ドローン空撮における注意点は無数にありますが、今回は”バッテリー”について取り上げたいと思います。バッテリーはドローンにとって重要なパーツの一つであり、バッテリーの状態が適切かどうか、使用時も保管時も適切な管理ができているかが、良い空撮を行うための条件とも言えます。
すでにインターネット上に、リポバッテリーについての様々な情報が記されているので、ここでは敢えて同じことを記さないこととします。最低限、覚えておいていただきたいリポバッテリーについての注意点をあげておきます。
もくじ
ドローンのバッテリーに関する注意点
ここではドローンのバッテリーを取扱う際の6つの注意点をご紹介します。
・リポバッテリーは、軽量小型でありながら、容量が多く、電力を多く供給することができることから、長時間の飛行に適している。
・衝撃に弱く、取り扱いを間違えると発火や爆発などの危険がある。
・保存時はセーフティバッグなどに入れて保存する。
・適切な温度(可能なら気温が22度~28度程度)で保存する。
・保存時の容量は、60%程度の残量とし、満充電や過放電状態を避ける。
・使用時のバッテリー温度は25度~40度程度が適切。15度以下の場合、DJI製品は起動できないため、20度程度までバッテリーを温める。
・電圧は、各セルが3.0V ~ 4.2V の範囲内にあり、セル毎の差が0.03V以上ないことを確認する。
他にも、様々な取扱いに関する注意がありますので、今後も発信していきたいと思います。
バッテリー異常の実際にあった例
さて、ここでは、何らかの状況によってバッテリーに異常をきたした一例をご紹介します。
写真は、DJI Phantom4Proのバッテリー異常の一例です。
4つのセルのうちの1つが異常値を示しています。これは空撮後の状態を示しています。
2枚目の写真は、バッテリー詳細の画面ですが、「現在の状態」に「バッテリーエラー。直ちにホームに着陸し、チェックリストを確認。」と赤字でエラーメッセージが表示されています。
充電回数は90回となっています。回数が1つの目安となりますが、この90という数字はかなり使っていると言っていいでしょう。購入してから2年ほど経っています。
ドローンのバッテリーエラーが出た経緯
簡単にこの状態を発見した経緯を記します。
時間は早朝。茨城県で日の出の撮影をしていましたので、5:48の日の出のあとの数10分の時間になります。気温は正確に測れてはいませんが、気象予報から、早朝のこの時間は1~2度程度ではなかったかと思います。かなり冷え込んでいましたし、冷たい風も吹いていたので、実際に飛行させた上空の気温はゼロ度以下だったかもしれません。
バッテリーは宿の部屋で温めておいたので問題なく起動。2本持って空撮しましたが、撮影後、着陸させてから、最初の1本のLEDが異常を示す状態で点灯していたために気づきました。その際のバッテリーのLEDの点灯状態は、ボタン部分のLEDが緑に点灯し、ボタンから2つ目のLEDだけが点灯している状態です。ボタンの長押しなどをしてもこの状態を消すことはできませんでした。
その後、しばらくバッテリーを放置しておき、バッテリーのLEDが消灯していることを確認し、再度ドローンに装着して確認した画面が先の写真となります。
その後、いったんこの異常を示したバッテリーに対し、充電を試みましたが、正常に充電することはできませんでした。もちろん、セットしても起動させることはできません。なお、正常なバッテリーの場合は、このような表示となります。
バッテリーを正しく管理するためにすること
ここからの教訓です。
バッテリーは全部で7本あったのですが、どのバッテリーも同じように管理してきました。常に保存時は適切な容量としてきました。保存温度は、一般家庭の室内保存ですので、季節によってばらつきはありますが、これについては適切な温度とは言い難い日も多かったかと思います。
しかし、同条件で管理していた7本のバッテリーのうち、異常が出たのは1本でした。7本のバッテリーで差があるのは、充電回数です。異常の起きたバッテリーは90回の充電をしていました。他に90回以上のバッテリーは4本。残り2本は68回と18回です。充電回数ですべて決まるわけではありませんが、90回を超えている残りの4本についても、しっかりとした管理が必要になると思います。
また、他の2本は90回まで行きませんが、充電回数に寄らない異常が出る可能性も考慮し、これらも同様に管理していく必要があるでしょう。こうしたことも踏まえ、次のように管理できると、バッテリーに関するリスクは減るのではないかと思います。
ドローン空撮の前日にチェックすること
まず、ドローン空撮前日です。
前日は、使用予定のすべてのバッテリーの状態を確認すること。後に紹介するバッテリー管理表なども参考に、翌日に使うバッテリーを選定し、実際に起動させて確認します。
確認時に見るべき箇所は、セルの状態が正常かどうかです。正常であれば、どのセルも0.03V程度の開きしかないので、その状態を確認します。
そして、その上で使用する全てのバッテリーを満充電にします。
ドローン空撮の当日にチェックすること
次に空撮当日です。
当日は、飛行前に再度バッテリー状態を確認し、バッテリー温度などの確認に加え、前日に確認した状態に比べて数値の開きが大きくないかなども見るようにします。空撮後は、充電器をSTORAGEモードにして容量を50%にします。その後、可能なかぎり温度が一定の場所で保管します。
また、できれば、このようにバッテリー1つ1つの状態のステータス管理を管理表でできると良いです。管理表はExcelなどのスプレッドシートで作っておいて、クラウドで管理するなどしておくと良いでしょう。
このようにしてもバッテリーに異常がみられた時ですが、その異常具合にもよりますが、このような状態になります。
まだ通電する場合ですが、バッテリーエラーが表示され、プロペラは回りません。
通電できないほど異常の場合は、途中で電源が落ちます。
これらの症状は一例になります。
場合によっては異常状態を見過ごしたまま飛行させ、途中で急に電圧が降下する、もしくはいきなり停止する、といった状態も考えられるため、少しでも異常を感じるようなことがあれば、まずはそのバッテリーは使用しないようにしてください。