産業用水中ドローン「FIFISH W6」を活用した実証実験を実施

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産業用水中ドローンを活用した海中設備保守点検作業の実証実験が行われました。

本実験で使用されたのは、シー・エフ・デー販売株式会社が取り扱う産業用水中ドローン「FIFISH W6(ファイフィッシュ・ダブル6)」です。

海洋エリアの点検ならではの課題は数多くあります。実験を通して、「FIFISH W6」は従来の様々な問題をクリアし、安心・安全かつ効率的に点検を行えることが確かめられました

今後は、アジア海域の大型洋上風力発電設備の海中点検機材として正式採用されるそうです。

本記事では、実証実験の内容や、「FIFISH W6」のスペック・特徴についてまとめてご紹介します。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000467.000032645.html

 

実証実験の概要

出典:こちら

アジア海域に設置された洋上風力発電所にて、海中設備の保守点検作業の実証実験を実施。洋上風力発電設備の水中部点検項目は下記のとおりです。

1. 支持構造物の点検調査撮影
2. 水中コラム、補強水平材、点検(陰極防食点検)
3. 通船接岸部点検
4. 生物付着状況確認
5. コンクリート構造、ひび割れ、剥離、剥落、鉄筋の腐食・露出破断など
6. 鋼構造:被覆防食(ナット/ボルトの歪みなど)
7. 抑制装置(ベンドリストリクター) 点検
8. 防塵板、浮力材(筒状浮力体)、海底ケーブル等の確認

 

今回の実証実験は、水中に沈めた支持構造物の点検を行いました。
外洋の高波やうねり、濁りなど、海洋特有の厳しい作業環境の中、安定した点検作業ができることを確認

産業用水中ドローンは、洋上風力発電設備の日常点検に有用だと現場関係者の方からも評価の声が多く寄せられています。

また、建設前の地盤調査、港湾構造物の点検、漁礁の点検への活用できることが期待されています。今後も数多くの現場での活躍することでしょう。

実験で有用性が確かめられた「FIFISH W6」の機能とは?

海は非常に不安定な場所です。そのような環境下でも安定して点検作業が行えた理由は、「FIFISH W6」の高い機能性にあります。

詳しくご紹介します。

「マルチナロービームソナー」

濁りの中でも調査対象を特定でき、今までの目視に比べ一度に調査できる範囲が広がりました。また本機能は、抑制装置(ベンドリストリクター)*の場所を特定するのが困難だった問題も解消


*海底ジョイント沈設作業においてケーブルに過度な曲げ生じないようにするための装置


「音響測位装置U-QPS(水中ポジショニングシステム)」

実験を通して損傷部位の座標まで特定できることが検証されました。

 

このほか、QYSEA社独自のARによる測定技術を駆使することで錆や割れ目の現状把握が可能となります。

実証実験の様子

実際の映像がこちら。

 

背景

再生可能エネルギー*の導入が進む昨今。
「海洋再生エネルギー発電」も同様に注目を集めており、洋上風力発電設備を設置する動きが拡大中です。

海洋再生可能エネルギー発電設備の設置を行うために、経済産業省や国土交通省は『海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域指定ガイドライン』を令和元年の6月に策定しています。

しかし長期的に安全かつ効率的な設備運用を見据えたときにネックになったのが、定期点検を行うための安全性とコストの確保でした。

電気設備の技術基準には「技術員が日常巡回すること」が義務付けられています。
また目視外による点検は「月に一回以上実施すること」が必要です。

洋上風力発電設備は陸から離れた海洋上に設置されています。そのため点検には危険が伴い、安全に行おうとするとコストがかかってしまうのです。

このような課題の解決策として注目されているのが、海中ドローン。

水中の保守点検にドローンを活用すれば、洋上の不安定かつ厳しい作業環境においても安全性を担保しながら効率的に点検を進められます


*再生可能エネルギーとは
太陽光や風力など、化石燃料に由来しないエネルギーのことを指します。

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギーの有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)による定義は下記の通りです。

「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」

再生可能エネルギーとして定められるのは、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱のその他の自然界に存する熱・バイオマス。

温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることが特徴です。
エネルギーの安全性も高く保障されており、低炭素の国産エネルギーとして重要視されています。
エネルギー自給率の改善にもつながるでしょう。

▼参考
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/index.html


産業用水中ドローン「FIFISH W6」について

出典:こちら

実証実験で使用された機体「FIFISH W6」のスペックや特徴をまとめました。
海中作業に特化するために様々な機能を搭載しています。

「FIFISH W6」のスペック

「FIFISH W6」の特徴

特徴1.強化されたモーターパワー

海洋では波がある中で作業をしなければいけません。安定した点検作業を行うために、FIFISH W6では、シリーズ初となる交換式バッテリーを使用
駆動時間は最長6時間
外部給電システム(別売り)を使用すれば、バッテリーの運用時間を気にせず連続稼働も可能です。

特徴2.豊富なオプション選択を用意

プロシリーズのFIFISH W6は、海洋点検に特化した様々な機能を搭載しています。

    • 「マルチナロービームソナー」

濁りや浮遊物で視界が悪くても調査対象を把握できる

    • 「音響測位装置U-QPS」

機体の自己位置を把握できる

    • 「画像鮮明化チップ」

強い濁りのなかで撮影しても映像補正を行い視認性を高める

編集後記

産業分野で活用が広がるドローンの事例をご紹介しました。

水中作業を前提に開発された「FIFISH W6」は高い機動力を長く保持することができます。また視界が悪い海中でも、対象物を鮮明に視認できるカメラや照明の技術はとても便利です。

今後も人々の暮らしを支える様々なドローンをお伝えします。

 

 

 





 

2021.11.24