出典(Source):Flytrex,BBC,AHA
もくじ
アイスランドの首都では
既にドローン・デリバリーが実現
北欧の国アイスランドではドローンによる食事のデリバリーが行われています。特筆すべきは、これが「実証実験」レベルではなく「民間企業により、実際の業務の中で行われている」という点。しかも、ドローンが飛行しているのが一国の首都というから驚きです。
このドローン・デリバリーは2017年にも一度話題になりましたが、その後、改めてBBCニュースが「アイスランド、ドローンによる食事のデリバリーをレイキャビクで拡大」という見出しで、2018年6月にも報じています。
インターネットで食事を注文したら、空から届く、そんな夢かSF映画のようなサービスが実際に行われているレイキャビク。さっそく、その様子をチェックしてみましょう!
レイキャビクでドローン配送(出前)が行なわれる様子
レイキャビク(レイキャヴィーク)は全アイスランド人口の2/3が暮らす街。都市圏の人口は約21万人で、古くから漁業で栄えた港湾都市です。
街並みはこんな感じ。
このレイキャビクでドローン配送を行なっているのはAHAという「出前のオンライン注文サービス」を提供する企業です。このウェブサイトは「オンラインで顧客の注文を受けたいレストラン」と「ネットで手軽に食事の出前がしたい消費者」のニーズをつなぐ仕組みで、ドローン以外に自動車による配達も行なっています。
そして、ドローンの機体を提供しているのはFlytrexというイスラエルの企業です。
オンライン注文が可能になったことで、近年における出前注文の件数は増加しているとのこと。
AHA社では、これまでオンラインでユーザーから注文を受けた後、自動車による配送を行なってきました。
入り組んだ海岸線持つレイキャビクでは、陸路での移動だと到着までに時間がかかる場所があります。道路などのインフラは整っているものの、海によって分断された所ヘは車だと移動しづらいようです。
直線距離ではさほど遠くない場所でも、曲がりくねった道を移動する場合は25分もの時間がかかってしまうケースも。
しかし、それは過去の話。「ドローン・デリバリー」が、陸路移動の限界を超えた食事の出前を可能にします。
「ドローン・デリバリー」の仕組みは至ってシンプル。これまで車に積み込んで運んでいた食事をドローンの下部に備えられた専用のボックスに入れるだけです。
ドローンに巻きずしを入れて、満足そうな表情を見せるスタッフの男性。
配送先をアプリで指定して、離陸させれば、後は全自動。
機体はDJI『Matrice 600』ベースの改造機のようです。
いざ、空へ!
都市部におけるドローン・デリバリーの実用化は世界初の事例とのこと。※ 動画公開時点〔2017年〕の情報
レイキャビク上空を飛行するドローン。こうして見ると「首都」とは言え、建物はまばら。このような土地柄もあって他所に先駆けてドローン配送が実現しているのかもしれません。
動画のデモでは、配達に要した時間はわずか4分程度であるそうです。
ドローンが運んでくる食事を待っていた女性。
人や自動車を動かす必要がないため、配達コストはこれまでの6割減になるとのこと。
出前の食事を受け取った後は、箱を閉めればOK。決済はすでにオンラインで完了しているため、ここでお金を払う必要はありません。
食事を受け取った女性と、その背後で空に向かって飛び立つドローン。
映像の最後には「速い、安い、そして100%電気で可動」の文字が表示されます。再生可能エネルギーの利用が進み、「エコ意識」が高いアイスランドでは、電気で飛ぶドローンによる出前は自動車を動よりクリーンであるというPRにもつながるようです。
今回ご紹介したデモ動画の全編は以下でご覧いただけます。
Flytrex Drone Delivery in Reykjavík, Iceland
ドローン・デリバリーの関連動画
レイキャビクでAHA社が提供するドローン・デリバリーに機体を提供しているFlytrex社の公式YouTubeチャンネルでは、上記以外にもドローンによる配送のデモ映像が公開されています。
Flytrex Delivery Experience
こちらはドローンを着陸させずに、ヒモで吊り下げて荷物を届けるパターン。
Flytrex Delivery – One Shot Demo
実際にアプリだけでドローンを操作する様子はこちらの動画でご覧いただけます。
編集後記
空を飛ぶドローンは地形の影響を受けずに移動できるため、レイキャビクのように入り組んだ地形をもつ場所での活用に向くテクノロジーです。日本でも、離島や山間部の過疎地域へ物流拠点から荷物を届ける手段として注目さており、長野県などでは実証実験が行われています。
このようにドローン・デリバリーには大きな可能性がありますが、現在(2018年時点)の技術では、メジャーな機体の飛行時間は長くても30分前後に留まるといった課題もあります。水素やガソリンを燃料にする機体の開発も進められていますが、危険物を搭載して飛行するため実用化のハードルは高く、都市部での飛行となれば、なおさら実用化は困難と言わざるを得ません。
日本の首都を配送ドローンが飛び回るようになる日は、まだ少し先になるかもしれませんが、人家がまばらな地域ではそう遠くない将来にレイキャビクのような「ドローン・デリバリー」が実現する日がくるかも!?