各分野で注目を集めているドローン。次世代のツールと聞くと、何でもできてしまうイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、ドローンも機械です。当然弱点はあります。本記事では「ドローンにできないこと」に着目して、どんな場合にドローンの飛行をやめたほうが良いのか、代表的な事例を紹介します。
気を付けるべきポイントは、水・異物・風・温度です。それぞれ詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
万年エンゲル係数100%男。趣味は散歩とドライブ。
とにかく動いているものが大好きな闘牛みたいな人。取得資格は、JUIDAインストラクター、DJI CAMPインストラクター、3陸特など。
いままで、個人から官公庁向けまで技能・座学講習を幅広く担当し、メディアにも多数露出。自称、当時日本最年少DJI CAMPインストラクター。規制が何かと多いドローンですが、楽しく使えるように最低限のポイントをわかりやすくお届けします!
もくじ
ドローン飛行中止事例1. 水分を多く含んだ環境で飛行すること
雨の中の飛行
ドローンは機械ですので、水分には弱いです。そのため、少しでも雨が降っているときは飛行をやめましょう。
小雨の中などでは、ドローンは飛行できてしまいますが、もしその時に飛行ができたとしても、次に飛行させようとしたときにちゃんと飛行ができるとは限らないので注意が必要です。(ゆっくりと内部に侵食して影響を与える可能性があるため)
産業用のドローンでは防水のものも出ておりますが、普段私たちが使うような機体は防水性能を備えているものはあまりありません。また、機体が防水性能を備えていても、搭載しているカメラが防水性がなく、壊れてしまったという話も結構ありますので、やむを得ず雨の中を運用する際には気を付けて運用をしていきましょう。
霧の中の飛行
霧は、細かい水の粒が空気中に浮いている状態。つまり雨と同様に避けたほうがいい状況なのです。
霧の中を歩いていてもそこまで体が濡れる感覚がないため、飛行に関して雨より安心だと感じる方も多いでしょう。しかし、霧は雨粒よりも水の粒が小さいため、機械のより小さい隙間から水分が中に入りやすく、故障の原因につながりやすいのです。
雲の中の飛行
霧と同じく、雲の中の飛行も避けるべきです。
高高度を飛行する場合、雲が低空に広がっていると、ドローンの飛行空域(150m未満)でも飛行経路に雲がかかることはあります。雲の中の飛行は、細かい水の粒が入るだけではなく、気流も乱れているためドローンの姿勢が崩れやすく飛行が安定しません。また雲によって電波が弱まったり遮断されたりする可能性もあるため、なるべく避けて飛行することが望ましいです。
雪の中の飛行
雪も雨と同じように水分を含んでいます。飛行をすることは避けましょう。また、雪が降っているということは気温が低いので、水分とは別の要因で故障を招く可能性があります。
低温環境におけるドローンの影響については後ほど詳しく説明いたします。
このように、雪の中での飛行は、気温が低く且つ水分を含んでいるため、機体に付着した場合、可動部分が氷結してしまう恐れがあります。氷結した場合、モーターが停止してそのまま墜落してしまう大事故にもつながりますので、大変危険です。
ドローン飛行中止事例2. 異物が混入してしまうような環境で飛行すること
砂浜など、細かい物体が機体周辺にたくさんある環境
プロペラによって出された下方向の風は、地面に跳ね返って上昇流に変わります。砂浜で離陸させるとドローンの下にある砂などが巻き上げられて、機体に付着したり、機体やプロベラ内部に入り込んだりします。その結果、モーターの回転の抵抗が増えて異常発熱を引き起こし、カメラのレンズに傷がついてしまうなどの影響を及ぼす恐れがあります。着陸の際も同様の現象が起こります。
このような環境ではフライトパッド等を使い、なるべく離着陸場所の環境を整えることが必要です。また運用後にはエアダスター等で塵等を十分に払うといいでしょう。
ドローン飛行中止事例3. 風による影響
ドローンはGPSやIMUをはじめ各種センサーによって安定した飛行を可能にしています。しかし、風による姿勢変化には対応できないこともあります。風は、ドローンの安定飛行を崩す大きな原因の一つなのです。
風は目に見えません。また予想することが難しく急に姿勢が変化するため、ドローンを操縦するパイロットの中にはの平常心を崩してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
さらに、風の強さは天気に起因しません。曇りより晴れの日のほうが風が強く吹く確率が高いことや、離陸場所付近では風が弱いが上空では強い風が吹いていることなど、予想外の状況というのが多々あります。何があっても良いような心構えを持っておくことが大事です。
ドローン飛行中止事例4. 温度による影響
高温・低温どちらの場合もドローンを飛行させるには望ましくない環境です。
まず高温の環境では、飛行を制御するコンピューターのオーバーヒート、モーターの発熱による異常、バッテリー電圧の異常な上昇などを引き起こす可能性があります。
上に挙げたものはあくまでドローン本体への影響ですが、高温によるタブレットの異常発熱やパイロットに対しても体力の消耗や熱中症など、ドローン機体以外にも様々なものへ影響を与えます。
低温の環境では、バッテリーが低電圧状態になり、飛行中に電力が供給されずに墜落してしまう可能性があります。また、ドローンを暖かいところから寒いところへ急にもっていくと内部温度の変化によって結露が引き起こされ、その結果水没と似たような状況になってしまうこともあるので注意が必要です。ドローンだけではなくタブレットの急なシャットダウンといった異常事態も発生しやすいので気を付けてください。
高温・低温いずれの状態でも、機材の温度変化を緩やかにさせるような運用をすることが必要でしょう。
編集後記
ドローンも機械ですので、従来の機械と同様の弱点があります。技術革新も早いため、その弱点を克服できるようになっていくかとは思いますが、今現在ドローンを使用していく上では、しっかりと機体のことを把握しておかないと安全な運用ができません。
上に書いてあるような状況を避けることは、機体の良い状態を長く保つことにもつながります。また事故の確率を下げることにもつながります。あまりに事故が起きてしまうと、せっかくドローンが普及しつつある今の社会の流れを止めてしまうことになります。
自分の機体を長持ちさせるためにも、これからのドローンを考えるためにも、機体について、安全な運用について良く把握しておきましょう。