今月上旬にREPORTOCEANが発刊したレポートによると2021年の世界のドローン検査・モニタリング市場収益は、74億7,000万米ドルでした。
来年以降2030年までの8年間の世界のドローン検査・モニタリング市場収益は年平均成長率(CAGR)16%で成長し、2030年には351億5,000万米ドルに達すると予測されています。
この記事では現状のドローン検査・モニタリング市場の解説と今後の市場拡大に影響をおよぼす要素や背景を説明します。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004124.000067400.html
もくじ
ドローン検査・監視市場とは?ドローン活用のメリットや地域ごとの特徴をご紹介
ドローンは、資産の目視検査(例:工場、発電所の高所部分やコンクリート製の大型構造物の全景写真、熱画像による温度分布など)が行われるほとんどの業界でモニタリングのために取り入れられています。
目視検査は、企業の資源を適切に維持するため重要な役割を果たしています。ドローンのカメラは、人間の目の役割を果たすことができるため、特に点検・監視用途で活用されてきました。
以前は必ずしも安全とはいえない建物の高層階のモニタリングなども検査員が対応していました。ドローンの活用が増えてからは、そのようなハイリスクな場所に人間が出向く必要性が減ったため、人的コストをかけず、より安全な作業環境を構築することができるようになりました。
ドローン検査・監査市場の分類
このようにドローンは多くの産業分野での活躍が期待されます。
「ドローン検査・監査市場」では、ドローン活用シーンについて下記項目別に分類されています。
- ソリューション
- アプリケーション
- 操作モード
- タイプ
- 地域
①ソリューション別(ドローンを構成する必要なコンポーネントで分類)
- プラットフォーム
- ソフトウェア
- インフラ
- サービス
②アプリケーション(産業分野を含む)
- 建設・インフラ
- 農業
- 石油・ガス
- 鉱業
- 公共事業
③操作モード
- 遠隔操縦
- 任意操縦
- 完全自律
④タイプ
- 固定翼
- マルチローター
- ハイブリッドドローン
- デザイン
- ローター
①ソリューション別のサブセグメントには、機体、アビオニクス、経路計画ソフトウェア、地上制御システム、データ分析・処理サービスなど、ドローンの機能やサービスが含まれます。
地域ごとの特徴
地域分類別のドローン検査・モニタリング市場について解説します。
まずCAGR(年平均成長率)についてです。
今後8年間、アジア太平洋地域が最も高いCAGR(年平均成長率)を記録すると予測されています。
引き続き経済成長国である中国やインドなどが含まれます。
農業や公共事業の検査・モニタリングでドローンがますます活用されるでしょう。
また、最大の市場と予測されているのは北米です。
離陸、ナビゲーション、データ収集、送信、データ分析など、人の介入なしで多くの機能を実行するために人工知能を搭載するドローンの必要性が高くなることが予測されています。
感知・回避システム、クラウドコンピューティング等の技術革新も、北米のドローン検査・モニタリングの市場成長を左右していくはずです。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004124.000067400.html
ドローン検査・モニタリング市場の成長に影響を与える要因とは?
市場の成長を促進する要因
年平均成長率(CAGR)16%で市場成長すると予測されたドローン監視・モニタリング市場。
成長を左右する要因は以下の通りです。
- 安全で正確な検査とモニタリング機器に対する需要の増加
- ドローンの技術的進歩
- 重要インフラの遠隔目視検査にドローンを使用するケースの増加
- 商用ドローン用ライダ技術の進歩
- 人間の介入を最小限にできる人工知能などの新技術をドローンに搭載すること
一方でドローン検査・モニタリング産業の成長を抑制する要因として懸念されているのは、ドローンを操縦できる人材が足りていないことです。
これからますます需要が増加するドローン産業において、早急に解決すべき問題と言えるでしょう。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004124.000067400.html
COVID-19によるドローン検査・モニタリング市場への影響
コロナ感染症によるパンデミックの影響で、ドローンの活用が増加しました。
以前課題と思われてきたことより、はるかに多いメリットが認識されたからです。
パンデミックに関連することで、ドローン活用の対象となったこと:
- COVID-19ワクチンを配送と、遠隔地での感染症の検査やモニタリング(アフリカ、アジア、北米、中国)
- 世界中の警察や政府関係者がリードする取り締まりなど
- 組織によるオペレーションの課題をドローン含む新技術で軽減できる感染症対策など
リソースの確保が難しく、スピード感が今までにないほど必要とされたコロナ禍において、ドローン活用の効果は様々な分野で目立ったようですね。
特に、パンデミックによる税収縮小により、法執行機関の活動が制限される中、ドローン活用の需要はさらに高くなっているようです。
一方、懸念事項もあります。
昨年2020年には材料や人材が不足し、ドローンの生産が休止されることも起こっています。世界中で行われているロックダウンやソーシャルディスタンス確保が必要とされた影響です。
感染者数の波が予測しにくく、生産スケジュールが十分に確保できない状況もおこっているため、サプライチェーンが正常化するタイミングも不透明なのが現状です。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001046
コストの削減と安全性の向上を推し進めるドローン技術
人の介入を必要とした現在までの手法に代わって、ドローンを活用した検査やモニタリングを最大限増やすことで、これまで得られなかったレベルの可視性とコストパフォーマンスの高さを実現することができます。
特に安全性の低い環境に人を派遣してモニタリングを行っても、実際に修理が必要なケースは20%ほどしかありません。検査やモニタリングの必要性は高いにもかかわらず効率的に検査が行えない状況が課題としてありました。
ドローン活用により、危険性を減らし作業時間を含むリソースの有効活用を促進することができます。また賠償責任保険料を縮小することにもつながります。
来年も目が離せないドローン検査・監視市場。
新しい技術、カテゴリー、各企業の活動などを引き続きレポートしていきます。