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ANA、武田薬品がドローンで医薬品を配送。世界が注目する医療用ドローン

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ドローンによる医薬品配送、国内で実証実験開始

固定翼型垂直離着陸(VTOL)ドローン 同社資料より

3月10日、武田薬品が固定翼型垂直着陸(VTOL)ドローンを活用した医薬品配送の実証実験を3月22日より実施することを発表しました。長崎県五島市の離島間で、医薬品を患者宅までドローンで空輸するというものです。

実施者は、武田薬品、ANAホールディングス、長崎大学、五島市。協力者にはNTTドコモ、SkyLink Japanなどが名を連ねています。実施期間は3月22日〜26日で、片道約16kmの距離を約10分で運ぶことを目指しています。

VTOL型ドローンとは?

VTOL型ドローンとは、滑走せずに垂直方向に離着陸する垂直離着陸機のことです。前進のスピードが速く、スピード効率も良いところが特徴です。国内では航空法の規制など様々な要因によりまだまだ浸透していませんが、海外では空輸などで多く活用されています。

今回の五島市での実証実験で使用されるのはドイツの航空宇宙企業であるWingcopter社のVTOL型ドローン。Wingcopter社は今年初め、コロナウイルスのワクチン配布などヘルスケア関連に特に重点を置いて事業を進める方針を明らかにしていました。

ドローンスタートアップWingcopter社が約22.8億を調達。連続生産を発表。

ドローンによる医薬品配送の需要

ドローン配送とは、機体に専用ボックスを装着し空輸で荷物を届けることです。離島や山間部などの過疎地域や、海岸線が入り組み陸路での輸送が困難な場所への配送手段として注目されています。

輸送が困難・時間がかかる場所でも、ドローンによる空輸では医薬品や輸血用の血液を素早く届けることができます。また、近年では新型コロナウイルスの感染予防として非接触で荷物を受け取れる輸送手段としても期待されています。

ドローンによる医薬品配送の最新事例

ドローンによる世界の医薬品配送ですが、昨年末より新型コロナウイルスのワクチンをドローンで配送する事例が増えています。2016年頃より輸血用の血液輸送と医薬品配送を開始した米国企業のZiplineは、2020年に米国に事業を拡大し、現在はガーナにワクチンを運んでいます。

ドローンが命を運ぶ。米Zipline社が血液輸送サービスを開始

Ziplineによれば、同社は100万以上のワクチンを含む50,000以上の配達をガーナで行い、配送した数は国の総人口の3分の1強である1200万人に到達する数です。Ziplineによるドローン配送はガーナのワクチン接種への取り組みにおいて主要な役割を果たしています。

ワクチンを輸送する際、Ziplineは従来から提供しているサービスである輸血用血液の輸送の際に使用している断熱材を活用し、2℃〜8℃の適温を保ちながら配送することを可能にしています。

医療用ドローン市場は急成長が予想される

医療用ドローン市場は今後急成長し、2027年までにおよそ9億2740万ドルに達すると予想されています。世界中で新型コロナウイルスの影響が高まる中、医療サービス強化への需要が世界で強まりつつあります。

この大きな流れは医療用ドローン市場の成長を促進する主要な要因となり、通常のドローン配送の他、特にヘルスケア分野でのドローン需要が高まるとされています。

ドローン市場の成長を妨げる要因としては、導入の際の高コストや不具合が起きた際の対応策、操縦士の不足などがあげられます。今後、世界各社がこれらの要因をどのようにクリアしていくかが注目されます。





2021.03.12