ドローン飛行許可、申請手続きの手順を徹底解説

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ドローン空撮の際に、最も注意しなければいけないのが『ドローン飛行に関する許可申請』です。機体重量200g以上のドローンは飛行場所によってはわずかな時間の空撮でも許可承認が必要になり、現場によって申請方法が異なります。

今回の記事では、今までの経験や検証結果から、ドローンの飛行申請について解説していきます。

ドローン飛行、許可書があれば飛ばせるの?

無人航空機を飛行させるには、日本では国土交通省の許可書が必要です。正確には「無人航空機の飛行に係る許可・承認書」と言います。(以降、「許可書」と略します。)

実際の記載例は下記リンク記事に全て掲載しています。

【実例サンプル】『無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書』の書き方

承認手続きをして許可書を手に入れても、ドローンをどこでも飛ばせるわけではありません。一口に許可と言っても、飛行エリアと飛行の目的、そして飛行方法によって様々です

許可書は、全ての飛行方法の許可承認が得られるわけではありません。その飛行の目的と照らし合わせて妥当と判断されれば承認され、許可が下ります。飛行目的に即して飛行条件や飛行方法が適切かを審議されることになります。

許可の必要な飛行空域条件   

航空法により、飛行が規制されている空域は次の3つです。

(A)空港等の周辺の上空の空域

(B)150m以上の高さの空域

(C)人口集中地区の上空

少しだけ、知識の幅を広げます。

「(A)空港等の周辺の上空の空域」は「制限表面」というものがあり、その場所によって飛行できる高度が決められています。

それと「空港等」という言葉。具体的にはどこが含まれるのでしょうか。ここに関しては航空法第75条を見ます。ここに、「空港等は、陸上空港等、陸上ヘリポート、水上空港等及び水上ヘリポートの四種類とする。」とあります。

さらに「陸上空港等」と「水上空港等」もありますが、これの示すところは明記されている箇所は見つかりませんでした。「空港」に関しては、空港法に具体的な空港名とともに記されています。

許可の必要な飛行方法

次に、飛行方法については、令和元年9月18日付で以下のようになりました

[1]飲酒時の飛行禁止

[2]飛行前確認

[3]衝突予防

[4]危険な飛行の禁止

[5]夜間飛行

[6]目視外飛行

[7]30m未満の飛行

[8]イベント上空飛行

[9]危険物輸送

[10]物件投下

このうち承認が必要なのは、[5]から[10]になります。

このうち、通常の空撮で確実に必要となる項目は、少なくとも、

[6]目視外飛行

[7]30m未満の飛行

になります。

「目視外飛行」は、機体から目を離した瞬間から目視外になりますプロポのモニターを見続けていれば、その時点で「目視外飛行」です従って、どんな空撮をするにしても、「目視外飛行」の許可は取らなければなりません

また、「30m未満の飛行」ですが、これは、「人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること」となっています。第三者又は第三者の物件、ということになりますので、補助者や顧客などの飛行に関係する人物は対象に含まれません。また、物件についても顧客や関係者の所有物である場合は、第三者の物件には該当しないので、対象に含まれません。

とは言え、日本においては様々な第三者及び第三者の物件が飛行するエリアに散在している可能性が高く、全ての対象物から30m以上の距離を取るのは現実的には難しいと考えられるため、これについても許可を取る事をおすすめします

これは後に説明する国交省推奨の飛行マニュアルの記載にあるのですが、「30m未満の飛行」は飛行時に限って第三者及び第三者物件に30m以内で飛行して良いというもので、離着陸については別です。離着陸時は、たとえ許可をもらっていても、30m離れた場所で離着陸させる必要があります。

その他は、飛行の目的に応じて都度申請するようにします

特別なイベントで空撮したい場合

ドローンでイベント撮影をしたいという方も多いのではないでしょうか。

例えば花火撮影。空撮の中でも難易度は高いのですが、この花火撮影の場合に必要となるのが、先ほどの2つに加え、

(B)150m以上の高さの空域

[5]夜間飛行

[8]イベント上空飛行

になります。「夜間飛行」は花火空撮や、暗い時間での撮影には必須です。

夜間の場合、特に離発着で注意が必要で、下方センサーが付いている機体の場合、着陸時に地面との距離が測れずに不安定になる場合があります。カンテラなどの光源を置き、離着陸ポイントが明るく照らされるようにします

イベントでのドローン空撮には「イベント上空飛行」の許可も必須です

この場合のイベントは、不特定多数の集団が形成される催し物を指します。どういうことかと言いますと、もし集まっている人たちが全て関係者で、関係者以外は誰も周辺にいない、となればそれはイベントとは定義されません見物人のように、第三者が集まってくるような催し物をイベントと呼びます。

このイベントでの空撮は、高度を何m上げるかによって、人の立ち入りを禁止するエリアを確保しないといけません。20mの高度で30m以上の禁止エリアを用意します。高度によってその広さは広がります。

飛行の高度      立入禁止区域

20m未満       飛行範囲の外周から30m以内の範囲

20m以上50m未満  飛行範囲の外周から40m以内の範囲

50m以上100m未満  飛行範囲の外周から60m以内の範囲

100m以上150m未満  飛行範囲の外周から70m以内の範囲

150m以上       飛行範囲の外周から落下距離(当該距離が70m未満の場合にあっては、70mとする。)以内の範囲

花火は大尺玉になると200m以上も上がります。ドローンはさらにその上から花火を撮影しますので、149m以下という航空法の規制を超えた高度な飛行の許可も必要になります。

このように、一口に許可と言っても、その飛行目的によって許可に必要な項目も変わります。全部の許可を1年間の包括で取得したいところですが、それは難しく、特にイベント上空については都度申請することとなっています

飛行マニュアルに準じた飛行

さて、許可といった場合、許可書の発行は国交省が行いますが、これ以外に許可書と名の付くものはありません。(厳密には、飛行場所の用途によっては、交通規制のための道路使用許可、河川の用途を妨げるほどの使用による特別河川使用許可などがあります。最も、ドローン空撮でそこまでの許可が必要になることは、通常の空撮では少ないかもしれません。)

ただし、もし国交省の飛行マニュアルに準じて飛行する、という条件で国交省の許可書を取得している場合は、まずはこの飛行マニュアルに記載されている内容にも注意が必要になります。実際に多くの方が、国交省飛行マニュアルに準じた飛行で申請していると思います。

例えば、国交省の飛行マニュアルでは、病院、学校、発電所などの上空の飛行を禁止しています。

飛行マニュアル :  http://www.mlit.go.jp/common/001218180.pdf

もし、こうした場所を空撮したい場合は、飛行マニュアルの記載を変更して申請する必要があります。

ここでは、飛行マニュアルの中の記載の中でも、地権者等の土地管理者に関係していると考えられる項目に着目します。飛行マニュアルの5ページ、「3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制」の項目のいくつかを見てみます。

「飛行場所付近の人又は物件への影響をあらかじめ現地で確認・評価し、補助員の増員、事前周知、物件管理者等との調整を行う」

「公園、河川、港湾等で飛行させる場合には、管理者により飛行が禁止されている場所でないか、あらかじめ確認する」

このような記載があり、「物件管理者等との調整」や「管理者に・・・あらかじめ確認」することが義務付けられています。ここが、許可ではないが、必ず言質を取得する行為として必要となる部分になります。

ここで言う「物件管理者」や「管理者」は、厳密には「地権者」とは異なりますが、空撮をする私たちは、地権者を含めて、その土地を管理している人たちに、空撮をする旨を伝える義務があることになります。ここでは、これらの地権者を含めた管理者を「土地管理者」と呼ぶことにしましょう。

「土地管理者」を探し出し空撮する旨を伝えるにはどうしたら良いか。これが、ここまで長々書いてきましたが、この記事の根本のテーマです。

空撮する場所と時期が決まり、「土地管理者」にその旨を伝える際に、「土地管理者」が誰だかわからないことが往々にしてあります。

地域に問い合わせをする

最初に問い合わせていただきたいのは、その土地のある市区町村です。市役所や町役場の中に観光課等がありますが、役所ごとにドローン空撮について相談できる課の名称は異なりますので、代表電話や総務課などに問い合わせ、適切な部署を教えてもらいます。電話の場合、多くは転送してもらえませんので、窓口が分かったら改めて電話をかけ直します。

また、ホームページに、担当課のメールアドレスが書かれている場合があります。このアドレス宛に問い合わせしても良いですが、メールに反応してくれる市区町村と、そうでない市区町村と、まだまだ対応がばらばらです。メールはかなりの確率で待たされることになりますので、基本は電話をかけるようにしてください。

役所の担当者に、自分が何者かを伝えます。この時、個人より法人の方が担当者も安心して話を聞いてくれるようです。ドローンで空撮したい目的、日時、場所を伝えます。そして、自分が国交省の許可書を取得していることも伝えます。

役所担当者に確認したいことは次の3点です。

1.空撮したいと考えているが気をつけなければいけないことは何か?

2.他に連絡しておいた方が良いところはどこか?

3.(最後に)今後もこの部署に問い合わせして良いか、と、ご担当の名前と連絡先(できればメールが望ましい)

市役所は相談を受け付けてくれますが、決して許可を出すところではありません。そこで聞き方としては、1のような聞き方になります。

自治体によっては、同時期にその地域でイベント開催を予定していたりします。これも地域は限定されますが、昨今の観光客事情や、近隣住民の反応などを思慮される自治体もあります。面と向かって飛ばさないでほしいとは言いませんが、ニュアンスとしてそのように伝えてくる役所もあります。相手の立場になって、その上でどうしたら希望の空撮が可能かの落としどころを探りながら、担当者と話し合います。

自治体によっては、役所組織の中に「フィルムコミッション」を設置しているところもあります。ここは、こうした撮影について相談にのってもらえますので、ここにも一報を入れるようにします。特に、ロケ地でよく使われる場所などは、テレビ局や映画撮影などが行われ、タイミングが重なることもあります。そうした情報もフィルムコミッションから聞くことができます。

次に声をかけた方が良いのが、飛行場所のエリアの観光協会です。観光協会にも確認したいことも同じく先述の3点になります。

観光協会は、観光地の最新の情報を把握していて、例えば空撮したい日時に、観光客がどの程度訪れているか、だとか、あるいは冬季であれば通行止めになっている道があるといった飛行場所の詳細情報を教えてもらう事ができます。

役所や観光協会に、2点目の「他に連絡しておいたほうが良いところ」を聞くことにより、連絡すべきところの情報も得ることができます。これも地域や飛行場所によって様々です。

飛行場所が、主に、山、河川、海によって、問い合わせる場所が異なります。まずは、市区町村役場と観光協会に空撮する旨を伝え、次に連絡すべき場所を教えてもらいましょう。

これを実践して、空撮エリアを拡げるごとに、その空撮エリアの自分なりの管轄組織リストを作り上げていくと、次の空撮の際の問い合わせが楽になります。

編集後記

ドローンの飛行申請は状況によって変化するなど複雑ではありますが、全ての方にとって安心で安全なドローン空撮をするためには必須の事となります。お仕事で空撮をされる方はもちろん、趣味でドローン空撮をされる方へ、この記事が参考になれば幸いです。




2020.05.29