もくじ
2008〜2018年、空撮はどう変わったのか?
ヘリコプターや飛行機、気球、RC飛行機などを使って空から写真や映像を撮る空撮。ひと昔前までは高価な機材が必要で、一般人の手が届く撮影方法ではありませんでした。しかし、民生用ドローンの普及機として知られるDJIの『Phantom』シリーズが登場した2013年ごろから、グッと手頃になりつつあります。
ニューヨーク空撮の歴史
この記事では、そんな、空撮の変化の歴史を「ニューヨークを撮影した映像」をもとに振り返って行きたいと思います。以下の動画は、上から古い順に並んでおり、下に行くほど新しい動画になっています。10本の動画ではとても全ての変化をカバーすることはできませんが、一通りご覧いただけば、この10年でどれほど「空撮映像が変わったのか?」がわかるハズ。そして、この先10年のトレンドも見えてくるかも!?
ドローン普及前の
空撮映像
2008年公開:480p ※飛行機からの空撮
HD Flight over NYC New York City on approach to LGA
飛行機の窓から撮影したマンハッタン島の映像です。2008年と言えば、日本に初めてiPhone 3Gが上陸した年。今思うと隔世の感がありますが、当時のiPhoneは動画撮影機能がありませんでした。そんな頃から人々は空からカメラを地上に向けて、撮影した映像をYouTubeで公開していたのですねぇ。
2009年公開:HD(720p)
New York von Oben
一大観光地であるニューヨークでは、ヘリで遊覧飛行をしながら空撮をすることも可能です。ただし、手持ちのため大きく揺れのある映像となっています。
2010年公開:HD(720p)
New York City
RC(ラジオ・コントロール)機にカメラを取り付けて撮影したニューヨークの映像です。言わば、ドローン空撮の「はしり」とも言える撮影方法ですが、当時の感覚からすれば空撮は今より数段ハードルが高くマニアックなものだったのです。ちなみに、2010年はGoProがフルHD対応の「HD HERO」を発売した年でもあり、当時は「フルHD撮影ができるアクションカメラは最先端」という時代でした。
2011年公開:HD(720p)
THE CLOISTERS, New York
こちらも、固定翼のRC機体で撮影された空撮映像です。ジンバルなどのブレ補正機能がないためかなり揺れを感じる映像です。画質そのものは、そこそこ良くなっていますが、映像全体のクオリティは今とは比べものにならないレベルです。
ドローン黎明期の
空撮動画
2012年公開:フルHD(1080p)
Broad Channel Queens New York Aerial Inspection via Drone Hurricane Sandy Damage
ニューヨークを襲った「ハリケーン・サンディ」の被害状況を調べるために、ドローンが活用された際の映像です。ホビーとしてだけでなく、災害対策としての空撮がこの時期から行われていたことがわかります。
2013年公開:フルHD(1080p)
Droning New York (Central Park) with DJI Phantom + GoPro Hero 3
初代『Phantom』に『GoPro Hero 3』を装着して撮影した映像です。現在からは想像し難い話ですが、当時の『Phantom』にはカメラが標準では付属せず、『GoPro』などを後付けしないと空撮はできませんでした。
ドローンの急速な進化で、
空撮映像の高解像度化が進む
2014年公開:フルHD(1080p)
Ultimate Aerial Video of NYC!
ドローンユーザーのニーズが「空撮」にあることを早くから見抜いたDJIは、第2世代のPhantom用に専用のジンバル『Zenmuse H4-3D』を販売。これにより、ブレや揺れのすくない映像が「ドローンを買って、カメラの取り付けにひと手間かければ」撮影できるようになっています。
2015年公開:4K(2160p)
NYC Drone Phantom 3 4K
ジンバル付きカメラが付属した『Phantom 3』が登場し、空撮用ドローンの基本構造は今と変わらないレベルに進化しました。DJIの公式プロモーション映像でも「あなたのライフスタイルにマッチするフライング・カメラです」という表現が使われるなど、空撮が身近になった時期です。一方、日本ではこの年に「首相官邸無人機落下事件」が起こり、ネガティブな意味で「ドローン」が人々に広く知れ渡った年でもありました。
2016年公開:4K(2160p)
New York City 4K Drone / Aerial Video Featuring Queens, Brooklyn & Manhattan DJI Phantom 4
今(2018年)時点の現行モデルとなる『Phantom 4』シリーズの機体で撮影された映像です。すでに、カメラとジンバルによる安定化は完成の域に達しており、美しく滑らかな映像が撮影できていることがわかります。
カメラ性能の向上は踊り場へ、
空撮映像の多様化が進む
2017年公開:4K(2160p)
Halloween Levitating Star Wars Speeder Costume
ドローン機体やカメラの性能の成長速度が緩やかになったため「空撮そのものは珍しくない」という印象が強くなった時期。インターネット上では、以下の「スターウォーズの超本格的コスプレでニューヨークを疾走する様子を空撮」というようなアイディアで勝負する映像が話題になりました。
2018年公開:4K(2160p)
Skydio R1 review: the smartest drone money can buy
自動で被写体を追尾しながら、高い精度で障害物を回避する『Skydio R1』。これまでの「空撮はドローンを操作して撮るもの」だったとしたら、これ以降は「空撮は自動で飛ぶドローンで撮るもの」へと進化するのかも? という新しいトレンドを感じさせる機体です。なお、以下はレビュー動画ですが、ところどころで実機による空撮映像も見られます。
編集後記
こうして、2008年から2018年の10年間に公開された空撮映像を見ると、画質や安定性、そして手軽さが大きく進化してきたことがわかります。中でも、特にDJIの『Phantom』シリーズが登場してからは映像のクオリティが飛躍的に改善されました。その後、カメラ性能がアップする速度は比較的緩やかになってきていますが、2018年には『Skydio R1』のように、自動で飛行し撮影ができる機体が登場するなど、空撮ドローンの進化はまだまだとどまる所を知りません。
おまけ:最古のニューヨーク空撮写真
以下の写真は1906年に気球から撮影された「最古のニューヨーク空撮写真」と言われているものです。