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【国内ドローンニュース】落ちない・落とさないための「予知保全技術」を開発するDPMSsがジャパンドローン2022に初出展

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こんにちは!外資系ドローン企業のしゃちょーことエアロダインジャパンの伊藤英です。

本格的に梅雨入りが始まり、ドローンが飛ばしにくい季節となりましたが皆様はどうお過ごしでしょうか?

梅雨の季語といえば、日本のドローン業界ではジャパンドローンと言っても過言ではない!昨年に引き続き今年も幕張でリアル開催が行われるジャパンドローン2022では、初出展のGMOが今回出展社の中でも最大規模のブースを構えていたり、次世代エアモビリティEXPOも同時開催されたりと、業界に新しい風が吹き荒れそうな予感がしていますね。

さて、今日はそのジャパンドローン展の中でも、たった1コマという最小ブースで展開している企業の中から、私伊藤が完全に個人の見解でキラリと光るものを感じた「DPMSs合同会社」を取材させていただきました。

 

 

山岡高広代表に取材!

DPMSsは飛行中の機体や周辺の気象状況を機体に取り付けたセンサにより監視し、不具合が発生する前に問題を可視化し事故回避制御する、「落ちない・落とさないための予知保全」技術を開発しています。ドローンにとっての快適な飛行とは何なのか?そしてその飛行が実現すると、どのように社会は変わるのか?ジャパン・ドローン出展直前の山岡高広代表にお話を伺ってきました。

*写真右がDPMSs代表の山岡高広氏、左は伊藤(筆者)

 

伊藤:どの様なミッションを掲げた会社か?お聞かせください。

山岡CEO:「予知保全社会の実現」を企業理念に掲げております。予知保全が一部の業界では当たり前なりつつある昨今ですが、まだまだ日本社会は予防保全、事後保全に頼っている部分が大きいと思います。予知保全を社会に拡げ、危険・リスクを最小限し安全安心の社会にするのが弊社のミッションです。その代表が、創業以前より力を入れております、ドローンへの予知保全です。

 

伊藤:ドローン業界のベンチャーとしては参入は遅い気がします。なぜこの時期に参入されたのでしょうか?

山岡CEO:ドローンは自立制御のハイテクノロジー化によって安全性はとても成長しましたが、免許制度や航空法などの法整備はこれからです。また墜落のニュースも度々報道されております。

落ちた時のリスクが非常に高いドローン業界こそ、予知保全が必要と考え参入しました。

 

伊藤:具体的にはどの様な技術でしょうか。

山岡CEO:これまで墜落前の予兆を、予知できる仕組みを開発して参りました。特徴的なセンサや画像処理技術を持つパートナーさんにご協力頂きながらデータ取りを行いまして、我々のAIが危険判断を行うといった形です。また我々のAI技術を可視化し使いやすくするために、どんな事を感じどの様に考えたか説明可能なAI「XAI」化に取り組んでおります。

 

伊藤:具体的にはどんなサービス展開を検討されておりますでしょうか。

山岡CEO:飛行時に、自立制御やオペレーター操作、自動運行に対して常に外乱を受ける機体はどの様な状態であったかを第三者的な目でチェックを行います。危険があれば、警告する事で危険の少ない運航に切り替える等を検討しております。また飛行前、帰着時に機体のセルフチェック(ドローンスキャンツール)を行う事で必要な箇所に必要なメンテナンスが可能になると考えております。

実証データが集まってくれば、ユーザーさんに安全で省エネな操縦方法をFBしたり、制御プログラムの更なる向上のためのFBを出来ると考えております。また、過渡期にあるドローンは今後使用される台数が増えると共に事故の件数も増えると考えており、その際に制御やGPS等のメーカーだけが持つログ情報だけでは、真因を突き止めにくいと考えております。真因を突き止め日々成長する事こそ予知保全の有り方と考えております。

我々のこのサービスを「iDaaS」と呼んでおり、①ドローン車検(DSS)、②セルフ点検、➂教習所、④中古販売、⑤保険等への展開を検討中です。

*ジャパン・ドローン展での配布物には、特許出願中の文字も見える

 

伊藤:エアモビリティ市場も活発になっておりますが、どの様に見られておりますか。

山岡CEO:無人航空機であればより安全安心を求められる事は基より、民間人が乗る事を想定しますと、快適性が強く求められる事になると考えております。目的を果たすためだけの制御に加えて、搭乗者に配慮した快適な制御が求められる事が大きな特徴となります。快適性をターゲットにした予知保全の開発をしていく事で、近い将来、空飛ぶクルマも実現するのではないでしょうか。

 

伊藤:6月21日から始まるジャパンドローン展への出展もされるとのことですが。

山岡CEO:今は我々の事業を広く知って頂き段階です。出展こそベンチャー枠でありますが、実証検証の様子や結果を分かりやすく伝える事が出来る準備が出来ております。沢山の方にご来場いただき、今後研究開発に繋げられるように、多くのユーザーさんの声を拾える環境づくりのきっかけになればと考えています。

 

伊藤:どの様な将来像を描いておりますか?

山岡CEO:これまで我々の検証結果では、早期にハードの開発に移れば2023年度中には完成すると考えておりますが、ドローン展をきっかけに新たな気づきがあれば、そのソリューションを取り込んでいきたいと考えておりますので、2024年の社会実装開始を目指しております。また2026年までにセルフチェックビジネスとして国内シェア20%。ドローン車検(DSS)として100%を目標に活動しております。

 

取材後記

近年はドローンのオペレーションが複雑化しており、機体操作には①機体製造をしているマニュファクチャー、②自律飛行をつかさどるプログラムを作ったソフト企業、そして③機体を現場で操縦するオペレーターと、最低でも3者のステークホルダーが登場することが多い。

しかしながら、万が一オペレーション中に事故が発生してしまった場合、いったい誰の責任で事故が起きたのか、この原因を究明するのが非常に難しいのが課題と考えている。万が一事故が発生した際に、第三者的な立ち位置で事故発生時の機体の置かれていた環境情報や機体の制動情報をアーカイブ出来るシステムがあると、事故責任の所在が明確になる。

安心安全な運用というものが誰によって、且つどのように担保されているのかを明確に出来るため、ドローンの社会受容性を醸成するには重要な動きではないかと筆者は考える。

日本は海と山に囲まれた地形から複雑な風が吹き荒れ、且つ四季折々の気象条件もあるので、世界の中でも非常にフライトの難易度が高い国だと思っている。その証拠に、欧米で開発している風力発電機は、日本に持ち込むと耐用年数を持たずして故障するケースが多いのだそうだ。

マイクロウェザーを監視するドップラーライダーなどの技術も進んではいるものの、中山間地域など物流ドローンが最初に実装されるであろう過疎地域においては、機材の設置コストが膨大になってしまうという課題がある。

その点、DPMSsのエッジ解析技術があれば、機体側にセンサーを取り付けるだけで済むので、一気に普及できる可能性があると考えている。

さらには日本では石橋を叩いて渡るかのごとく、安心安全のオペレーションのための徹底的なリスク管理意識が根付いている。

日本市場における世界有数の難易度の高い気象条件と徹底した品質管理を求める国民性は、世界の中でも予知保全技術を鍛えるのに最高の環境ではないかと考える。そのため、日本で作り上げた標準規格が、近い将来海外の安全安心のモデルとなり、世界中のドローンやエアモビリティーのオペレーションを支える日も来るのではないかと考えている。

 

出展概要

【展示会名】Japan Drone 2022

【展示会公式サイト】https://ssl.japan-drone.com/

【会期】2022年6月21日(火)~23日(木) 10:00~17:00

【会場】幕張メッセ

【出展社】DPMSs合同会社

【ブース】AM-20(SONYブース向かい)

【出展社HP】https://www.dpms.co.jp

 

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2022.06.20