ドローンは中国製のものが世界シェア約70%を誇ると言われています。
アメリカでは、組織内でのドローンの使用を2020年も引き続き停止すると発表。2019年はドローンを悪用したサイバー攻撃やテロ攻撃などが目立つ年でもあったことから、海外製ドローンに対するセキュリティ上の懸念が関係しています。
国産ドローンを積極的に開発し、導入していく。そんな動きが日本でも始まりました。
2021年までに国産ドローンに置き換える。
今回発表されたプロジェクトとは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「安心安全なドローン基盤技術開発」というものです。NEDOは2020年春に一般公募を開始し、このプロジェクトを実施する企業を5社発表しました。
プロジェクトは「委託事業」「助成事業」の二つに別れており、「委託事業」には自律制御システム研究所(ACSL)、ヤマハ発動機、NTTドコモが選ばれました。「助成事業」には同じく自律制御システム研究所(ACSL)、ヤマハ発動機、そしてザクティ(大阪市)、先端力学シミュレーション研究所(埼玉県和光市)が。
このプロジェクトは、政府調達向けを想定した高い飛行性能・操縦性、セキュリティを実現するドローンの標準機体設計・開発およびフライトコントローラー標準基盤設計・開発を実施します。性能検証のために関係省庁等と連携しながら試作機を用いてフィードバックを繰り返し、性能をブラッシュアップしていくとのことです。
助成事業としては研究・開発される標準仕様に合致する機体、並びに主要部品の量産・供給・保守体制の構築や、継続的な性能・機能をブラッシュアップする体制の構築を支援していくとのことです。開発費は2019年度の日本政府補正予算の16億円をあて、事業期間は2021年2月までで、2021年内の市場投入を目指しています。
進む国産ドローンの導入。
物流やインフラ点検などで利活用が期待されるドローンですが、その反面で、スパイ活動やサイバー攻撃、テロなどの悪用が懸念されてきました。
日本政府は、国産ドローンの普及に向けた支援を拡大することを発表。国内での製品開発を後押しするために、資金調達を優遇する法案を2020年2月に国会へ提出するなど、インフラ点検や災害対策の政府調達を広げる見通しです。
国内でも海上保安庁が2020年から中国製ドローンの購入や活用を保留する方針を固めました。報道によれば海上保安庁は機密情報漏洩の危険性を遮断するために、来年度予算案に中国製ドローンを他国製品に転換するための費用を反映する見通しです。
このニュースを受け、国内でドローンの開発や販売を行うドローンメーカーの株価が急上昇しています。救難現場の撮影や警戒監視に活用している数十機のドローンを他機種に切り替えるという政府の発表は、国内メーカーにとって大きなチャンスになりそうです。
また政府は、質の高い国産ドローン開発を後押しするために、情報面の安全性などを要件に資金調達を優遇する法案を2月にも国会に提出する見通しです。インフラ点検や災害対策など政府調達も広げていき、国産ドローンを使用した新サービス育成を進めていくとのことです。