日本政府は2月28日、ドローンの登録制度を導入することを閣議決定しました。これに伴い航空法の改正を行い、2022年を目処にドローン機体や所有者の情報を国に登録することを義務付ける方針です。
ドローンに個人IDを発行
この改正により、今後はドローンを飛ばすには所有者の氏名や住所、使用するドローンの種類や型式などをネットで事前登録することが義務付けられます。また、これに違反した場合は罰則が科せられます。
車のナンバープレートのように個々でIDを取得し、IDが印刷されたシールをドローンに貼り付けるといった制度を導入予定とのことです。ドローンの安全な制度設計のために、日本のルールが変わろうとしています。
ドローンによるトラブルが相次いだ2019年
ドローンは撮影や測量、農薬散布など、活用分野が年々拡大しています。半面、2018年度は国土交通省にトラブルや事故に関する報告が七十七件ありました。2019年11月にはドローンによるトラブルが相次ぎ、連日メディアを騒がせました。
関西国際空港の滑走路周辺でドローンの様なものが飛んでいるのを地上作業員が目撃。国土交通省大阪航空局は同日15日ごろから滑走路を2本とも閉鎖し、全ての飛行機の離着陸が停止し、その影響は非常に大きなものでした。
国交相は閣議記者会見でドローン対策について「空港付近で検知するシステムの導入を加速し、警備態勢も強化したい」などと述べ、今後のドローン規制のあり方を検討する見通しです。また、この際に目撃されたドローンはどれも身元不明で、誰が操縦していたのか未だに解らないままです。
海外でも進む、ドローンの登録義務
中国では実名でのドローン登録がすでに義務付けられていました。ですが、このシステムは以前から存在していたものの、情報を適当に入力しても登録できてしまうことから問題が多発。登録のシステム構造に問題があったと言わざるを得ませんでした。
また、アメリカでは外国人がドローン飛行を行うためには、所有するドローンを入国時に登録することが法律で定められています。登録はこちらのアメリカ連邦航空局(FAA)のホームページで行うことができます。何かトラブルが起きた際にすぐに対処できる様に、また違法な危険ドローンは飛行ができない様ルールを徹底しています。
今後は日本に限らず、世界でドローンについての法整備が急ピッチで進んでいくとみられています。
商用化に向けドローンの安全な制度設計を
ドローンの所有者と機体情報の登録は、事故やトラブル発生時に所有者を特定しやすくする狙いがあり、非常事態の際にスムーズな対応を可能にします。
2015年の航空法改正により、ドローンはDIDの上空や、空港周辺は国の許可なく飛行できなくなりました。従来は重さ200グラム未満の機体はこのルールの一部対象外でしたが、国交省は今後「全ての機体の登録義務化も選択肢」としています。
日本政府はドローンの安全な制度設計に向けて、今後も慎重に検討していく方針です。