【ドローン空撮の手引き】地権者とドローン飛行の調整をしよう。

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ドローン空撮の際、どこまで飛行の確認を取れば良いの?

国交省のドローン飛行マニュアルを見ると、「飛行場所付近の人又は物件への影響をあらかじめ現地で確認・評価し、補助員の増員、事前周知、物件管理者等との調整を行う。」(3.3-1無人航空機を飛行させる際の基本的な体制)という記述があります。事前に飛行場所を確認し、「物件管理者等」に飛行のための調整をドローン操縦者はあらかじめすることになっています。

このことは、思い付きで飛行地に赴き、その場でいきなり飛行させることは基本的にはできないことを示しています。あくまでも、国交省の飛行マニュアルに準じた飛行を行う場合であり、例えば、独自の飛行マニュアルを使う場合は、この限りではありません。

ただ、多くの方が、「国交省の飛行マニュアルに準じる」として、包括申請し、許可・承認書を取得していると思います。さて、今回は、この「物件管理者等」に「地権者・地主」も含まれると解釈します。解釈する理由は、これらがこのような意味を持つからです。

 地権者とは?

その土地を所有し、処分する権利をもつ者。(三省堂 大辞林 第三版)

施行地区内に土地の所有権または借地権(建物所有を目的とした地上権又は賃借権)を有する者。(土地区画整理事業用語集)

 地主とは?

地主(じぬし)とは、家屋、アパート、マンションまたは不動産等の所有者である。そこでは、個人またはビジネス上の賃貸借契約が為され、借主は、借家人、居住者、店子等と呼ばれる。法人がその立場にいる場合もある。他の用語としては貸家人やオーナーがある。(後略)(Wikipedia)

従って、飛行する土地、飛行空域に含まれる建物等の物件を所有する人、が地権者や地主になり、これは飛行マニュアルで言う「物件管理者等」に相当する立場の人になります。つまりは地権者や地主に、事前に飛行の調整を行うことが必要になるのです。

まずは地権者と管理者を探しましょう

先の解釈から、ここでは地権者を、その土地や建物を所有・管理している人・組織・団体とします。従って、もう少し詳しく分類すると、国、自治体、民間企業、民間の地主、等になります。

ここからは、空撮したい場所によって地権者をどのように探すかをテーマに、国交省の言う「物件管理者等との調整」を考えていきましょう。

例えば、山の空撮をしたい場合、まずは日本の森林を管理している林野庁に問い合わせます。国の管理している森林は、全て森林管理署が管轄し、さらに管理署の中にも分署もあって、細かく管理されています。

そのため、飛行させたい山や森を、どこが管理しているか、を林野庁や森林管理署のサイト等から調べます。(森林や山の具体的な例は、過去記事もご参照ください。)

ドローン飛行に必要な許可申請を徹底解説【山林での空撮編】

国有林は国の管理ですが、民有林になるとどうでしょう。民有林の場合は、その土地の所有者を探して確認を取ります。

実は、森の所有権や、所有地の境界の線引きというのは、日本各地で明確になっていない場所も多く、これをしっかり把握することは場所によっては難しかったりします。(これは、実は、山に限らず川や海においても厳密な地権者・管理者の範囲ができていないところも多いのです。)

民有林の場合、その土地の所有者を探す一つのやり方として、法務局で管理する公図を調べる、という手があります。

公図(こうず)とは、土地の境界や建物の位置を確定するための地図で、一般に旧土地台帳施行細則第2条の規定に基づく地図のことを指す(旧土地台帳附属地図と呼ばれることもある)(中略)。 これら(法14条地図および地図に準ずる図面)は登記所(法務局)が管理し閲覧することができる。- Wikipedia

難しくても、できるところまで探す

ここで一つの例を示します。福島県の会津地方にある滝の空撮を企画した際のことです。

(滝の写真)

滝のある場所を含めた飛行計画書を大まかに作成し、地図で示して森林管理署に相談しました。離着陸予定地点は展望台で、滝までの距離が1km弱というところで、展望台と滝の間は深い渓谷になっています。

(滝の場所を示す地図)

この場所での飛行の相談をしたところ、森林管理署からは、「滝の上(地図の位置としては東側)は国有林ですが、滝から離陸地点までの土地は民有林になってますね。土地の所有者にも確認をお願いします。」と言われました。

そこで、会津若松の法務局で公図を調べてもらったのですが、これが面白いことに結果的には探し出すことができませんでした。と言うのも、法務局で管理しているその土地の公図というのが、これになります。

(公図の写真)

何と、公図原本は和紙でできており、明治時代のものだとか。こうなると、個人を特定することは難しくなります。現地に行って地元の人から情報を得るとか、町役場に調べてもらうとか、さらなる調査が必要になってきます。

所有者が特定できない場合は、基本的には「誰のものかわからない場所」となりますが、そうした場所であっても、事故等が起きないように、また起きたときのことを考えて飛行計画を立てるようにします。

ドローン飛行する際は「どのような場所でも地権者がいる」と考える

上記のような例は、日本各地にあります。山だけでなく、川も境界がはっきりしないところが多いです。特に、市境、県境などの境界線が引かれやすいのが川で、場所によって、どちらの地域にも含まれない場所という地点が存在します。

この場合も、山や森の問い合わせ先がまずは森林管理署だったように、川の場合も、管轄の河川事務所や土木事務所を探して相談するようにしてください。

最初にも記しましたが、ここまで地権者探しにこだわるのは、国交省の飛行マニュアルの記載、「飛行場所付近の人又は物件への影響をあらかじめ現地で確認・評価し、補助員の増員、事前周知、物件管理者等との調整を行う。」になります。飛行場所の下見をし、必ず物件管理者に飛行の旨の調整を行う必要があります。そのために、地権者や地主、物件管理者を探します。

ドローン空撮の際は、これを面倒と思わずに、必ず探せるところまで探して調整を行ってください。そして、そこまでやっても地権者が不明という場合もあることを考慮し、その場合の安全管理をどのようにするか、飛行計画に盛り込むようにしましょう。




2020.04.18