出典(Source):東京電力グループ・ゼンリン・楽天、「ドローンハイウェイ」を活用したドローン物流の共同検討を開始 | 東京電力ベンチャーズ株式会社、以下同じ
もくじ
ドローンが安全に飛べる「空の道」
東京電力が持つ送電鉄塔をゼンリンが三次元データ化し、ドローンが安全に飛行できる「ドローンハイウェイ」をつくる計画が進行しています。今回は埼玉県秩父市の「ドローンハイウェイ」上空で楽天ドローンによる試験飛行が行われ、お弁当を空輸することに成功したそうです。
この記事の後半には、実際にドローンが飛行している様子を収めた公式動画も掲載しているので、ぜひ、チェックしてみてください。
秩父のドローンハイウェイで
楽天の機体がお弁当の空輸に成功
実験が行なわれたドローンハイウェイは民家からダム湖の脇を通って公会堂に至る全長3kmのルート。距離は短くても、高低差があり森や湖を抜けなければならないため、陸路での移動が困難な場所です。
こちらが注文者が居る民家。
スマホアプリのジャンル一覧から「お弁当」をタップ。
『幕の内弁当(税込650円)』を注文。
真剣な面持ちの男性。
注文完了です。
こちらが配送元となる山荘。旅館がお弁当の販売も行なっているのでしょうか。
配送用のボックスの中にお弁当が入っています。
ドローンの下部にお弁当が入ったボックスをセットすれば準備完了。
ドローンをプロポ(コントローラー)で操作する必要はなく、届け先を入力すれば、後は機体が自動で飛んで行きます。
駐車場からドローンが飛び立ちました。
東京電力が保有する鉄塔の上が「ドローンハイウェイ」になっています。
「ジオフェンス」と呼ばれる「一定のエリアに機体が入らないようにする仕組み」が用意されているため、ドローンが鉄塔や送電線にぶつかる心配はありません。
周囲の気象状況を踏まえた飛行も可能とのこと。
配送先の公会堂上空にドローンがやってきました。動画の冒頭では、注文者の男性は民家に居たので、どうやら受け取り場所まで移動しなければならなかったようです。そういう意味では、個別の宅配というよりは拠点間配送に近い仕組みのようです。
ドローンが着陸。
自動で荷物を置くと、飛び去っていきます。
お弁当が入ったボックスを受け取る男性。
箱の中からお弁当が出てきました。保冷剤が入っているのでアツアツではなく冷ましたものを運んでいるようです。
おかずとご飯が別々に詰められた豪華な弁当。送料は明らかにされていませんが、アプリの画面通り650円で購入できるのであれば、お得感ありと言えそうです。なお、余談ですが、このおかずにパセリは入れない方が良かったのではないかと思っています(個人の見解です)。
満足そうな表情を見せる注文者の男性。
東電・ゼンリン・楽天の公式発表
3社による公式発表の内容は下記の通りです。
東京電力グループ・ゼンリン・楽天、「ドローンハイウェイ」を活用したドローン物流の共同検討を開始~世界初、送電設備を安全な空の道として利用した配送の実証実験に成功~
東電ベンチャーズとゼンリンは、2017年3月29日に、ドローンの安全飛行をインフラ側から支援する「ドローンハイウェイ構想」の実現に向けた業務提携をしました。「ドローンハイウェイ構想」は本年6月に改訂された政府の「空の産業革命に向けたロードマップ」※2において取り上げられるなど、その役割に対する期待が高まっています。東京電力グループが保有する「送電鉄塔、送電線、変電所、電柱など」のインフラデータと、ゼンリンが開発を進める「空の三次元地図」を組み合わせ、「安全・安心な空の道」の早期実現に向けて取り組んでおり、2018年より関東に複数のテストコース開設を予定しています。
今回、「楽天ドローン」としてドローン配送サービスに取り組む楽天が、新たに「ドローンハイウェイ構想」に加わることにより、安全な空の道「ドローンハイウェイ」の実用化に向けた検討を三社で協力して行います。すでに、2018年6月27日に、埼玉県秩父市において、第一回目となる共同実証実験を行い、世界初の送電設備を使ったドローン配送に成功しました。
今後も、東電ベンチャーズ、ゼンリン、楽天の三社は、共同で実証実験を行い、「ドローンハイウェイ」を活用したドローン物流の実用化を目指します。
2018年7月12日|東京電力ベンチャーズ株式会社、株式会社ゼンリン、楽天株式会社
【動画】楽天・ゼンリンとの3社取り組み
編集後記
山間部は平地より道路の建設コストが高く、一方で利用者数は少ないため、陸路のインフラ整備が進みにくい状況があります。今後、さらに人口が減り、必ずしも税収が増える見込みがある自治体ばかりでは無いことを考えれば、今後は山奥へはますます行きづらい状況になってしまうかもしれません。
そこで、ドローンの出番というわけです。
空輸であれば道路も車も要らず、自動航行が完成すれば操縦士すらも必要ないため、人手不足でも運用が可能です。また、人家がまばらなため、万が一ドローンが墜落した場合でも、都市部に比べて地上の被害がでる可能性がグッと下がるというアドバンテージが山間部にはあります。
今回のデモではおべんとうが運ばれていましたが、今後は医薬品や生鮮食料品の配送も可能になるはずです。山奥でも快適に暮らせる時代はすぐそこかもしれませんね。