<最新記事>
もくじ
ドローン規制に関する法改正の2つのポイント
2019年5月に、ドローン規制について法改正されました。
今回、ドローン規制について改正された法律は、次の3つです。
- 小型無人機等飛行禁止法
- 平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法(ラグビー特措法)
- 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法 (オリパラ特措法)
そして、ドローン規制の法改正のポイントは2つあります。
- ポイント1
小型無人機等飛行禁止法に定める飛行禁止対象施設に、防衛大臣が指定した防衛関係施設が追加されたこと - ポイント2
ラグビー特措法およびオリパラ特措法の一部が改正され、ラグビーワールドカップ2019、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の、関連施設上空での小型無人機等の飛行が禁止されたこと
防衛関係施設上空でのドローン飛行禁止
まず1つ目のポイント、小型無人機等飛行禁止法で改正された、ドローンの飛行禁止対象施設について解説します。
小型無人機等飛行禁止法には、ドローンの飛行禁止対象施設が定められています。
そこに、今回の法改正により、防衛関係施設が追加されたのです。
危険の未然防止や日本を防衛するための基盤の維持のために追加されました。
防衛関係施設とは
防衛関係施設というのは、自衛隊施設や米軍施設のことを指していて、防衛大臣が指定します。
実際に指定する際には、警察庁長官や海上保安庁長官と事前に協議をし、指定したら官報に加え、地図を作成してインターネットなどで周知することになっています。
そのため、飛行禁止のエリアは事前に確認することが可能です。
例外的に飛行できるケース
原則、防衛関係施設の上空での飛行は禁止ですが、例外があります。
例外的に飛行できるのは、次のような場合です。
なお、防衛関係施設は他の施設と違って、敷地の上空にあたるレッドゾーンと、敷地の周囲300メートルほどのエリアの上空にあたるイエローゾーンとで、例外の取り扱いが異なります。
【レッドゾーン】
施設の管理者またはその同意を得た者による飛行のみ可能です。
【イエローゾーン】
他の施設と同じで、次の3つの例外が認められています。
- 管理者またはその同意を得た者による飛行
- 土地所有者や占有者、またはその同意を得た者による飛行
- 国や地方公共団体の業務のための飛行
ドローン飛行前の通報
ドローンの飛行前には、退去命令や排除措置の権限を持つ、各都道府県の警察や管区海上保安本部長に、許可を取らなくてはいけないことになっています。
今回の法改正で、防衛関係施設のイエローゾーンでの飛行について、防衛関係施設の管理者である自衛官にも事前許可を取ることになりました。
なお、防衛関係施設での飛行に関する事前許可については、管轄の警察等と連絡体制を整備するなどの代替措置をとれば、省略することができると定められています。
ラグビーW杯・オリンピック開催時のドローン飛行禁止
次に2つ目のポイントである、ラグビー特措法およびオリパラ特措法の改正による、ドローンの飛行禁止について解説します。
これは、ラグビーワールドカップ2019、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催にともない、それぞれの関連施設上空でのドローン飛行を禁止するとした法改正です。
大会の準備や運営がスムーズにでき、選手や観客、関係者の安全のために、危険を未然に防ぐことを目的としています。
この法改正でドローンの飛行を禁止されるエリアはどこなのかというと、それぞれの大会組織委員会の要請に基づいて、期間を定め、文部科学大臣が指定した大会会場などの周辺上空、また国土交通大臣が指定した空港の周辺上空です。
こちらも、実際に指定する際には警察庁長官や海上保安庁長官と事前に協議をし、指定したら官報に加え、地図を作成して、インターネットなどにより周知することになっていますので、飛行禁止のエリアは事前に確認することができます。
大会関係施設周辺上空で例外的に飛行できるケース
文部科学大臣が指定した大会関係施設周辺のエリアについては、組織委員会の同意を得た者による、大会関係施設周辺エリア上空でのドローン飛行が認められています。
同意権者を組織委員会に1本化し、メディアによる空撮の安全を確保しています。
なお、小型無人機等飛行禁止法の定めと同じように、同意を得たら各都道府県警察への通報も忘れずに行わなくてはいけません。
空港周辺上空で例外的に飛行できるケース
では、国土交通大臣が指定した空港周辺の上空についてはどうでしょうか?
空港の周辺上空での飛行については、原則として空港の管理者(空港会社・空港事務所)の同意を得ることで飛行が可能となります。
空港については、その場所がら、空港管理者が滑走路の閉鎖やその他の措置をとることについても、確認的に規定されています。
基本的なドローン規制に関する法律をおさらい
日本国内でドローンを規制している法律は一つではありません。
主に、航空法と小型無人機等飛行禁止法において規制されています。
それ以外にも、電波法や各自治体の条例など、さまざまな法令が関わっていて、今回法改正されたラグビー特措法やオリパラ特措法もその一つだと言えます。
ここでは、基本的なドローン規制について定められている、航空法と小型無人機等飛行禁止法についておさらいしておきましょう。
航空法によるドローン規制
ドローンの規制は、2015年に行われた航空法の改正で、 200 グラム以上の機体を持つドローンを対象に、飛行禁止エリアや飛行方法についての一般的なルールを定めるというところから始まりました。
原則飛行禁止エリアでの飛行には、許可が必要です。
【原則飛行禁止エリア】
- 空港などの周辺エリア
- 地表または水面から150メートル以上の高さの空域
- 人口集中地区(DID)の上空
【飛行のルール】
- 日中に飛行させること
- 目視でその周囲を常に監視しながら飛行させること
- 人または物件との間に30メートル以上の距離を保って飛行させること
- お祭りや縁日などで多数の人が集まるようなイベントの上空では飛行させないこと
- 爆発物などの危険物を輸送しないこと
- ドローンから物を落とさないこと
とはいえ、例えば夜間飛行やイベント上空での飛行など、ルール外での飛行をしたい場合には、あらかじめ、地方航空局長の承認を受けることで、飛行が可能になります。
ただし、事故や災害が起こったときに、国や地方公共団体などが捜索・救助を行うために飛行させるドローンについては、承認を受けなくても飛行可能です。
小型無人機等飛行禁止法によるドローン規制
航空法が改正された翌年には「小型無人機等飛行禁止法」が制定されました。
小型無人機等飛行禁止法では、ドローンの重量に関わらず、国の重要な施設の周辺上空でのドローン飛行は規制されています。
つまり、重量が関係ないので初心者が操るおもちゃのドローンであっても規制の対象だということです
小型無人機等飛行禁止法では、飛行禁止の小型無人機を次のように定義しています。
- 小型無人機・・・ドローン、ラジコン飛行機など
- 特定航空用機器・・・気球、パラグライダーなど
また、ドローン飛行禁止の対象施設は次のとおりです。
- 国会議事堂内閣総理大臣官邸等
- 危機管理行政機関
- 最高裁判所庁舎
- 皇居・御所
- 政党事務所
- 外国公館等
- 原子力事業所
ここに、今回の改正で次の施設が加わりました。
- 防衛関係施設(自衛隊施設や米軍施設)
編集後記
ラグビーワールドカップ2019と2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてドローンに関する規制が追加されました。最近ではドローンを許可無く飛行した事で初めて逮捕者が出るなど、ドローンを操縦される方は新しく改正された内容も含めて今一度、法律や規制をおさらいしておく事をお勧めします。この記事をドローンの安全利用・健全利用の入り口として活用していただければ幸いです。
更に詳細な説明でドローン規制について全てがわかる記事はこちら
海外人気旅行先にドローンを持っていく際の国別のドローン規制についてはこちら