内閣官房 小型無人機対策推進室 内閣参事官 長崎敏志 氏
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11月12日(水)都内某所で【JDCフォーラム2019 – 加速するドローンの産業応用と制度改革 – 】が開催されました。産学官の豪華な登壇者が、セッションやディスカッションを行い、会場は例年を上回る来場者数を記録しました。
様々なプログラムの中でもひときわ、来場者の注目を浴びていたのが「ドローンに関する制度・規制のあり方について」というタイトルで行われたパネルディスカッションです。
モデレーター
JDC制度設計委員長 慶應義塾大学教授 武田圭史
パネリスト
内閣官房 小型無人機対策推進室 内閣参事官 長崎敏志
国土交通省 航空局安全企画課 課長 英 浩道
経済産業省 製造産業局産業機械課 課長 玉井優子
総務省 総合通信基盤局移動通信課 課長 萩原直彦
関連各省庁の担当者からドローンに関する制度検討の状況や今後の方向性についての説明や、会場からの質疑応答およびドローン利用者、サービス提供者等の観点から関連制度のあるべき方向性について議論が行われました。
もくじ
ドローン規制の歴史は2015年から始まった
そもそも、日本で初めて「ドローン」という言葉が知れ渡ったのは2015年4月です。最初のきっかけは首相官邸無人機落下事件。官邸職員が屋上のヘリポート付近でドローンを発見し、警視庁に通報しました。発見当時は横転などはしておらず、通常の着地のような状態だったそうです。
発見されたのはDJI社のPhantom。白い機体は黒く塗られ、小型カメラとセシウムを入れたプラスチック容器が搭載されていました。この事件をきっかけに「ドローン」は日本で広く知られ、ドローン飛行に関する規制がほとんど無いことや、テロ対策の弱点が顕在化した問題が指摘されました。
ドローンの創生期は今。次世代へ繋がるルールを
日本におけるドローン飛行規制の歴史は、この事件をきっかけに本格的に始まり、平成30年に 小型無人機対策推進室 (ドローン室)が設置されました。
ドローン室の長崎参事官は『今はドローンの制度を創る創成期である』として、日本が抱える少子化問題やインフラの老朽化においてドローンが重要な役割を担うと語りました。国は、空の産業革命に向けたロードマップにおいて、有人地帯でのドローン目視外飛行が可能になる「レベル4」を2022年に実装するとしています。
そこに向けて2020年には環境整備を進めるべく、ドローンが誰の物なのかしっかりと認識できるシステムを導入していきたいとの話がありました。
また、長崎参事官は『役所に入って25年になります。ドローンの実装化を10年、20年後に振り返った時に、取り組んで良かったと思える仕事の1つにしたい』と語りました。
今年度におけるドローン制度設計の基本方針
長崎参事官のお言葉にもあったように、国は、環境整備を進めるためにドローンが誰の物なのか解るようなシステムを導入していく方針です。ドローン飛行における制度設計を4つの軸から行うとしています。
所有者情報の把握
ドローン登録制の導入
所有者によるドローンの適切な管理
犯罪やテロの防止のための対策
操縦者について
飛行リスクに応じた知識と技術の確保
運行管理者
運航管理
他のドローンや航空機との接触防止
飛行禁止エリアへの侵入防止
機体の安全性
耐空性能の確保と危害軽減のための基準
認証制度による実効性の確保
ドローンで新しい産業革命を
ドローンの飛行申請数は昨年の月1000件から、令和元年には月4000件まで上がっています。仕事や趣味でドローンを飛行させる方が非常に増えているというデータになっています。
経産省の玉井優子課長は『今後は、ドローン機体だけでなくドローンソリューション産業が盛り上がりを見せていくでしょう』と見解を述べました。ドローンが本格的に社会で実装されるには運行管理システム・衝突回避機能・リモートIDが重要な役割を担います。
「ドローン」と言う新しいイノベーション革命で今後、更に産業を広げていくには、安全を確保する制度設計が重要な鍵となります。
編集後記 :ドローン規制について思う事
ドローン規制はネガティブなイメージで語られる事が多いと思いますが、裏を返せば、それだけ日本は裾野までしっかり管理されているから、安心してドローンを利活用できるという事です。
講演の中では『”規制”ではなくマナーという気持ちを』と語られる場面もありました。何も知らない第三者が飛んでいるドローンを見れば、どの様な目的で飛んでいるのかと不安な気持ちにならないか?そのように人の気持ちを慮る気持ちから、ドローン規制を考えていくべきだと感じました。
ドローンの社会的有用性をよりたくさんの方に知っていただくため、今後もビバ!ドローンはドローンに関する最新情報をお届けしていきます。
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