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5分でわかるドローン測量:メリットや必要ソフト、資格などを解説!

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ドローン測量,UAV 測量

この記事では、「人手が不足しがちだから、ドローンで省力化を進めたい」「UAVなどの新技術を導入して、将来に向けた投資したい」という皆さまに向けて、ドローン(UAV、無人航空機)についての基礎情報をまとめて、ご紹介しています。

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もくじ

3行でわかりやすく解説! ドローン測量とは?

  • ドローンで空から地面の様子をデータ化します
  • 専用ソフトでデータを加工して、図面や3Dモデルの作成に利用します
  • 地上で測量するよりも早く、セスナで航空測量をするより安いです

 

これでは、あまりにもシンプル過ぎる説明だったでしょうか?

ご心配なく!

ここからは、詳細な情報をじっくり記載していきますので、順番に読み進めて行ってください。

いまさら聞けない? ドローン測量の基礎情報

そもそもドローン測量は何のために、どんなことをするのか? ごく基礎的な情報を再チェックしてみましょう。

ドローン測量で得られるもの

「Think of the end before you begin.(始める前に終わりについて考えよ)」というのは西洋の名言ですが、ここではまず、ドローン測量を行なった結果得られるデータ、成果ついて見てみることにしましょう。

3次元点群データ

点群データとは、言い換えるなら「ドローンで空中から取得したXYZ軸の情報」のことです。ドローンが気圧計などから取得する高度情報とGPSやGLONASSの人工衛星から取得する位置情報を光学カメラやレーザー測距装置で捉えたデータと組み合わせることで、位置情報をもつ「点の群れ」がデータとしてできあがります。このデータを専用ソフトで加工することで、地点Aから特定の地点Bまでの距離の計測や盛土の体積算出、3Dモデル作成、図面作成、出来形管理などが行えます。

オルソ画像

ドローンで空から撮影した複数枚の写真を組み合わせて、傾きや歪みを配して正確な位置と大きさに表示されるように補正した「写真」のことをオルソ画像と呼びます。直接的な意味での「測量」とは異なるかもしれませんが、ドローンによる点群データの取得とあわせて撮影されることがある画像なので、こちらで紹介します。

空中写真とオルソ画像のちがい  オルソ画像は、写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換(以下、「正射変換」という)したものです。オルソ画像は、写された像の形状が正しく、位置も正しく配置されているため、地理情報システム(GIS)などにおいて、画像上で位置、面積及び距離などを正確に計測することが可能で、地図データなどと重ね合わせて利用することができる地理空間情報です。


オルソ画像について|国土地理院

このような3次元点群データやオルソ画像を取得することで、現地の様子を正確に把握することができ、工事現場などにおける判断の迅速化や施工の効率化を実現し、工期短縮とコスト削減そして安全強化を目指すことがドローン測量の狙いです。

ドローン測量の手順

ドローンを用いた測量と一口に言ってもそれが公共測量なのかより簡易なものなのか、どれほどの精度が求められるものなのか、どのような機材を使用するのかによって必要な人員も手順も異なります。本稿では全ての事例を網羅することはできないので、以下に一例として、ドローンによる写真測量を行なう場合の手順を国土地理院の「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」からご紹介します。

ドローンによる写真測量を行なう場合の手順を


UAVを用いた公共測量マニュアル(案)|国土地理院

ドローン測量が役立つ業種、活躍する場面

ドローン測量の導入が進む業種、引き合いのある業種としては以下の事例があります。

  • 建設業者・コンサルタント
  • 産業廃棄物業者
  • 鉱山管理業者

 

また、砂利や土砂、パルプなどを管理する必要がある現場などでの活用も注目されています。

ドローン測量のメリット

DJI JAPAN社内に展示されたMATRIS M200

ドローン測量は旧来の測量方法に対してどのような点で優れているのでしょうか? この項ではドローン測量を導入した場合に得られるメリットを「地上測量」と「旧来の航空測量」との比較でご紹介します。

地上測量とドローン測量の比較

ドローン測量のメリット
素早く広範囲をカバーできる

地上での測量と比較した場合、ドローン測量は圧倒的に素早く計測が行なえます。ドローン測量でも地上測量でも土地の状況や必要なデータの精度などによってかかる時間は異なりますが、ひとつの目安として以下の例をご覧ください。

<2ヘクタールの土地を地上からトータルステーションで測量した場合>

平坦な場所で2、3日。起伏が激しい地形では1週間程度

<2ヘクタールの土地を空中からドローンで写真測量した場合>

実飛行時間1時間程度、準備と撤収込みで半日程度。

ドローン測量における現地作業は地上測量と比べて最短1/6程度まで短縮可能です。別途、PCによるデータ解析は必要になりますが、それを含めても大幅なスピードアップが期待できます。

ドローン測量のメリット
人が入れない場所にもドローンは行ける

地上から人や車両で機材を持ち込むことが難しい、手間がかかるといった地形や崖、土砂崩れの現場など人が近づくのに危険を伴う場所でもドローンであれば素早く安全に測量が行なえます。

ドローン測量のメリット
3Dモデル作成が容易

写真データから点群データを作成することができます。

ドローン測量と旧来の航空測量の比較

ドローン測量のメリット
価格が安い

セスナなどの航空機を用いて写真測量やレーザー測量を行なう場合と比較した場合、ドローン測量の方が低い価格で実施することができます。こちらも条件によって価格は大きく異なりますが、一例としてセスナを測量目的で飛ばす場合は100万円程度の予算が必要になるところ、ドローンであれば十数万円の予算で実施できる場合があります。

ドローン測量のメリット
点群データの密度が高い

セスナに比べてドローンのほうが低空(100m程度)を飛行するため、より密に点群データを取得できます。そのため、成果物となる3Dデータなどの精度を高めることが可能になります。

ドローン測量のデメリット

ドローン測量のメリットはヘクタール単位の土地を素早く測量できることにあります。そのため、数十平方メートル程度の凹凸の無い土地を測量する場合、地上からの測量に比べ割高になります。

また、航空測量の場合はドローンよりも早く広い土地を測量できるため、数十〜数百ヘクタール単位の土地を一気に測量したい場合はドローンだとバッテリー交換のために複数回の離着陸が必要になることやセスナほど速くとべないことから計測に時間がかかってしまいます。ただし、近年では固定翼のドローンも登場してきているため、ドローンによる写真測量でこれまでよりも広い範囲を素早く撮影することが可能になりつつあります。

これらはデメリットというよりかは、測量を行なう場所の広さによって適切な方法がちがうと、と考えるのが良いかもしれません。

ドローン測量の精度

DJI製ドローン,Phantom 4 Pro,カメラのクローズアップ

ドローン測量における誤差は、使用する機材や実施時のコンディションなどに影響を受けますが、高い精度で測量が行えたとしても位置精度 0.05m(5cm)程度の誤差が生じるものとされています。

ドローン測量と資格

この項ではドローン測量に関連して、必要な資格や役立つ資格をご紹介します。

測量関連

測量士、測量士補

国土地理院が認定する国家資格である測量士と測量士補は測量法に基づく国家資格です。基本測量や公共測量は無資格では行なえないため、ドローンで公共測量を実施するには必須の資格です。

測量士・測量士補試験は、測量法及び測量法施行令に基づいて行われる国家試験です。測量士となるのに必要な専門的学識及び応用能力を有するかどうか、また、測量士補となるのに必要な専門的技術を有するかどうかを判定するために行い、試験に合格すれば、それぞれ測量士又は測量士補となる資格を取得できます。 試験は年一回(例年5月中~下旬の日曜日)実施され、どなたでも受験が可能です。


測量士・測量士補国家試験及び登録|国土地理院

操縦関連

測量法の定める公共測量などではなく、オルソ画像や点群データの作成であればドローンを操縦方法とソフトウェアの使用方法がわかれば実施することができます。ドローンの操縦については「民間資格」としておもに以下の3種類が認知度のあるものとして知られています。

ドローンの免許制度創設へ。国が試験を実施する方針。

JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会) 操縦技能証明

  • 受講料:20万~40万円(税別)
  • 操縦技能証明証発行費用:20,000円(税別)
  • 2年ごとの資格更新料:7,000円(税別)
  • 受講条件:なし

DJI スペシャリスト

  • 受講料:5万~10万円(税別)
  • 認定書発行費用:15,000円(税別)
  • 資格更新料:有償化予定
  • 受講条件:DJIユーザー、10時間以上の飛行操縦経験

DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会) ドローン操縦士 回転翼3級

  • 受講料:20万円(税別)
  • 資格認定証等の発行及び認定料:12,000円(税込)
  • 2年ごとの資格更新料:6,000円(税込)
  • 受講条件:なし

 

なお、それぞれの団体でさらに上位の資格としてインストラクターや安全運行管理者などの認定を行なっていますが、本稿では割愛します。

ドローンによる写真測量とレーザー測量の違い

ドローンに搭載したレーザー測距装置を使った測量が「レーザー測量」、光学カメラを使った測量が「写真測量」ですが、この項では、もう少し詳細にそれぞれの違いや特徴をチェックしてみることにしましょう。

レーザー測量

ドローンに搭載した小型のレーザー発振器から地上に向けてレーザーを放ち、反射したレーザーから得られる距離情報とGPS/GLONASSから得られる位置情報を組み合わせて、地表の様子を精密に記録する方法です。ざっくり表現すると、レーザーを打ち出して得られたデータを位置情報と結びつけて、地表の状況を細かく捉える方法と言えるでしょう。

作成する写真測量に比べて圧倒的に精度が高くなる点がメリットです。また、発射するレーザーの数が多ければ、木の葉の隙間からレーザーを地面に届けることができるので、多少の植生がある場所でも地表の様子を調査することもできます。

なお、レーザー測距装置の多くが1,000万円近い価格の物であるため他の測量方法に比べて割高になる点は注意が必要です。また、ドローンによるレーザー測量は非常に歴史が浅く、実施できる企業も限られています。

写真測量

写真測量はドローンで測量地の上空を飛行しながら、撮影範囲を重複させた複数の写真を撮影し、つなぎ合わせることで、地表の状態を調査するものです。通常、写真の中央がGPS/GLONASSの座標と一致し、1つの点として記録されるため、得られる点群の数はレーザー測量よりはるかに少なくなりますが、安価な機材を使用して行える点がメリットです。

ドローン測量とハードウェア

DJI JAPAN社内に展示されたMATRICE 600と制御装置

ドローンによる写真測量をするためのハードウェア

写真測量の場合は「ドローン+カメラ+GPS+高度計」があれば実施可能ですが、精度の観点からあまりに簡易なドローンを使用することは実用的ではありません。

ドローンによるレーザー測量のハードウェア

ドローンによるレーザー測量を行なう場合は、専用のドローンとレーザー測距装置が必要になり、機材費のみでも1,000万円超の構成になることが見込まれます。

ドローン測量に使われる自動航行アプリ

ドローン測量を行なうには、ドローンを一定の速度や高度で飛行させて点群データを取得する必要があるため、人が操作するのではなく自動航行による飛行を行なうことが一般的です。以下に現場で使用されることが多い2大アプリをご紹介します。

DJI GS Pro(ディージェーアイ・ジーエス・プロ)

民生用ドローンメーカーとして世界トップのシェアを持つDJIが開発したiPad用アプリです。タップによる簡単な操作で手軽に自動航行の設定をすることが可能です。

» 公式サイト DJI GS Pro

Litchi(ライチ)

タブレットだけでなく、PCやスマホからも飛行ルートの設定ができ、詳細な地図表示とあわせて細かな調整ができる自動航行用アプリです。

» 公式サイト Litchi for DJI Mavic / Phantom / Inspire / Spark

また、上記の他にも、『Autopilot(3,600円)』やPix4Dとセットで利用することを想定して開発された『Pix4Dcapture(無料)』といったアプリも存在します。

ドローン測量のデータ解析用ソフトウェア

画像解析

Pix4D Mapper(ピックスフォーディー・マッパー)

航空測量と地理空間情報技術のフロントランナーとして日本国内で不動の地位をきづいている国際航業が日本代理店の1つとして販売を行なっているソフトウェアです。測量を主眼に置いて開発されたソフトウェアのため、点群データから高い精度で距離、面積、体積を算出したり、3Dモデルを作成することができるハイエンドソフトウェアです。

Ultimate Pix4D tutorial 3D mapping – YouTube

PhotoScan(フォトスキャン)

写真データから3Dモデルを制作することを得意とするソフトウェアですが、写真測量に応用することが可能です。

DJI GS PRO – PhotoScan /写真測量ワークフロー全体 – YouTube

Terra Mapper(テラマッパー)

クラウド版は無料、デスクトップ版でも40万円台から導入が可能なコストパフォーマンスの高さが魅力のドローン測量用ソフトウェアです。

TERRA MAPPER日本語版 – YouTube

ドローン測量の価格の目安

自社で行なう場合

<写真測量>

ドローンの操作(自動航行の設定)や画像解析ソフトによるデータ加工などを自社で行なう前提でその人件費を除外し、単純にドローンに必要な機材を購入する金額を想定した場合、エントリーセットの場合『Phantom 4 Pro』と『Terra Mapper クラウド・デモ(30日間無料)』を使用し、20万円程の予算でテストを行なうことが可能です。また、そこからステップアップする場合は45万円の追加で『Terra Mapper デスクトップ版』を購入するなどの選択肢があります。

<レーザー測量>

レーザー測量には非常に高価な専用機材とドローンが必要になるため、頻繁にドローン測量を実施する測量専門企業でないかぎり、自前で機材一式を備えることは現実的ではありません。もし、実際に行なう場合は1,000万円以上の出費を覚悟する必要があります。

外注する場合

※外注費は案件の難易度、使用機材、納期、現場までの交通費の有無など様々な要素に影響を受け変動することがあるため、以下はあくまでも参考価格としてごらんください

<写真測量>

2ヘクタール程度のエリアを『Inspire 2』で撮影し、専用ソフトウェアで加工する作業を発注した場合の目安は100万円前後です。

<レーザー測量>

レーザー測量に関しては 機材を所有している会社そのものが少ないため、値段にもバラツキがありますが300万円程度の価格が想定されます。

 

 

 

ドローン測量を検討する際に知るべきこと&注意点

ドローンを用いて写真測量やレーザー測量を行なう際に注意するべき法律やマナーについては、基本的に一般的なドローン空撮や趣味での飛行の場合と大きくは変わりません。実際に守るべき法律や規制については、以下の記事に詳細がありますので、ぜひ、チェックしてみてください。

ドローン測量の基本記事のまとめ

わずか4〜5年の間にめざましい進化を遂げたドローンと空撮写真の恩恵を受けて、にわかに実用的なレベルに到達したドローン(UAV)測量は、より少ない人手と時間で素早く測量を行なう合理的な方法として注目を集めています。

ソフトウェアに関しては無償のデモ版の利用や無料セミナーなどを利用して触れることもできますので、この記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひ、ドローン測量の導入を検討されてみてはいかがでしょうか?

 

 

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2022.09.14


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