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中央ヨーロッパのスイスは今、ドローン先進国と言われています。スイスにあるチューリヒ工科大を起点に、ローザンヌまでの西に200キロの地域には約80社のドローン関連企業が集積。
これらのドローン関連のスタートアップ企業は、全てここ5年の間に立ち上がり、この地域一帯はシリコンバレーのように「ドローンバレー」と呼ばれているそうです。
もくじ
スイスにおけるドローン快進撃の要因とは
この「ドローンバレー」と呼ばれる地域は、連邦工科大学ローザンヌ校と同じく連邦工科大学チューリヒ校を挟む区域のことを言います。過去数年間で80以上のスタートアップ企業が設立され、2500人以上もの雇用を生み出したとされています。
スイスはロボット工学の研究開発が盛ん
連邦工科大学ローザンヌ校、連邦工科大学チューリヒ校は露ボッロ工学の名門校として有名です。欧州ではロボット工学における、最も優秀な教育機関とも言われています。
スイスの機械工学や時計製造などの関連分野における長年の経験や強み、鍛錬された繊細な技術力が発揮された結果が、「ドローンバレー」を生み出しました。
とりわけ、ドローン管制システムとして日本でも注目を浴びるUTM(無人交通管理)においても、スイスはパイオニアとして研究開発を進めています。
国がスタートアップを支援している
革新的なアイディアをすぐに製品化できるように、国をあげてスタートアップ企業を支援するプログラムや社会的な体制が整っているのも要因の一つです。
研究者が自由に研究開発を進められる法的環境があるため、スイスはドローン技術の先駆者としての分野をリードしていると言えます。
スイス政府はドローン事業におけるパイオニアとなること、またドローン事業の成長のため、研究者が面倒な処理手続きを省いて仕事ができるような、オープンな政府からの支援を行なっています。
スイスと日本のドローン規制への考え方
このような「ドローン先進国」を生み出したのは、ドローン規制に関する考え方も要因の一つとされています。
現状スイスでは、25人以上が集まる場所の上空での飛行禁止や、航空法における0.5KG~30kgモデルのドローン飛行の規制などが設けられています。
以上のような状況やドローンを除いてですが、特別に許可を取らずともドローンを何処でも自由に飛ばすことが可能です。また、この規制の撤廃すらも検討されているとのことです。
スイス政府は「運用は制限せず、安全に拡張していくための支援を行う」としています。
事前のドローン登録や、利用者に衛星利用即位システム(GPS)の搭載を義務付けており、誰がどの場所でドローンを飛行させているのかすぐに解るようなシステムを充実させています。そのような制度設計が、ドローンの規制を設けずとも安全性の担保に繋がっています。
国全体で新しい技術を制限するのではなく、まずはみんなで受け入れていこうと言う方針が、ドローン産業を盛んにした要素の一つと言えるでしょう。
日本のドローン規制はどうなっていく?
そもそも、日本で初めて「ドローン」という言葉が知れ渡ったのは2015年の首相官邸無人機落下事件。そこからドローンに関するルール作りが始まりました。また、その事件以降から、国内においてもドローン関連のスタートアップ企業が続々と立ち上がっていきました。
日本政府は有人地帯でのドローン目視外飛行が可能になる「レベル4」を2022年に実装するとしており、主に物流目的でのドローン利活用を見据えています。
国内におけるドローン利活用には、安全な制度設計やルール作りが最も重要とされています。日本でもスイスのように、ドローンの登録制度や、衛星利用即位システム(GPS)の搭載で、ドローン操縦者と飛行場所がすぐに解るようなシステムを導入予定との噂もあります。
世界においても国内においても、更に進化していくドローン産業。安心な利活用や産業の発展のために、日本は国内において、今後どのような制度設計を組み込んでいくのでしょうか。
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