出典(Source):Blackmagic Design
ミラーレスカメラやドローン、あるいはスマートフォンまで。昨今はハイクオリティな動画を撮影できるカメラが増えており、価格も手頃になっています。ですが、動画は「撮っただけは完成しない」というもの。撮影後には編集をしないと、広くオーディエンスの鑑賞に耐えうる作品にはなりません。そこで必要になるのが動画編集ソフトというわけ。
動画編集ソフトと言ってもその種類はいろいろで無料で手軽に使えるものから効果な業務用のものまで大量に存在しています。しかし、プロ用、あるいはプロを目指すべき人が使用するべきソフトウェアは限られています。インターネットを検索すると「プロ並みの映像がつくれる」という触れ込みでマイナーなソフトウェアを紹介している記事も散見されますが、それを真に受けてそのソフトで編集を覚えてしまっては後々編集を仕事にするときに大きな苦労をすることになります。
「タクシードライバーになりたいのに、車ではなくスクーターバイクの運転を練習する」ようなことは、まったくのムダとは言わないまでも、目的に対してツールが噛み合ってないことは間違いありません。そんなことにならないためにも、この記事で紹介している情報を参考にして、ぜひ、あなたにぴったりの編集ソフトを見つけてください。
もくじ
プロが使える動画編集ソフトとは?
動画編集のプロにも種類は様々。編集全般を行なうエディターから音に特化したサウンドエンジニア、色調整に特化したカラリスト、特殊効果専門のVFXアーティストなど、たくさんの仕事があります。また、働く現場も映画なのかTV番組なのか、インターネット配信なのかなどによって作法も様々です。
この記事が対象とするプロフェッショナルの範囲
この記事では以下のような範囲の“プロフェッショナル”とそれを目指す人を対象に記事を書いていきたいと思います。もちろん、これ以外が「プロではない」と言うことはありませんが、動画編集ソフト入門の知識が必要な人たちが目指す“プロ”の範疇として、適切と言えるのは以下のカテゴリーではないでしょうか?
- 映像制作会社の動画編集者
- ウェディング、PR映像などの編集者
- YouTuber、Instagramer
※ CGスタジオやフィルム(非デジタル)の映像の編集は大きく内容が異なるため、本稿では対象外としています。
プロ用ソフトウェアに必要な条件
プロ用ソフトにも様々な種類があり、優れた実積を持つクレイターの中にもチープなソフトウェアを使用していたり、キャリアの開始時にそういった種類のソフトを使用していたケースは存在します。しかし(あなたが孤高の天才でない限りは……)定評があり広く普及していて、他の作業者やソフトと連携がしやすいものを選ぶほうが、将来のためになることは言うまでもありません。
- クオリティの高い映像が編集できること
- 広く普及していること=使える人が多いこと
- 他のプロ用ソフトと連携できること
- 安定して作動すること
- 定期的にアップデートが行なわれること
※ ソースネクスト『VEGAS Pro 16(税抜44,189円)』や、Avid「Media Composer(月額税抜き5,900円〜)』なども優れたソフトウェアとして知られていましたが、本稿で紹介するソフトウェアと比べて価格が高くマイナーであることから割愛しています。
有料編
〜プロクオリティの動画編集ができるソフトウェア〜
この記事では無料で使えるプロクオリティのソフトを紹介することがメインテーマです。しかし、そのソフトと言えども完ぺきではないため、それを保管する知識としてまずは有料版の情報をお届けします。
<Adobe:Premiere Pro CC>
出典(Source):Adobe
プロ用編集ソフトの中で、最も大きなシェアを持つのが『Premiere Pro CC』です。そのため、メリットとしては多くのチュートリアル動画や教本があること、多くの製作会社で採用されているため“つぶしがきく”ことが挙げられます。また、アドビ社は『After Effects CC』や『Photoshop CC』『Illustrator CC』などのクリエイティブ系ソフトを多数手がけており、それらが『Premiere Pro CC』とシームレスに連携する点が多くの強みです。
デメリットとしては、月額課金制のため長く使うとコストがかさむ点が挙げられます。また、アップデートを繰り返してきたソフトのためUIが(慣れていないユーザーにとっては)見にくい、macOS上では挙動が遅い、といった点が挙げられます。
実質的な動画編集ソフトのスタンダードと言える存在なので、どれを使うか迷ったらコレにしておけば間違いはない、という存在です。
Adobe:Premiere Pro CCの概要
- 名称(読み方):アドビ:プレミア・プロ・シーシー
- 対応OS:Windows、macOS
- 8K動画編集:対応
- 360°動画編集:対応
- 価格:単体プラン月額税抜2,180円〜
- 公式サイト:https://www.adobe.com/jp/products/premiere.html
<Apple – Final Cut Pro X>
出典(Source):Apple
『Final Cut Pro X』はmacOS専用の動画編集ソフトです。AppleがハードウェアとOS動画編集ソフトの全てを一貫して開発しているためマシンスペックに対して高速に動画するのが大きな特長です。特に自動のバックグランドレンダリングの効果は強力で最後に動画を書き出す際の速度は『Premiere Pro CC』よりはるかに高速です。
一方で、Windowsユーザーは絶対に使えないという点は最大の弱点であり、ユーザー数も『Premiere Pro CC』より少ないことから、チュートリアルや教材が少しみつけづらいかも知れません。
また、編集時の最大の特長であり賛否両論がある点として「マグネティック・タイムライン」と呼ばれるクリップとクリップの間を自動で詰める機能を備えています。動画をカットするだけでどんどんつないで行くことができるため「速い」という人も居れば、勝手にクリップ間のギャップを詰められるのは「余計なお世話」という意見もあり、好みがわかれる点です。
以上を踏まえて、『Final Cut Pro X』はMacで速度重視の編集をする人におすすめのソフトウェアと言えるでしょう。
9to5 Macによる紹介動画
Final Cut Pro X 10.4.4 New Features
Apple – inal Cut Pro Xの概要
- 名称(読み方):アップル:ファイナルカット・プロ・テン
- 対応OS:macOS
- 8K動画編集:対応
- 360°動画編集:対応
- 価格:税別32,222円
- 公式サイト:https://www.apple.com/jp/final-cut-pro/
無料編
〜プロクオリティの動画編集ができるソフトウェア〜
<Blackmagic Design – DaVinci Resolve 15>
出典(Source):Blackmagic Design
動画編集ソフトの2強『Premiere Pro CC』と『Final Cut Pro X』同等かそれ以上の性能を持ち、永年無料で使えるソフトウェアが『DaVinci Resolve 15』です。元々、カラーグレーディングと呼ばれる色調整用の業務用ソフトウェアとして開発されていたものを、一般販売したものであるためその機能と動作速度は強烈で「Premireより機能が豊富で、FInal Cutoより速い」と言われるほどの驚異的な性能を有しています。
有償版の『DaVinci Resolve 15 Studio』は税抜33,980円)』でないと、8K動画書き出しやノイズリダクションやアップコンバート機能が使えないといった少々の制限はあるものの、信じられないほどの機能が無料で使用できます。
一般的な知名度こそ『Premiere Pro CC』と『Final Cut Pro X』に劣り、チュートリアルや教材の数も限られてはいるものの、複数のハリウッド映画スタジオでも採用されるといった実積があり、プロなら知っているという通好みのソフトでもあります。
そのため、とにかく無料で始めたいけど、プロ用ソフトを使いたい、という人は『DaVinci Resolve 15』一択といって過言ではないでしょう。ちなみに、使用感は『Premiere Pro CC』と近からず遠からずといったところなので、『Premiere Pro CC』に移行する際にもそれほど大きな混乱はありません。一方で『Final Cut Pro X』はクセが強いため、こちらに移行する場合は、かなり苦労することになりそうです。
公式解説動画
What’s New in DaVinci Resolve 15
Blackmagic Design – DaVinci Resolve 15の概要
- 名称(読み方):ブラックマジック・デザイン – ダヴィンチ・リゾルブ・フィフティーン
- 対応OS:Windows、macOS、Linux
- 8K動画編集:有償版で対応
- 360°動画編集:対応
- 価格:無料(高機能版『DaVinci Resolve 15 Studio』は税抜33,980円)
- 公式サイト:https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve/
無料で使えるDaVinci Resolve 15のここがスゴい
色調整
『DaVinci Resolve 15』は元々ハリウッドの大作映画でも使われてきたカラーグレーディグ用のソフトウェア。そのため、色調整の機能は定評があります。いまでこそ、『Premiere Pro CC』と『Final Cut Pro X』のカラーグレーディング機能も強化されてきたものの、この2強すらカラーグレーディングにおいてはビギナーですら『DaVinci Resolve 15』の背中を追っている状態です。
実際にどれくらい補正ができるのか? とうのは『DaVinci Resolve 15』のビギナーがiPhoneで撮影した動画をカラーグレーディングしてみた、という以下の動画を見るとよくわかります。
DaVinci Resolve 15によるカラーグレーディング前後の比較
無料で使えるDaVinci Resolve 15のここがスゴい
シネマカメラとの相性が良い
『DaVinci Resolve 15』を開発するBlackmagic Design社は業務用のシネマカメラを開発する会社でもあります。また、シネマカメラとしては極めて安い金額で15万円前後という金額で『BMPCC4K』を販売しており、そのカメラで撮影したRAWデータの編集、特にカラーグレーディングには『DaVinci Resolve 15』が大きな力を発揮します(BMPCC4Kで撮影したデータが『Premiere Pro CC』と『Final Cut Pro X』などで編集できない、というわけではありませんが)。
BMPCC4K: レビュー
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同差速度が速い
以下は、映像機材系レビューに定評のあるMax Yuryevさんによる動画(英語)です。趣旨は『iMac Pro』と『MacBook Pro』の比較なのですが、その中で『Final Cut Pro X』と『DaVinci Resolve 15』、『Premiere Pro CC』の比較が見られます。
Macでのテストのため、大半のテストで『Premiere Pro CC』が遅く『Final Cut Pro X』が1番速い結果になっていますが、4.5KのRAWデータの書き出しでは『DaVinci Resolve 15』が最も速い結果を出しています。
出典(Source):iMac Pro vs i9 Vega 20 MacBook Pro – Ultimate Video Editing Comparison!
また、Windows機(Dell XPS)においても、RAWの扱いは『DaVinci Resolve 15』が最速という結果もあり、速度においても2強と張り合えることが示されています。
出典(Source):2018 i9 Macbook Pro vs Dell XPS 9570 – VIDEO EDITING Comparison! Resolve, Premiere, FCX
無料で使えるDaVinci Resolve 15のここがスゴい
無料
大事なことなので、何回でも繰り返しますが、無料です。お試し期間とかではなく、永年無料です。数多くの編集ソフトを業務に使用してきた筆者が見ても圧倒的に性能が高い『DaVinci Resolve 15』が無料。これは本当にすごいことです。とにかく、お金をかけずに動画編集を始めて見たい人は、まず、このソフトをインストールして使用方法を覚えていけば間違いありません。
以下のリンク先のページの最下部に、ダウンロードボタンがあるので、ぜひ、今すぐチェックしてみてください。
DaVinci Resolve 15 | Blackmagic Design