ドローン操縦の落とし穴?!DJI動画伝送システムOcuSyncがP4P(LightBridge)に与える電波干渉

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©︎Plenty,inc


DJI映像伝送システム
OcuSyncとLightBridgeとは

DJI製ドローンを駆使して趣味や仕事に活かしている方は、OcuSync(オキュシンク)をご存知の方も多いかと思います。

このOcuSyncとは、DJI製ドローンに採用されている、DJI 独自規格の動画伝送システムです。現在、OcuSync伝送システムは、OcuSync2が最新で、Mavic2 ProやMavic2 ズームなどに実装されています。

かたやLightBridge(ライトブリッジ)は、これもDJI製の動画伝送システムで、主にPhantom4 Proなどの機体に実装している方式です。

このOcuSyncですが、これを搭載したドローンは搭載していない(搭載していないものはLightBridgeもしくはWiFi)ドローンより映像伝送が安定するとともに、この2つが近いエリアで同時に飛行した場合、電波干渉を起こす可能性が高くなってしまいます。

では、実際にはどのような電波干渉を起こすのでしょうか。今回は、その電波干渉を発生させ、起こりうる事象を見てみることにしましょう。

LightBridgeのP4P(Phantom4 Pro)と
OcuSyncのP4P V2.0を同時に起動してみる

今回の実験会場は、TOKYO POOL LABO(http://drone.rockinpool.com/)。東京都足立区にある廃プールを活用したドローン練習場です。ここで、今回の実験を執り行いました。

まず、どんなドローンにもプロポ(送信機)があり、送信機のスイッチを入れるだけでも2.4GHz帯を使用します。それが分かる写真が次の2枚の写真になります。

(電源OFF)

 

(電源ON)

このように、測定器のグラフの大きさを見ても分かりますが、送信機の電源を入れただけで帯域を使用します。

では、P4PとP4P V2.0を一緒に起動させてみましょう。このとき、症状が分かりやすく出るように、P4Pはチャンネルを固定し、P4P V2.0はカスタムにして、チャンネルを自由に選べるようにします。

選択したチャンネルが重なると、P4Pの映像が途端に切れます。この映像が切れるという事象には、まったく映像が来ないブラックアウトの状態もあれば、映像が遅延しグリーンの帯のように表示されるような事象もあります。電波が混みあった際に、OcuSyncの強さに負けてしまい、送信機に映像データが伝送されない状態になります。

P4P V2.0側のチャンネルを動かし、比較的空いているチャンネルを選ぶと、P4Pの映像が復活し、正常に表示します。
写真は、右上のプロポがP4PV2.0、下のプロポがP4Pのものです。

(映像乱れ)

(映像復活)

この現象が空撮現場で起きたとしたら・・・

もちろん、最近はMavic2を活用している方も多いので、もはやこのような心配は無用になってきているかもしれません。仮に、自分の機体がLightBridgeで、OcuSyncに負けてしまうような機体だった場合は、こうした映像の乱れ・遮断が起きる可能性が大きいので、注意が必要です。

この実験では、たった1台のOcuSyncのために、映像が完全に伝送されなくなりました。空撮現場では、それほど多くの機体が同時に飛ぶことは少ないと思いますが、この事象はバインド(送信機と機体に電源が入りリンクすること)しただけでも起きます。

空撮現場では、自分たち以外にドローンを飛行させていないかを確認し、もし他のドローンがいた場合は、機種から伝送方式を確認させてもらったほうが良いと思います。

沖縄のクジラ空撮現場で起きた例

今年(2020年)の2月に、沖縄県のナガンヌ島から慶良間諸島にかけての海域で、クジラの親子の空撮をしに訪問した際、この伝送方式の違いによる電波干渉の事象に遭遇しました。

チームのメンバーの数人が、Mavic2 を使用したため、LightBridgeの機体であるP4Pを駆使する空撮パイロットは、幾度となく伝送遅延・伝送なし状態に陥ったのでした。

この時、P4P側に出るワーニングとしては、黄色帯で「信号なし」、赤帯で「機体未接続」となることもあります。「機体未接続」状態が続くと、フェールセーフがかかることもあります。

海上でリターントゥホームがかかると、意図しない場所に機体が向かうので、すぐにキャンセルするようにします。(これは、パイロット自身が乗っている船が移動し、ホームポイントが移動してしまっているためです。)

映像伝送が復活するまで待ち、復活したら自機の位置を確認し、船に戻すようにします。(このあたりの海上でのドローン空撮については、また別の機会にお話しします)

スマートフォンも要注意

さて、LightBridgeの機体は、もう一つ気を付けておきたい事象と環境があります。それは、スマートフォンです。

スマートフォンも、ドローンと同じ2.4GHz帯を使用しています。この時、1つ2つのスマートフォン程度であれば、特に何も干渉などは起きないのですが、数十のスマートフォンになると、ドローンの映像伝送に大きな影響を与えるくらいの力になります。

沖縄のクジラ空撮では、このような時に発生しました。

(ホエールウォッチング船との遭遇の写真)

この写真の状況は、クジラを発見すると、ホエールウォッチング船の観光客が一斉にスマートフォンで撮影を開始しました。多くの人がスマートフォンを持っていることにより、共通の帯域である2.4GHz帯が使用され、ドローンの映像伝送に影響することになります。

このような場合は、目視で機体を追えているのであれば、すぐに人の多い船から距離を置くことです。目視外となった場合は、まずは落ち着いて、映像が途切れ途切れでも復活したら船から離れます。海上の場合は上空に障害物がないので、上昇して距離を取ります。

このような現象は、例えば他に花火大会などの人が多く集まるイベントでも発生しやすいです。そのような意味からも、イベント上空の空撮は細心の注意が必要になりますし、飛行計画にスマートフォンによる映像伝送への影響が起きた場合の措置なども盛り込んでおいた方が良いということになります。

計画に含めるのは、多くの第三者が飛行に影響を与える範囲に集まるか、影響を受けた場合にどのような対応を行うか、などになります。

ここまで、OcuSyncによりLightBridgeへの電波干渉に関する情報について記してきました。引き続き、この「電波」に関する注意点を、こうした実験を通じてお伝えしていきたいと思います。

最後に、実験の一部についての動画です。

(動画:P4Pプロポの電波使用可視化)

(動画:OcuSyncの電波干渉を確認)

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2020.04.17