もくじ
爆弾をドローンから落とす目的とは?
ドローンから投下された直後に炸裂した爆弾。立ち並ぶ木々と同じくらいの高さまで立ち上がる爆炎からその威力が想像できます。
イラクやシリアでは米軍などが運用する大型軍事用ドローンの他にも、民生用ドローンを改造した機体が兵器として使われているという物騒なニュースがあります。しかし、今回ご紹介する米国の雪深い山岳地帯で活躍する爆弾ドローンは、戦争用に作られた物ではありません。
爆弾で人工雪崩を発生させて
防災に役立てるドローン
チャールストンの大学の卒業生らが立ち上げたスタートアップ企業がつくるこのドローンは、爆弾を投下して人工雪崩を起こすための機体。スキー場周辺などで雪崩が起きやすい位置に雪がつもり過ぎた場合に、周囲に人が居ない時にコントロールされた範囲で雪崩を起こすことで防災に役立てるためのものです。
開発しているのはマウンテン・ドローンという会社で、機体名は『プロスペクト』。
機体はフルカーボンファイバー製で、幅6フィート(約180cm)とのこと。
大型のバッテリーと軽量なボディを組み合わせることで、爆弾のような重量のある荷物を積載可能にしています。
模擬弾を搭載した様子。
上空から爆弾を自動で投下できます。
雪崩が巻き起こした巨大な雪煙。この中に人が居たらと思うと恐ろしくなりますが……実際は、スキー客などが居ないタイミングを狙って起こされた人工雪崩。予測できない雪崩が起きる前に、先に爆破して人が巻き込まれるのを防ぐというなんともダイナミックな防災方法です。
爆弾ドローンで雪崩を防ぐ取り組みについて、解説された映像は以下でご覧いただけます。
Using Drones For Avalanche Mitigation Work
ドローン以前の雪崩対策
ドローンが人工雪崩を使った防災に活用される前は、以下の写真のように迫撃砲で砲弾を打ち込んでいたそうです。ただし、この方法だと人工雪崩を起こす場所と作業者の場所が近いことや、投下の精度が低いといった問題がありました。
また、別の例場所では野戦砲(?)のような物を使って人工雪崩を起こす取り組みも行われているようです。
Preventative Avalanche | National Geographic
編集後記
「ドローンが人の仕事を奪う」という状況になってしまうといろいろと問題が発生しますが、「人がやりたくない仕事」を代わりに行なってくれるのであれば何も問題はありません。雪山に登って爆弾を仕掛けたり、迫撃砲を撃つような危険な仕事をドローンがやってくれるなら、これは大歓迎。しかもより多くの人の命を守るための役割をドローンが担えるというのは、ドローン業界にとっては実にポジティブな話題です。
» 参考 Mountain Drones
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