2021年9月21日と22日に、スウェーデンのドローンサービス会社Everdroneは、ドローンを使ってAEDを国外へ運ぶ実験に成功しました。
ドローンはスウェーデンのヨーテボリにあるEverdroneのミッションコントロールセンターからリモートで運航。その後、800km離れたフィンランドのヘルシンキにある指定地点へと到達しました。
EverdroneのマネージャーであるDaniel Blecherさんは、次のように話しています。
「緊急事態を想定した現場へAEDを搭載したドローンが自動で運航し、荷物をおろして帰還できるかどうかを確かめるために、ヘルシンキでドローン運用を行うオペレーターとともに複数回にわたる飛行を行いました。また、ドローンが最適なルートを選択することやドローン操縦における自動運航システムの有用性を実証するために、住宅地上空を飛行させました。いずれも無事成功してよかったと思っています。」
背景

出典:EverdroneのHP
フィンランドでは、年間5000〜10000人もの人々が心臓発作で死亡しています。
心臓発作を起こした患者の救護には、心臓マッサージなどのケアが必要です。
医療従事者が到着するのを待つ間にその場に居合わせた人々が救命措置を行えるかどうかが、患者の生死を分けるといっても過言ではありません。
実際に屋外で心臓発作を引き起こした場合、助かる可能性は毎分10%ずつ減っていくというデータも出ています。なるべく早くケアすることが非常に重要なのです。
このような緊急時にAEDを搭載したドローンが救急現場に手配されるようになると、心臓疾患を抱えた患者が助かる可能性を大幅に高めることにつながるでしょう。
社会実装をされるとどうなるのか?

出典:EverdroneのHP
実生活の中で救急現場が発生した際、ドローンは自動で必要箇所へと飛んでいき、患者の救護にあたる人へとAEDを渡します。
このときドローンの飛行ルートは、居住地域や人が多くいる地域を可能な範囲で避けるような形で確保されるよう設定されています。
実験の結果
今回の実験を通して、フィンランドのヘルシンキ内で心停止に陥った患者が発生した際の、ドローンを活用した救命措置支援に関する実証データをつくることができました。
本データは、実験で使用したドローンと他の機体と比較したときの二酸化炭素排出量を見ることもできます。
今後は、夜間の飛行にも対応できるようにLEDライトを搭載することも検討しているそうです。
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