ドローンの空撮の当日、現地の素晴らしい風景を見た途端、思わず撮影を開始したくなる気持ちになりますが、その逸る気持ちを抑えつつ、直前までしっかりと準備と確認を行いましょう。
ここでは当日出発前から飛行直前のチェックポイントについて記します。空撮初心者の方は、ぜひ一つ一つの項目について確認していただき、できれば身体に染み付くぐらいに確認に慣れていただければと思います。
もくじ
ドローン空撮の出発前にすること
出発前には、持ち物の再確認を行います。当日の状況で追加の持ち物を準備します。
夏であれば、クーラーボックスやアイスノンなどの冷却グッズの補充です。バッテリーやiPadなどの熱を発生しやすいものに対する対策としても重要ですが、熱中症や日射病などで自身の体調を崩さないようにするためのグッズとしても持っていきます。
冬であれば、ホッカイロなどバッテリーを温めるためのグッズは必須です。バッテリーが15度以下ではアームしませんので、カイロなどで温めたり、あるいは車中であれば車内を温めたりし、到着前にどのバッテリーも使えるように準備しておきます。
出発時には、現地のその日の天候をチェックしておきます。特に天候の変化、気温、風の強さを抑えておきましょう。
天気等を確認するには、馴染みのスマホアプリで良いと思います。私は、「ウェザーニュース」と「Yahoo天気」の2つを主に見ています。気温、風速と風向き、そして雨雲レーダーが機能としてありますので、これらを参考にしています。
空撮スポットまでの移動中にすること
出発時間や、到着時間・到着場所にもよりますが、飲み物や食べ物などの必要なものも準備します。途中のコンビニエンスストアや高速道路のサービスエリアなどを活用しましょう。
移動しながらも、天候の様子を気にかけるようにします。特に風ですね。アプリなどの予報で大まかな天候はつかんでいても、現地に近づくにつれ、予報とは違う気象になっていることもあります。特に山岳地帯に向かう場合は、風向きと強さに注意です。雲の流れ、日差しが出ているかなど、刻々と変化する天気を注意しておきます。風は、高速道路などの吹流し、コンビニエンスストアの駐車場などにあるのぼり、木々の葉っぱ、電線などを頼りに見ておきます。
電車・バスなどの公共交通機関を利用する方は、時刻表を抑えておいて、帰りの時間の目安をつけておきましょう。
空撮スポット到着時にすること
到着後、機材の展開場所を確認し、準備に入ります。ロケハン済みであれば、スムースに機材展開できると思います。
もし、機材の展開場所含め、離着陸ポイント、空撮空域等の管理をされている方と現地でお会いできるようであれば、空撮する前にご挨拶をしておきます。今回の空撮に協力いただいた旨のお礼をあらためて直接お伝えします。
このようにして、現地の管理者や地権者とつながりを作っておくことは非常に重要です。ドローン空撮に理解を示し、協力いただいたことに感謝をし、次回の空撮の際にも快く応じていただけるように、しっかりとお礼を伝えておきます。
機材展開場所は、車の方であれば、最低でも駐車場に停めた車で組み立てを行うようにします。駐車場の一角など、広く平らな場所が確保できているのであればそこで展開します。
また、離着陸ポイントからの地上ロケハンも再度実施します。
・離着陸ポイントに第三者の出入りはあるか、出入りがある場合、人出は多いか。
・目視できる範囲で、空撮予定の空域に障害物はないか。
こうした点には再三注意し、もし第三者の出入りが比較的多いようであれば、離着陸ポイントを変更するとか、第三者が機体の離着陸時に近づかないように補助者に指示したりするなど、当日直前にできる対策を打ちます。
障害物が、飛行予定空域に想定以上に邪魔しているようであれば、想定していた空撮経路などを変更します。特に電線は要注意です。
ドローン飛行直前にすること
いよいよ飛行させる直前となりました。すでにロケハンして、障害物などの有無の確認をしつつ、頭の中ではどのように撮影するか、いくつかの空撮映像を想像で思い起こしていることと思います。
空撮直前は、機体を組み立てつつ、いくつかのチェックを再度行います。機体の状況、プロペラの傷などの状況、ジンバルの状況などを組み立てつつ確認します。
離着陸ポイントは、平坦な場所を見つけ、草、石などが邪魔にならず、砂ぼこりなどが立ちにくい場所を選定し、必要ならランディングパッドを敷きます。
直前に確認する項目は、以下のようなものがあります。
SDカードの挿入を忘れていないか確認する
前日の準備で挿入済みのはずですが、再度確認します。カードのフォーマットも確認しておいたほうがいいでしょう。
NDフィルタを選定する
日差しの状況を見て、NDフィルタを選定し装着します。日が出る前から撮影する場合、日の出後には相当の早さで光量が変化していきますので、適切なタイミングでNDフィルタを変更します。
私はどのような場合でもND4を標準で装着しておき、日差しが強くなるに従い、数値を上げていきます。
ドローン動作設定の確認をする
最低でも、モードの設定とセンサー類の状態は必ず確認するようにしましょう。
モードの設定
以前に機体の貸し借りなどを行った場合、モードを変更している可能性もあります。モード1か2かの確認をしておきます。
センサー類の状態
空撮対象によってはスムースな映像を撮影するために意図的にセンサーを切る場合がありますが、そうでない場合はセンサーをオンにしておきます。
最大高度の設定
150m以上の高度の許可をとっていない場合は、最高高度を149mにセットしておきます。空港等の飛行制限空域のように上限が決まっている場合は、適切な数値に変更します。
最大距離の設定
設定なしでも構いませんが、可能であれば目視できる範囲に距離設定しておくと安心です。
RTH高度の確認
フェールセーフがかかり、リターントゥホームが発動した場合の高さを設定しておきます。周囲にある最も高いものを越えるだけの高さに設定しておくと安心です。
フェールセーフは、広い場所での空撮なら、「リターントゥホーム」(「ゴーホーム」)に設定します。場所によっては「ホバリング」設定しておくことが良い場合もあります。例えば、森の中などで、ある一定の高さに枝が茂っているような場所であるとか、急激にRTH高度まで機体の上昇をさせないために、「ホバリング」を設定します。
カメラ設定
マニュアルで設定します。空撮しながらも都度変更する項目ですが、最初に、ビデオサイズ、ホワイトバランス、シャッタースピード、絞りなどをセットしておきます。
ビデオサイズは指定されているようであれば、そのサイズにします。4KもしくはフルHDあたりで撮影することになるでしょう。シャッタースピードは、最初はフレームレートがいくつかにより設定します。30fpsであれば、1/30秒か、1/60秒などとします。
GPSの捕捉状況
ホームポイントが更新されたことを確認します。
アームし、離陸を行ったら、スティック操作が正常にできることを軽く確認し、いよいよ空撮に臨みます。