出典(Source):World premiere of the Vision Van research vehicle – Mercedes-Benz original、以下同じ
もくじ
メルセデス・ベンツが描く未来の物流
配送センターを起点として、ユーザーの元に荷物が届くまでの「ラスト1マイル(最後の1マイル)」は物流の大きな課題です。物流センター間のやりとりは既にロボット化や効率化が進み、かなり効率的に荷物が届けられるようになっていますが、最後はどうしても個別の「家」や「オフィス」などに運ばなければならないため、この部分が「距離は短いけれど、大きな手間(コスト)がかかる」部分となっています。
そんな「ラスト1マイル」の解決策となるべく「車とドローン」の両方を使ったコンセプト『ヴィジョン・ヴァン』をメルセデス・ベンツが提案しています。そのコンセプトを紹介する動画もかなりいい感じの仕上がりになっているので、さっそく詳細をチェックしてみることにしましょう。
メルセデス・ベンツが提案する
ラスト1マイルの解決策
以下の動画では、メルセデス・ベンツの描くコンセプトが実現すると「物流センター・ラスト1マイルの解決策(ヴァンとドローン)・ユーザー(荷物の受け取り手)」がどうなるのか、という姿が描かれています。
<動画>World premiere of the Vision Van research vehicle
【原文】As an integrated system, the vehicle merges a number of innovative technologies for last-mile delivery operations and thus sets the standard of performance requirements and solutions for future generations of vans.
【意訳】この車両は「ラスト1マイル」の配送用の多数の革新的な技術の融合であり、インテリジェントなシステムとして性能と必要要件を満たすソリューションのスタンダードを示します。
World premiere of the Vision Van research vehicle – Mercedes-Benz original
SF感たっぷりの配送センター。管理しているのはたった1人です。
未来のイメージと言えば立体映像。この記事を作成している2018年時点では、既にARの技術でスマホを介せばこれに近い映像が見られるようになっていますが、裸眼でこういったビジュアルが見られるようになる未来は来るのでしょうか?
無人の配送センターでは自動で淡々と荷物が送り出されています。
『ヴィジョン・ヴァン』への積み込みは車両の後方から、棚をまるごと差し込む方法でロボット・カーが行います。
棚のクローズアップはこんな感じ。
街なかを走る『ヴィジョン・ヴァン』。車両の外観はそこまでSFっぽくはありません。
車のダッシュボードはディスプレイ式。よく見ると、右下に小さくドローンらしきアイコンが見えます。
車の運転は「ジョイスティック」で行なうようです。
動力は電動。
『ヴィジョン・ヴァン』の断面はこうなっています。車両が移動する間にも仕分けが行われています。
車内では「ドローンが運ぶ荷物」と「ドライバーが手渡す荷物」が自動で振り分けられているようです。
荷物を受取るドライバー。
ドライバーが車から降りると同時にドローンが飛び立ちます。
荷物を手渡すドライバー。
一方、ドローンも少し離れた場所に荷物を届けています。1台の車から「人+ドローン」が荷物を届けることで、効率よく配送が行なえる仕組みです。
荷物を受け取って、ドローンを見送るカップル。
配送センターには「配達が成功裏に完了しました」と表示されています。
動画の最後に「バーン」と表示される『ヴィジョン・ヴァン』の文字。
編集後記
このコンセプト動画が公開されたのは2016年のことで、その翌年にはCESでデモ車両の展示も行なわれています。
<動画>Mercedes-Benz Vision Van Concept – CES 2017
2018年現在のこのプロジェクトの進捗は不明ですが、既にUPSは類似のコンセプトを実現していることから、仕組み的には不可能ではないはず。ただ、メルセデス・ベンツから買わずとも物流メーカーが自前で作れてしまうということはあるのかもしれず、大手の物流企業であれば車メーカーに頼るまでもない、という状況になっているのかもしれません。