米内務省は、組織内でのドローンの使用を2020年も引き続き停止すると発表しました。これには、中国製ドローンに対するセキュリティ上の懸念が関係しています。2019年は、ドローンを悪用したサイバー攻撃やテロ攻撃などが目立つ年でもありました。
昨年からドローン運用を停止
2019年10月に、アメリカの土地や資源を管理する内務省は、保有する800機以上のドローンの利用を停止しました。
これは中国製ドローン、あるいは中国で製造された部品を使用しているドローンへの、セキュリティ上の懸念が原因となっています。つまり、中国によるスパイ活動やサイバー攻撃がドローンによって実施される危険性を、内務省はチェックする必要があると判断したのです。
なお、山火事や捜索、救助、といった自然災害への対処などの緊急目的に使用される場合には、例外的にドローンの使用が認められていました。
2020年になっても方針は変わらず
そして2020年1月末、米内務省は引き続きドローン利用の停止を継続すると発表しました。これは、数ヶ月の審査にも関わらず、その危険性の懸念が排除できなかったことを意味します。
一方で、消防などの緊急事態に使用する際には、例外的にドローンが利用できるという方針も変わっていません。米内務省は、「ドローン技術がアメリカの安全保障上の利益を損なわないようにしなければならない」との声明を出しているのです。
DJIは失望を表明
この決定にたいして、ドローン大手の中国DJIは失望を表明しています。DJIといえば民生用ドローンの最大手であり、また詳細は明かされていませんが、米内務省でも多数の機体が利用されていたことが推測されます。
今回のドローンの利用停止は、アメリカによる中国製品に対する不信感だけでなく、アメリカと中国の貿易紛争も関連していることが予測されます。お互いの主張はあると思いますが、いずれどこかで落とし所を見つけてほしいものです。
文/塚本直樹
12月より禁輸リスト入りか
※2020年12月追記
米国がかねてより懸念してきたドローンによる監視。米内務省は12月18日に中国製ドローンの大手メーカーであるDJIの製品を禁輸リストに加えることを発表しました。
このニュースはDJIにとって非常に大きな打撃といえます。DJIはドローン分野での世界シェア率No.1を誇る大手メーカーです。現在でもドローン市場の77%を握っているといわれています。
DJIは今回の発表に対しても失望を表明しており、引き続き厳しい状況が続きます。