厳しい規制に屈しない!大阪発のドローンビジネス事情

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規制が厳しく、「ドローンを飛ばせる場所が非常に少ない」といわれている大阪。なかでも大阪市は、公園条例によって市内にあるすべての公園でドローンの飛行を禁止されています

今年6月には、大阪府の60代、京都府の30代の男性が府内の禁止区域でドローンを飛ばしたとして検されています。この一件で禁止区域とされていたのは、『G20大阪サミット開催時における小型無人機の飛行の禁止に関する条例』に合わせて制定された区域です。

こうした国際的な会合や大型イベントが催されるときには、通常の航空法や自治体ごとの条例と併せて、特例で規制が行なわれていないかを事前に確認しておくことが大切です。

もちろん、こうしたイレギュラーな規制は大阪だけではありません。東京でいえば、現在開催中の国際的なラグビー大会や、2020年に東京で開催される4年に1度の一大スポーツ大会。これらのイベントでも、テロ対策の一環として、ドローンの飛行を原則禁止とする規制法案が閣議決定されています。

ドローンを活用した大阪商工会議所の取り組み

その条例の厳しさから、ドローンに対して消極的な印象を受ける大阪。しかし、年間250万人が訪れるといわれている大阪城では、ドローンをビジネスに活用するためのさまざまな実証実験が行なわれています

その動きをけん引しているのが、大阪商工会議所(大阪市中央区)です。大阪商工会議所では、ドローンによる新しいビジネスの創出を目的に、中小事業者でも実証実験がスムーズに実施できるよう、申請や許可などの手続きを代行しています。

また、一般社団法人日本ドローンコンソーシアムと連携し、『ドローンビジネス研究会』も発足させています。対象となるのは、ドローンを活用したビジネスに関心がある在阪企業。ドローンビジネスの最新動向を紹介したり、先進事例を発表したりしながら、関西をフィールドとするドローンの実証事業を積極的に進めています。

文化財やインフラの補修に──大阪城の六番櫓で空撮実験

実証事業の第一号は、大阪市との協力により、2017年6月に実施されました。実験を行なったのは、1級建築事務所E・C・R(同市中央区)。文化財や、橋梁などのインフラの補修診断を目的とし、大阪城の六番櫓の屋根や壁面を空撮しました。

通常、大阪城公園や周辺エリアではドローンの飛行が禁止されています。この実験では、「落下しても人や建物に危害が及ばない、お堀の上だけを飛行する」という条件下で、公園の指定管理者から飛行が認められました。

六番櫓の全長は、約15メートル。ビルに置き換えると、4~5階建てほどの高さになります。この実験では、大小2機のドローンを使い、お堀の上から六番櫓に接写。大型ドローンが高精度の静止画、小型ドローンが動画を撮影するという役割を担いました。この実験によって、ドローンの機動力や撮影能力の高さが広く認知されたといえます。

今後、保守点検にドローンが導入されるようになれば、その活用例は文化財だけに限らないでしょう。老朽化した橋やビルなどの点検でも足場を組む必要がなくなり、保守者の負担を軽減できることが期待されます。

施設巡回に災害対策──空撮データを3Dモデル化

ドローン操縦者の目視外であり、水面に接近した状態でドローンを飛行させる難易度の高い実験。

大阪商工会議所の実証事業は、2019年も活発に行なわれています。3月には、株式会社ミライト・テクノロジーズ(大阪市西区)と株式会社NTTファシリティーズ(東京都港区)が、大阪城公園・西の丸庭園にてドローンを使った画像解析実験を実施。NTTテクノクロス株式会社(東京都港区)とアジア航測株式会社(東京都新宿)の協力を受け、空撮による園内の巡回点検や、城郭石垣の精密撮影、天守閣周辺の3Dモデル作成が実施されました。

この実験では、保守者の目視による巡回点検稼働の削減、補修計画の情報収集および災害時の状況把握と復旧計画の立案などに寄与することが目的とされています。

実験は西の丸庭園の休演日に実施され、DJIのInspire2が使用されました。

DJI Inspire2

まずは、『置き忘れ検知機能』の実証実験。自動航行で上空20メートル、30メートルからの空撮を行ない、1度目の撮影ではなにもない状態で、2度目は撮影区域内に置き忘れのアイテム(実験ではバッグを使用)が配置されました。2枚の画像を照合し、差分箇所を自動抽出することで置き忘れを検知することに成功しています。

次に行なわれたのが、『ひび、ゆがみを詳細観察』する実験です。自動航行で石垣と8メートルほどの離隔をとり、撮影したデータを3Dモデル化。平面写真は違い、保守者が間近で見るようにさまざまな角度から石垣の凹凸や表面の状態を把握することができました。こちらは、「ドローン操縦者が目視できない」「水面上(+5メートル)で石垣に近接する」といった条件下で行なわれた、難易度の高い実験です。

最後は、3D化対象エリアの外から『大阪城周辺を立体的に表示』する実験。お堀の上空を垂直に上下飛行させ、天守閣を中心に各ポイントでドローンを180°旋回させながらの空撮です。この実験では、6か所から斜め写真を撮ることで、撮影データを3Dモデル化させることができました。設備管理の基礎データとして、十分な品質の画像となっています。

この実証実験で得たデータの結果を踏まえ、両社はドローンを活用したサービスの商品化を目指す構えです。

ドローンビジネスの下見に……大阪でドローンを飛ばすなら

前述のように、大阪でドローンをビジネスに活用するなら、自治体や商工会議所などへの相談が欠かせません。では、その前段階で、「まずは個人的にドローンを飛ばしてみたい」という方のためにおすすめの場所があります。

能勢高原ドローンフィールド(大阪府能勢町)

「新大阪駅」や「伊丹空港」から約40分、市内からの交通の便がよい西日本最大級のドローン練習場です。緑豊かな屋外でのびのびとドローンを操縦できます。ドローンによる測量などの検証フィールドとしても活用できるので、趣味でドローンを飛ばしたい方はもちろん、ビジネスでドローンを導入するための下見として興味を持っている方にもおすすめです。

利用料金は、パイロットひとりにつき平日3500円、土日祝4500円。半日または全日貸し切りも可能です。営業時間は、夏季(4月~9月)と冬季(10月~3月)でそれぞれ異なります。初心者レッスンも開催していますので、予約状況も併せて公式ホームページでご確認ください。

Flight Pilot Vace(大阪府大阪市北区)

各線「梅田駅」から徒歩15~20分、大阪メトロ「中崎町駅」「天神橋筋六丁目駅」からなら徒歩十分未満の好アクセス。DJIのMavicシリーズをはじめ、200g以上のドローンを屋内で自由に飛ばせます。ドローンレースをイメージしたLEDコースも設置されており、ドローンレースの練習がしたいという方にもおすすめ。都心部の好立地で20時まで営業しているので、仕事帰りに通えるのも魅力です。

利用料金は、使用するドローンの重量によって異なります。200g未満のドローンなら、ひとりにつき2時間で2000円。200g以上の大型ドローンでは、ひとりにつき2時間で3000円となります。資格試験の練習や、ATTIモードによる悪条件を想定した練習ができるのも嬉しいポイントです。

編集後記

国が定める航空法に加え、自治体の条例が特に厳しいとされる大阪。しかし、ビジネスの観点では多くの企業がドローンに可能性を見出し、積極的に技術研究や実証実験が行なわれています。さらなる技術の向上と環境整備により、ドローンが私たちの生活によりいっそう身近な存在となる日も、そう遠くはないかもしれません。

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