で
迫力サイズの空撮ドローンをゲット
・DBPOWER U818A
幅30cm超と、同価格帯のトイドローンと比較して大きめの機体で迫力のある飛行が楽しめる1万円切りのドローンです。カメラはHD画質(720p)で、このクラスのドローンとしては一般的なレベル。機体サイズが大きくなるぶん、風などの影響を受けづらくなるので、小型のトイドローンより安定した飛行をしながらの撮影ができるモデルとなっています、
YouTubeにあったDBPOWER U818Aで撮影した動画のサンプル
2万円切りの値段で買える
フルHD空撮ドローン
・Holy Stone HS300
フルHD画質(1080p)での動画撮影が可能なカメラを備えた空撮ドローン。HD画質の空撮ドローンには1万円切りモデルがあるのに対して、値段も上がりますがワンランク上での画質で撮影が可能です。本格的な空撮とまでは行かなくても、格安ドローンよりは良い画質で撮影がしたいという人は要チェックです。
YouTubeにあったHoly Stone HS300で撮影した動画のサンプル
—裏技!カメラを自分で後付けすれば2万円以下で4K空撮ドローンが手に入る—-
値段の安さ重視でドローンを買うなら
必ず知っておきたいこと
1〜2万円代の価格帯の格安ドローンは「ジンバル」と呼ばれるスタビライザーを搭載しておらず、カメラその物の性能も値段なりです。写真や動画にブレが発生しやすく、画像(映像)の暗い場所にノイズがのったり、明るい場所が白飛びしやすいという弱点があることは否めません。決して「ハリウッド映画のような滑らかな動画」や「パキパキにシャープな写真」を撮影することはできませんので、あくまでもカジュアルに空撮を楽しむためと割り切って購入するようにしましょう。
〜 おすすめ記事 〜
値段と性能のバランスで選ぶ!カメラ付き空撮用ドローン
ここからは、トイ・ドローンよりも滑らかで美しい映像が撮れるドローンをご紹介します。このグレードのドローンとそれ以下のドローンを分ける最も重要なポイントは、標準でジンバル(スタビライザー)を備えているか否かで、このパーツが有ると機体や風か生み出すブレと揺れを抑えたスムーズな空撮が可能になります。
補足:ジンバルについて
ドローン用ジンバルはロール・ピッチ・ヨーの3軸でブレや揺れを補正することができ、安価なモデルだと2軸補正の場合もあります。「ロール・ピッチ・ヨー」がどんな意味かというのは、以下の画像をご確認ください。
画像出典:Wikipedia
手のひらサイズの機体で
滑らかな4K動画が撮れる!
・DJI Mini 3 Pro
安定した飛行と3軸スタビライザーによる揺れとブレの補正で「ハリウッド映画の空撮シーン」のような滑らかで美しい空撮を4K画質で撮影できる機体です。折りたたみも可能で、コンパクトに持ち運べるのでアウトドアでの使用などにもおすすめ。
ドローンの値段は何で決まるのか?
「ドローン」とひと口に言っても、その値段は数千円のものから、100万円を超えるものまでさまざま。ここでは、ドローンの価格を決める要素をチェックしてみることにしましょう。
フライトコントローラー
センサーから送られてきたデータやオペレーターの指示(操作)に迅速に反応してモーター(ローター)をコントロールして機体の姿勢を制御する「頭脳」の役割を担うのがこの部品です。
センサー
自動で高度を維持したり障害物を回避するために使用されるセンサーは飛行の安全性に関わる重要な部品です。激安トイ・ドローンにはまったく搭載されていないか、ジャイロセンサーと気圧センサーがついているのみということも少なくありませんが、20万円近い価格のPhantom 4 Proには5方向の障害物を検知するための複数のセンサーが搭載されています。
モーター
価格に大きな影響を及ぼす部品ではないかもしれませんが、ドローン用には「ブラシモーター」と「ブラシレスモーター」の2種類のモーターが存在します。「ブラシモーター」は制御が電圧の調整で行われるのに対して、ブラシレスモーターは電気的な信号で操作をするためより精密かつ安定した制御ができる一方で、価格は割高になります。
バッテリー
バッテリーの価格はセルの性能だけでなく、追加の機能によっても上下します。DJIは自社のバッテリーを「インテリジェントフライトバッテリー」と呼んでおり飛行時に電池残量をリアルタイムで表示できる他、着陸予定地点との距離とバッテリー残量を併せて計算し、帰還に必要な容量を下まわりそうになると警告を発するなどの機能を備えており、当然、値段もただのバッテリーより高価になっています。
ジンバル
カメラと機体の間で飛行時の揺れや傾きを補正しブレの少ない写真や滑らかな映像を撮るための部品です。ほとんどのドローンはこのパーツを備えておらず、デジタル式のブレ補正に頼っているため映像に揺れが目立ったり、補正が効ききらずブルブルとなる「ジェリーエフェクト」が発生する場合があります。いっぽうで、DJI製のカメラ付きドローンやGoProのKarmaなどは高性能のジンバルを備えているため映像や写真を頭ひとつ抜きん出たクオリティで撮影可能です。
カメラ
レンズや撮像素子、画像/映像処理エンジンなどで構成されるカメラも空撮用ドローンの価格と性能に大きな影響を与える部品です。一般論として、センサーが大きくレンズの口径が大きいカメラほど明るくクリアな動画や写真が撮れますが重量が重くなります。そして、重いカメラを空に飛ばすためにはドローンに大きなパワーが求められるため価格が大きく上がってしまいます。
なお、上記以外にも生産台数によるスケールメリットが価格に影響を与えたり、為替変動が値段に影響を与えたりと、より厳密には複数の要素がドローンを購入する際の金額に影響を与えるわけですが、この記事ではこれ以上は割愛しています。
値段が安すぎるドローンは要注意!
激安ドローンの一部には、技適を通過しておらず電波法に違反する可能性がある物や、粗悪なバッテリーを搭載しており落下時などに発火するリスクが高い物があるため要注意です。
激安ドローンを購入する場合の注意点は以下の記事に記載がありますので、ぜひ、この記事と併せてご覧ください。
〜 参考記事 〜
目的別でチョイスする!購入するべきドローンの値段(価格帯)
ここまで、値段別のおすすめドローンと機体の値段に影響を及ぼす要素をチェックしてみましたが、「結局、私がしたいことを実現するにはどれくらいの値段のモデルを買えばいいの?」というギモンが解消できていない方もいらっしゃるかもしれません。そこで、ここでは目的、やりたいこと別にどれくらいの予算が必要なのかををざっくり整理してみましょう。
写真中心で空からの景色を手軽に見たいなら
値段が安いドローンを買ってもOK!
写真は動画にくらべて機体の揺れの影響を受けづらいため、ジンバル(スタビライザー)のない安価な機体でも風の弱く明るい場所で機体を静止させて撮影すればふた昔のコンパクト・デジカメで撮影したくらいの写真が撮れます。静止画中心で画質にこだわらず手軽さを重視するなら、アンダー1万円の機体の購入も選択肢として「あり」です。
動画中心で滑らかな映像を撮りたいなら
お値段5万円代から!
動画は機体や風による揺れの影響が顕著に現れるため、滑らかな映像が撮りたいならジンバル(スタビライザー)付きのモデルを選ぶのがおすすめです。Mavic Miniなどがこのジャンルの最安クラスになるため、5万円台からがスタートラインになります。
4Kでスムーズな動画を撮りたいなら
10万円以上の値段の機体が実用レベル
そもそも4K動画を撮れるドローンの数が少なく、その中でもジンバル(スタビライザー)付きとなるとDJI Mini3 Proなどが候補になります。4K撮影を売りにする安価なドローンは、ブレ補正技術が未熟でせっかく解像度は高くでもブレブレで鑑賞に耐えないものが大半のため、スムーズな映像が撮りたいなら10万円以上の出費は覚悟する必要があります。
値段帯別
ドローンメーカーランキング
下記の記事では、値段帯別のメーカーランキングをご紹介していますで、ぜひ、チェックしてみてください。
編集後記
日本でAmazonなどから手軽に購入できる空撮用ドローンの値段は、ホーリー・ストーンを中心とする格安トイ・ドローン勢力と、DJIを中心とするハイスペック勢力に2分できます。
画質にこだわらず「まず飛ばしたい、手軽に遊びたい」という人向けにはアンダー1万円でも充実した選択肢がありますが、動画空撮でそれなりのクオリティを求めると、DJI、GoProなどいずれもオーバー10万円クラス機がほとんどになるため、それなりの出費を覚悟する必要があります。
人それぞれの目的と予算があるため、一概に言うことができませんが、今後、映像や写真を見る環境はスマホであれPCであれどんどん高解像度化していくことも踏まえると、長く空撮を楽しみたいなら4K対応のモデルがおすすめと言えそうです。