ドローン飛行に必要な許可申請を徹底解説【山林での空撮編】

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ドローン空撮の醍醐味とは

ドローン空撮の醍醐味の一つは、例えば広大な平原や、丘、草原などをどこまでも障害物のない地平で思う存分飛行させる、ということが挙げられるかと思います。雄大な大自然の中をドローンで自由に撮影するのは、何とも言えない充実感を味わえます。

また、人が立ち入れない森林の真上や、なかなか自分では登坂できない崖の上もドローンなら撮影することが可能です。さらには切り立った尾根から谷底を見てみる、などなど、人の視点では絶対に見ることのできない場所から大自然を空撮できるという魅力がドローンにはあります。

こうした場所での撮影は、登山やキャンプを趣味としている人にとっても、また、旅先で自然の景色を楽しみたいといった人にとっても、非常に魅力的だと思います。しかし、こうした広い大自然においても日本ではドローン空撮をするために、届出や手続きが必要になることがあります。

今回の記事では、山岳地帯や森林地帯を撮影するために、どこにどのような問い合わせをし、申請をしなければいけないかを解説したいと思います。

ドローンで山を空撮したい場合、飛行場所を明確にする

ドローン空撮において山に限らず飛行場所を明確にすることは大事ですが特に山での撮影は登山者に配慮する必要があります。山登りを楽しみに来ている登山者に配慮し、意図せず迷惑をかけてしまうことのないように登山計画及び空撮計画を立てることが非常に重要です。人の集まりやすい山頂や登山道の真上を無配慮に飛行させる、登山者の真上を飛行させるなどといった行為は、極力控えましょう。

また、あえて登山者の比較的少ない時間帯を選ぶなどして、登山計画を見直すことが配慮として必要です。これは、後述する林野庁森林管理局の各部署と相談する際にも必要です。こうした考え方や配慮のある・なしで先方の印象が変わってきますので、十分考慮したいところです。

飛行させたい場所・空撮したい場所を決める時に重要なのは、「離発着場所」「飛行空域」になります。登山道のどこかからの離発着になりますので、どこからでも飛ばせるわけではありません。他の登山者の山行に迷惑にならない比較的広い場所があり、離発着可能である場所を選定する必要があります。また、飛行空域についても、山の高さ、谷の深さを考慮し、高度149mを維持できる空域を飛行空域として検討する必要があります。

初めて訪れる山で空撮する場合は「離発着場所」と「飛行空域」をGoogle mapのような地図情報アプリや、対象地域のWebサイトなどを参考に現地の大枠を把握することが必要です。事前にロケハンできることが望ましいですが、それが難しい場合はインターネット上の情報を頼りに、空域と離発着場所を想定し計画します。

ドローン空撮の場所が決まったら、管轄の森林管理者を探す

空撮する山や森林の場所が決まったら、管轄の森林管理署に届けを出します。管轄の森林管理署は、まずは、林野庁のホームページから探します。

例として、山形県の蔵王(御釜)を撮影することに決めたとします。この場合は、林野庁のホームページから、「林野庁について」→「森林管理局リンク」へ進みます。山形県は東北森林管理局管轄ですので、「東北森林管理局」へ進みます。

さらにそこから、森林管理局の案内 > 森林管理局の概要 > 管内概要 > 国有林への入林手続 へと進み、「森林管理署等の所在、管轄区域等 一覧表」に進みます。

ここでようやく、管轄区域と管理署を紐づけた表が出てきますので、山形森林管理署を見つけることができます。

東北森林管理局の「森林管理署等の所在、管轄区域等 一覧表」

管理局ごとに微妙にサイト構成が異なりますので、該当しそうな森林管理署を見つけたら、まずは電話で問い合わせをし、届出書の提出先と提出方法を教えてもらうようにしてください。

県境があいまいな場合は要注意

ちなみに、蔵王(御釜)ですが、この場所は、山形県と宮城県にまたがる場所となっています。このような場合、現地では明確に県境が示されているわけでもないことから、両方の森林管理署に届出してください。

筆者は「最初に山形森林管理署に連絡した際、仙台森林管理署にも同様のものを提出してください」と指導いただいたので、無難に届けを出すことができました。このように、山岳地帯では管轄の管理署が複数ある場所も多いため、関連組織を聞いておくことが重要になります。

森林管理署に入林届を提出する

空撮場所が決まったら、森林管理署に入林届を提出します。登山が趣味の人は、入林届を出すことに慣れていると思いますが、ドローン空撮する場合は、「入林届(無人航空機を飛行させる場合の入林届)」を提出します。この届けの様式は、林野庁森林管理局のホームページから入手することができます。

関東森林管理局

届書の様式を入手すると、記載項目がわかります。記載すべき項目は下記になります。

申請者住所、氏名、連絡先 ※捺印必要

1.入林の場所

2.入林の期間

3.入林の目的

4.無人航空機を飛行させる場所等

5.入林者氏名(申請者以外)※複数人いる場合は、別紙に一覧表として提出

6.注意点の確認

この中で、特に配慮して書かなければいけない項目は、4.無人航空機を飛行させる場所等で、その内訳は以下のようになります。

 ○無人航空機の飛行場所又は経路(別途図面を添付)

○無人航空機の飛行日時

○無人航空機の飛行目的

○無人航空機の飛行高度

このとき、飛行場所と経路は重要で、飛行場所をしっかり決めておくからこそ、届けが出せるということになります。

また、飛行高度についても注意が必要です。山頂から離陸させた場合、飛行高度を149mとしてしまうと、多くの場合、山頂から離れると150m以上になる可能性が高いため、離陸場所の標高を勘案して、飛行高度を記載します。

別途図面は、Google mapや国土地理院のサイトなどで画面イメージをキャプチャしたものを使い、ペイントなどの描画ソフトで飛行場所と空域を示したものを作成することで対応します。筆者は森林管理署の担当者の方とも相談し、大抵はGoogle mapを用いて作成しています。

届出方法はいくつかありますが、概ねメールで送付します。森林管理署ごとに窓口となるメールアドレスがありますので、そこに送付します。それ以外では、郵送、FAXという方法もあります。

実際の届出例

実際に記入して受理いただいた届出例です。

 

問題なく森林管理署内で確認いただくと、受理したという連絡をいただけます。

その際、受理印を押した控えが欲しいか聞かれる場合があります。(場合によっては、聞かれるまでもなくメールで送付される場合もありますが、森林管理署によって対応は微妙に違う場合もあります。)

控えが欲しいか聞かれたら、送ってもらうようにしてください。この書類を見せる場面はありませんが、万一現地で許可済みかを聞かれるような場合があった際には、この書類も持っているほうが良いと思います。

nature

『許可書』ではないので要注意

ただし、これは許可書ではありません。

許可はあくまで国交省の「無人航空機の飛行に係る許可・承認書」が示すところであり、森林管理署には、その許可を持って、飛行させてもらう届けを出す、ということになります。

この届けはその地域に入林してドローンを飛行させるという届出であって、それを「受理した」という意味合いしかありません。許可をもらっているかを確認されるような際には、届けを出して受理されている、と対応してください。そこを認識してもらって書類を準備するようお願いします。

ここまで書いた届出については、あくまで、「国有林」の場合となります。これが「民有林」であれば、その所有者を探し出し、これも空撮する旨の一報を連絡する必要があります。

また、その飛行区域が自然保護区であれば、その管理をしている組織(例えば、蔵王であれば、宮城県自然保護課等)、そのほか、観光協会やフィルムコミッションにも一報入れるようにします。担当組織に相談するたびに関連組織の有無を確認すると、より確かな準備となります。森林管理署では、届出を出すべき組織についてアドバイスをいただけますので、相談するようにしてください。

事前の準備や申請をしっかり行い、安全なドローン空撮を楽しみましょう。




2020.03.07