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小型で操縦しやすく、人が立ち入りにくい場所にも気軽に飛ばせるドローン。いま、日本や海外のさまざまな企業が、ドローンを活用した空の物流に取り組んでいます。
Amazonなどのネット通販が普及し、物流が進化した現代。当日配送、翌日受け取りのサービスは珍しいものではなくなってきました。
しかし、交通の便が限られている離島や山間部などでは、事情が異なってきます。ネット通販はもちろん、食料品や日用品、雑誌などの入荷が数日遅れてしまうことだって珍しくはないのです。
そんな環境において、もし、生活必需品を切らしてしまったら? 限られた本数のバスや電車、あるいは船を乗り継ぎ、手に入るまで一日がかりになってしまうかもしれません。それができない場合は、数日、状況によっては数週間ものあいだ、不便な生活を送らなければならない可能性もあるでしょう。
そんなとき、ドローンによる配送が当たり前の社会になれば、私たちの生活はもっと便利に、もっと過ごしやすくなるかもしれません。
もくじ
米ドラッグストア大手が医薬品のドローン配送を開始予定
アメリカの大手ドラッグストアチェーン『ウォルグリーンズ』は、グーグルグループの親会社『アルファベット』傘下であり、ドローン宅配事業を展開する『ウィング』と提携。店舗から家庭まで商品を届けるドローン配送サービスを発表しました。
サービス開始予定は、2019年10月。まずは、バージニア州クリスチャンズバーグの『ウォルグリーンズ』顧客に向けて、健康・ウェルネス製品、食品、飲料、日用品をドローンで配送するとのことです。
『ウィング』は、2019年4月23日、アメリカ連邦航空局(FAA)より航空事業者としての認可を獲得したばかり。ドローン事業者として、アメリカ航空事業者の認可を受けた企業は『ウィング』が第一号です。
日本企業で進む、ドローン物流の実証実験
海外よりも少々遅れをとった形となりますが、日本企業でもドローン物流の実証実験が行なわれています。飛行禁止区域や騒音問題などの課題もあり、現在は離島や山間部が中心となっていますが、都心部での構想も積極的に進められています。
ANAの3離島間実証実験
2019年9月26日には、ANAホールディングスがドローンを用いた離島間の物流実験を行なったばかり。舞台は、11の有人島と52の無人島で構成される長崎県五島市です。今回の実験は、市の中心部にあたる福江島、赤島、黄島(おうしま)間で実施されました。
赤島は島内に商店がなく、買い物をするには福江島まで出るか、または1日2便の定期船による取り寄せのみという状況。黄島は島内に商店が1店舗だけ商店がありますが、取り寄せの定期便は赤島と同じく1日2便に限られているそうです。
実験内容は、事前に配られた冊子をもとに赤島と黄島の住民がお弁当屋お寿司などを注文し、福江島からドローンで届けるというもの。住民に高齢者が多いという理由から、注文は電話方式を採用したそうです。
五島市では、将来的にドローン物流をビジネス化させたいそう。それに伴う受発注・配送システムの仕組み化や、担い手の人材育成も計画しているとのことでした。
日本郵便の郵便局間輸送
日本郵便では、2018年11月7日より、福島県でドローンを活用した郵便局間輸送をスタートさせました。対象となるのは、小高郵便局(南相馬市)と浪江郵便局(双葉郡浪江町)。このふたつの郵便局間における約9km間でドローンを飛ばし、郵送を行ないます。このサービスは、操縦者が視認できない範囲でドローンを飛ばす「目視外飛行」。GPSを活用しており、完全自律飛行します。業務用ドローンに必要な無線免許を8名の社員が取得し、交代で操縦にあたっているとのことです。
これまで、両郵便局間での輸送には軽トラックを用い、一回につき約25分もの時間をかけていたそう。しかし、郵便局間輸送にドローンを活用することで約15分間に短縮できます。
現段階では、2kg程度までの書類やパンフレットなどの郵送が中心ですが、将来的には『ゆうパック』などの荷物郵送にまで範囲を拡大させたいとのこと。そのためには、商品の安全性をしっかりと確保していくことが重要です。
楽天のドローン配送プロジェクト第三弾“猿島配送サービス”
ドローン配送事業を展開する楽天ドローンでは、2019年7月4日から国内初となる離島配送プロジェクトをスタートさせました。舞台となっているのは、東京湾唯一の無人島『猿島』。年間20万人もの観光客が訪れる人気の観光地です。
このプロジェクトは、『猿島』対岸にある西友LIVIN横須賀店の取り扱い商品をスマートフォンで簡単に注文、配送できるというもの。対象商品は約400品目あり、生鮮食品や飲料などバラエティー豊かな品ぞろえで、バーベキューなども楽しめます。配送料金は500円、積載量は5kgまでで、時間指定も可能です。毎週木・金・土曜日限定、一日最大8便が運航しています。
国内のドローン物流はBtoBが多く、一般ユーザーに向けたサービスが少ないなかで、この取り組みは大きな前進といえるでしょう。期間は9月末日までを予定しており、運航情報は楽天ドローンの公式Twitterで確認できます。
千葉県千葉市のドローン宅配構想
都市部でも、ドローンの技術実証に向けた構想が着々と進んでいます。千葉県千葉市では、ドローン物流の本格化に向けた制度整備・改革および規制改革について話し合う『千葉市ドローン宅配等分科会』を設立。また、実証実験の具体的な実施や、実証実験に係る技術的課題を抽出して分科会に報告することを目的とした『技術検討会』が立ち上げられました。この『技術検討会』には、Amazon、イオン、NTTドコモ、佐川急便、日本電気、三井物産、ヤマトロジスティクスなどの民間企業が名を連ねています。
この取り組みの目的は、人口集中地区(DID)でのドローン宅配を2020年までに実現させること、またその事業を一層加速させること。そのために、千葉県千葉市では、サービス実証や技術実証などを実施する民間事業者などを公募型プロポーザル方式で募集しています。
※公募型プロポーザル方式とは……
民間事業者が定められた要件に対して提出した提案書を地方公共団体が審査し、内容や価格などの総合的な評価によって受託者を決定する入札方式のことです。
公募要件
実施内容は以下のとおりです。
・配達時間の短縮、利便性の向上、人手不足の解消、配送コストの削減、外出困難者の支援など、社会的な課題解決に寄与する事業であること。
・2020年の一部社会実装に向けて、民間企業の継続的なサービス提供が期待できる事業であること。
・都市部におけるドローンを活用した宅配サービスを提供するための実証を行なうこと。
また、対象事業者には下記の条件が定められています。
・民間企業や大学、研究機関やその他団体など、千葉市内において本事業を行なう団体であること。
・ドローン実機、ソフトウェア、サービス運営、運用保守など、社会実装に向けたサービスをワンストップで提供できること。
・要綱第3条に掲げる要件を満たすこと。(『千葉市近未来技術等社会実装促進事業補助金交付要綱』PDF)
また、実証地域は千葉市内。実証期間は5か月間程度とされています。
申込受付締切日は2019年10月4日まで。詳細は、『2019年度 ドローン宅配社会実装サポート事業 公募型プロポーザル実施要領(千葉市近未来技術等社会実装促進事業)』PDFをご覧ください。
★千葉市『ドローンによる宅配等の取組み』
ドローン物流における国土交通省の取り組み
国土交通省のホームページでは、過疎地域等におけるドローン物流ビジネスモデルの『中間とりまとめ』『中間とりまとめ概要』を掲載しています。
これは、2018年度に長野県白馬村、福島県南相馬市・浪江町、福岡県福岡市、岡山県和気町、埼玉県秩父市の全国5か所で行なわれた検証実験の結果を踏まえたもの。2019年度に、国内におけるドローン物流の商業サービス実施を目指し、ビジネスモデルの構築と、事業展開を後押しするための支援方策をまとめた資料です。
ビジネスモデル
[1]地域社会の基本的条件
・人口分布や輸配送地点(商店街など)の位置関係、公共サービス(電気通信など)の提供状況を踏まえたルートを検討すること
・地理的条件による電波の衰退や、天候など自然的条件による稼働率への影響を考慮すること
・地元住民らの理解を得ながら主体的に取り組むこと、また、リスクを補償する保険に加入すること
[2]経費抑制
・少人数による実施体制の構築
・設備投資費用の削減
[3]収入増加
・他用途を含む多頻度利用による収益性の向上
(同一区間における輸配送の多頻度化、複数区間における輸配送の実施、観光・農林・測量など物流以外でのドローンの活用)
・ドローン物流に適した貨物の選定
(速達性を活かした少量高付加価値商品の選定および新たなニーズの開拓)
支援措置
・機体や付帯設備、ドローン物流システムなどの購入補助)
・サービス水準の向上が見込まれる場合や、買い物支援等に対する費用が低減する場合の継続的な運航経費補助
編集後記
航空法や自治体ごとの条例もあり、慎重に検討が進められているドローンの物流事業。離島や山間部だけでなく、都市部でも実装が進められており、省コストや時間短縮など、さまざまな成果を産んでいます。今後も実証実験を重ね、ドローン物流ビジネスは着実に社会実装・浸透していくことでしょう。
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