皆さんは、ドローンの空撮に行く前にどんな準備をしていますか?もし家のすぐ近くに何時でも自由にドローンを飛ばせる場所があったとしたならば、あなたはとてもラッキーな人です。
しかし、多くの人は空撮をしに行くのにそれなりの準備が必要です。
今回の記事では特に空撮初心者の方々に向けて、空撮に行く前にどのような準備をすればいいのかを整理し、ご紹介したいと思います。
もくじ
空撮をすると決めたら準備すること3つ
まずは、空撮予定地と空撮予定日(予定期間)を決めます。これを決めたら現地の関係各所に届出をしたり、連絡をいれたりするなどのいわゆる「許可取り」という活動が始まるのですが、それについてはまた別の機会にお伝えします。
ここでは関係各所に連絡済みという前提で、準備すべきことを説明します。
①FISS(ドローン情報基盤システム(飛行情報共有機能))に登録する
この説明も今回は省きますが、国交省の飛行マニュアルを使う限りFISSへの登録は必須となっています。忘れがちかもしれませんが、事前にしっかり登録をしておきましょう。
②現地と当日の天気をこまめにチェックしておく
毎日こまめに天気をチェックして、当日の天候を予測しておきましょう。季節にもよりますが梅雨や台風のシーズンとなれば、空撮のリスケや中止を検討しなければいけない可能性もあります。特に台風などは、進路が分かれば早めのリスケを判断できますので、週間天気予報に注意しておくようにしましょう。
③ロケハンを実施する
日程に余裕があり現地ロケハンが可能であれば、ロケハンを実施しましょう。
その際のポイントは概ね以下になります。
・離発着場所は確保できそうか
・第三者の空撮空域直下への侵入や移動はあるか
・空撮空域内に障害物はないか
・(可能なら)GPS捕捉状況はどうか、電波干渉はあるか、etc
このくらいのポイントが事前にロケハンで把握できていれば、当日の空撮について準備万端で臨むことができます。
特に障害物の有無は重要です。障害物とは主に、電柱・電線、木、鉄塔、などが考えられます。この中でも電線は危険な障害物の一つです。電線は、離陸地点から目視で見えづらい場所に張られていたり、プロポのモニターでも発見できなかったりすることが多いです。
プロのドローンパイロットでも電線に引っ掛けることもあるくらいです。ロケハンの機会があれば、電線の張られている位置の把握をしておきましょう。河、ダム、田園を通る道の脇などは、特に電柱と電線が空域にあることが多いので、そのような場所での空撮はしっかりと確認しておきましょう。
ロケハンの結果、例えば、「離発着場所のスペースが不足」とか「時間帯によって第三者の出入りが多い」とか、明らかに課題となる事象を発見できる時もあります。課題を見つけたら当日までに、例えば「補助者を増やして離陸場所を確保する」とか「第三者の少ない時間帯にリスケする」といった対策を打っておきましょう。
空撮予定地によっては、現地ロケハンが難しい場合もあります。そのような場合は、最低でもGoogle mapなどの地図情報アプリを用いて、現地の地形を確認するようにしてください。障害物の確認は地図アプリ上では難しいですし、第三者の侵入も予測しにくいですが、周囲の建物や道路などの地形で想像できることもあります。
例えば、空撮空域近くに地図上で旅館を見つけた際は旅館のホームページを検索しましょう。旅館の施設に露天風呂などがあるような場合は、この空域での飛行は変更したほうが無難でしょう。もしくは旅館に連絡し、露天風呂の運営に問題のない時間帯を聞くことができるかもしれません。こうした調整を事前にできることがロケハンの意義といえます。
ドローン空撮前夜に準備すること
空撮前夜には主にドローン本体の確認などに時間を使います。主な確認ポイントは以下になります。
①機体の外形のチェックをする(ひび、破損、汚れなどがないか)
②プロペラのチェックをする(ひび、破損、汚れなどがないか)
この2点は、甘く考えずにしっかり見ておいた方がいいです。特に機体を購入してから時間が経っていたり、中古品を購入したりしている場合は注意が必要です。経年劣化もありますし前回空撮で気づかなかった傷や亀裂があるかもしれません。機体を磨きながら細かい部分までチェックをするようにしましょう。
③ファームウェアのバージョンアップをする
プロポと接続して機体の電源を入れた際、ファームウェアのバージョンアップを促すメッセージが出ることがあります。
数年前には「急いで新しいバージョンアップをしないほうがいい」という考え方もありましたが、できればバージョンアップしておいたほうが良いと思います。(これは考え方次第ですが、古いバージョンはどうせいつか使えなくなるからです。)
バージョンアップ後の最初のフライトは動作確認をしっかりと行うようにしてください。また、iPadなどのOSのバージョンアップや、DJI Go4などのDJIアプリのバージョンアップについても同様の考え方です。
④バッテリーを満充電にする
持っているだけの全てのバッテリーを満充電にします。プロポやiPadなどもしっかり充電しておきましょう。

(写真_充電の様子)
⑤SDカードをセットする
あらかじめ空撮に使用する機体すべてにフォーマット済みのSDカードをセットしておきます。現地でもできますが事前にセットしておくと現地で余裕を持って空撮に臨めると思います。また、SDカードについてどのくらいのサイズを何枚くらい持っていた方がいいか、という質問もよくあります。
SDカードのサイズは32GBが価格的にも妥当ではないでしょうか。この時、撮影のビデオサイズが4KなのかフルHDなのかなどによっても、適切なSDカードのサイズは変わると思います。4Kでの撮影をするのであれば、32GB以上を積んでいても良いかと思います。初心者のうちはバッテリーの本数分持っていれば足りるでしょう。

(写真_SDカード)
⑥他に必要な道具を準備する
ドローン空撮の際はどのようなものが必要になるか、一気に羅列します。ここでは、車で現地に向かうことを想定しています。もし公共交通機関などで向かう場合には、この中から必要最低限のものに絞って準備します。
・許可証等のコピー
・プロペラガード
・予備のプロペラ(1セット。最低でもCW/CCWを1枚ずつ)
・予備のケーブル類(ライトニング等)
・充電器
・NDフィルター(ND4、ND8、ND16、ND32まであると十分かと思います。)
・ランディングパッド
・サンシェードカバー
・送信機ストラップ
・風速計
・帽子
・サングラス
・飲料・食料
真夏のドローン空撮の場合
ドローン空撮は季節によって必要なものが変わります。
ここからは真夏の場合と真冬の場合、二つのパターンで必要なアイテムをご紹介します。
・冷感スプレー、アイスノン、冷えピタなどの冷感グッズ(特に冷えピタなどは、iPadの裏に張ると熱暴走を緩和します。)
・クーラーボックス(氷などを入れて、水分に気をつけながらバッテリーを冷やします。小型冷蔵庫を持ってくる人もいます。)
・虫よけスプレー、携帯用蚊取り線香(山や森などの場所で空撮する場合に持っていた方が絶対良いです。マダニ対策必須です。)
真冬のドローン空撮の場合
・ホカロンなどの保温グッズ(自分を温めるためにも使いますが、バッテリー類を保温するために使います。クーラーボックスにホカロンなどを入れて温めます。)
・指先の開いた手袋(パイロットの手を守ります。)
その他、余裕があれば・・・
・充電用の小型バッテリー(ドローンのバッテリーを充電します)
・折り畳みのパイプ椅子、折り畳みのテーブル
・ヘッドライト(これは、日没まで撮影し、その後、日が落ちてから撤収作業をしたり、駐車場まで歩いたりするときに使います。)
これらを前夜までにしっかり準備しバッグ等に収納します。現地までの行程を確認し、予定通りに現地に到着できるように十分に身体を休め、睡眠も十分に摂りましょう。

(写真_持ち物一式)
まずはここまでで事前の準備としては十分かと思います。
特に空撮初心者の方は「持ち物リスト」を作って確認するくらいに、入念に準備をしたほうがいいかと思います。回を重ねて空撮するごとに、この準備の工程が手慣れたものになっていきます。