茨城県北茨城地域は、ほとんど名所の存在を知られていませんが、空撮するにはもってこいの場所が各所に存在します。太平洋側にはジオパークに類する地層や岩場も多いですし、海水浴場のある浜辺は、近くを常磐線が走っているロケーションもありますし、魅力的な形の灯台も多くあります。山側には、有名な袋田の滝をはじめ、大小様々な滝、さらには湖、川など豊富に存在します。
このように、さまざまな空撮素材が点在する茨城県北部ですが、今回はその中でもダムを取り上げたいと思います。ダムを撮影するための準備や、撮影中の注意点などについて、お伝えしたいと思います。
もくじ
ドローン空撮する際は自治体にお問い合わせを
(注意)本記事では、許可や届出先についての詳細を記しませんが、どの空撮スポットも事前に市役所等への連絡や届出が必要になります。それぞれのスポットについて空撮する場合は、自治体などにお問い合わせをお願いします。
ダムというロケーションは、山奥にあり、水を貯める湖(ダム湖)と水を流す河川がセットになっており、もちろん周囲は山に囲まれています。この自然豊かなロケーションに人工物であるダムが佇み、時にどっしりと構え、時に轟々と大量の水を放流し、その凄まじさを見せつけてきます。凄まじさもありながら、自然と融和した美しさもある。こうした素晴らしい素材をぜひ空撮映像で残してみましょう。
今回ご紹介するのは、茨城県北部のダムの中から、以下のダムになります。
ドローン空撮におすすめの茨城県北部のダム
花貫ダム[茨城県高萩市秋山字板木]
近くに花貫さくら公園があります。また、少し歩きますが、国の登録有形文化財であるめがね橋もあり、これもちょっとした空撮ができます。堤高45.3M。河川は花貫川です。
小山ダム[茨城県高萩市大字横川字向]
ダム湖はこやま湖です。堤高65m。河川は大北川です。
十王ダム[茨城県日立市十王町友部字道保内]
近くに十王パノラマ公園があります。1時間に1回、10分間の噴水が上がります。堤高48.6m。河川は十王川です。
水沼ダム[茨城県北茨城市華川町小豆畑]
ダムそのものよりも河川である花園川が美しいロケーションです。堤高33.7m。河川は、花園川です。
ドローンでダムを撮影する前の準備
こうしたダムを撮影するために事前の準備は欠かせません。
では、どのような準備をすることになるのでしょうか。
ダムの情報を事前に調べる。
ダム撮影する場合に事前に知っておきたいことがいくつかあります。
ダムの場所
場所については、ほぼネットで調べることができますので、事前に地図上で確認しておきます。ダムの立地上、移動は車になると思いますので、ナビに登録しておきます。
可能なら、駐車場の位置(稀に駐車スペースが狭いダムもあります)も確認しておきます。
ダムの高さ
堤高(ていこう。ダム高とも言います。)は絶対に確認しておきましょう。これもネット上で検索し確認することができます。
堤高は、基礎地盤からダムの最も高い部分までの高さを言います。この時欄干や照明灯などは含みません。
この高さを理解しておくと、ドローンの最高高度の設定をどのようにすれば良いか理解できます。例えば、小山ダムの例ですと、堤高は65mです。このときダム湖(小山湖)側から離陸した場合、84m以上の高度で飛行してダムの堤体を越えて放流している側に飛行させると、最高高度149mを越えてしまいます。
このようなことを事前に防ぐために、例えばこの小山ダムの例では、最初から最高高度を84mに設定し飛行させます。
これが、ダムが放流している大北川の方から離陸する場合は、通常通り最高高度の制限を149mにして問題ありません。
周辺の建築物
ダムという設備の特性上、周辺に発電所や変電所があることも多いです。
国交省の飛行マニュアルでは、発電所や変電所の付近の飛行をしないことになっています。
(無人航空機飛行マニュアル 3-1 11項目目 ・高圧線、変電所、電波塔及び無線施設等の施設付近では飛行させない。)
例えば、小山ダムの場合は、大北川の下流に横川発電所が地図上で確認できます。その付近の飛行はしないよう、位置の確認をして飛行経路のプランを練ります。
周辺の障害物
ダムに限らずではありますが、周辺の高い位置の障害物の有無を確認します。主に、木、電線、電柱、看板、鉄塔、アンテナなどです。
特に電線は、離陸位置の周辺は確認できても、飛行経路途中にあるかどうかが重要です。飛行中の確認はかなり困難なため、できるだけ事前の下見ができるようであればしておきましょう。
飛行時に注意を払う
ダムに限らないことではありますが、飛行直前には、以下の確認をします。
風向・風速
山の中にあるダムは、風が強く吹くことは比較的多いです。離陸地点では穏やかであっても、高度をあげると意外に強風が吹いている、などということもしょっちゅうです。
山の天気は変わりやすく、風が急に強くなったり、みるみる雨雲が迫ってきたりなどの、天候の急変は普通に起こりますので、十分注意しながら空撮するようにします。
一方で風がない時のダム湖の美しさは、まるで鏡のようです。そういう天候の際に空撮できることは非常にラッキーです。
GPS状況
多くは視界の開けたダム湖が多いので、GPSの捕捉状態も良いことが多いのですが、気を付けたいのはダムの堤体に近づいての撮影の時です。
近づきすぎた場合に、GPS捕捉状況が変わり、ATTIモードに切り替わるようなことも考えられます。できれば、ダム堤体へ極端に近づくようなことはしないようにしましょう。GPSだけでなく、風向・風速も急に変わることもあります。また、ダム頂上部から離陸させ、ダムの下方に降ろしていくような飛行経路の場合も、電波が途切れることが想定されるので、慎重に飛行させるようにしましょう。
スマートフォンの電波が入らなくなることも
少し余談になりますが、ダムは山奥にある場合もあることから、スマートフォンの電波が全く入らないような場所にあることも多々あります。
グループで空撮に行った場合に、連絡が取れなくなるようなこともありますので、そういう場所もある、ということを認識して計画しましょう。
このように、事前準備、そして飛行直前の注意点は、ドローンを扱っている者は皆さん心得ているとは思うのですが、特にダムなどの重要インフラ設備上空を飛行させる際には、いつも以上に慎重に準備し、慎重に慎重を重ねて飛行させてほしいと思います。