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【ドローンオペレーションのニュースタンダード!】DJIが新ドローンシステムを発表

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DJI Enterpriseは、日本時間の3月21日22時に新製品発表会を実施。プロドローンオペレーター向けのオールインワンオペレーションを発表しました。

発表内容は以下の通り。

・ハイパワーかつ持ち運びも便利な業務用ドローンMatrice30シリーズ
・ドローンの飛行計画、フライト、データ管理を遠隔で行えるDJI Flight Hub2
・ドローンの収納、離着陸、充電を自動で行うDJI Dock
・DJI M300 RTKの夜間飛行をサポートするスターライトセンサー搭載Zenmuse H20N

 

これらの製品により、従来の産業用ドローン運用で課題であった、機動性、省力化、飛行の自動化と管理の一元化を一気に推し進められ、次世代のオペレーションを実現させます

「DJI Enterpriseは、人命救助やインフラ管理、自然保護のようなミッションに革新をもたらし、従事している人員をサポートする新しいドローンソリューションの研究と開発に尽力しています。卓越した性能と優れた携帯性・操作性を備えたDJI Matrice 30シリーズドローン、ドローン業務管理用クラウドソフトウェアDJI FlightHub 2とドローンドックDJI Dockの連携により、DJIは、自律型ソリューション分野に参入を考えている企業ユーザーの皆様に、目視外でのドローンオペレーションが実行できる環境を提供します(※現地の法規制に準拠し、許可を受ける必要があります) 。次世代空撮ツールを発表することができ、とても誇りに思っています。今回の製品は、人命救助などの緊急対応ミッション、エネルギー事業における調査業務、環境保護、文化遺産のデジタル化や保護のような多様な分野で、包括的なサポートを提供することで、働く人々の負担を軽減し、業務自体の質を向上させます。」

本記事では、発表内容や各製品の特徴について分かりやすく説明します。

▼参考
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000238.000015765.html

幅広い活用が期待できるパワフルかつ携帯性に優れたDJI Matrice30

出典:YouTube

DJI Matrice30シリーズは、リュックに収まるコンパクトサイズのDJI Enterpriseフラグシップドローンです。

大きさは対角寸法668mmでInspire2より少し大きめです(Inspire2:605mm)
また、重量は約3.8kgでこれはバッテリーを抜いた状態のMatrice300RTKとほぼ同じです(約3.6kg)。
気になる飛行時間は41分と充分なスペックを誇っております。

機体を見た筆者の感想としては、スキッド(脚部)の取付をしなくてよいため、現場に行った際の展開は非常に楽になるのではないかと思いました。
まさにMatrice 300 RTKとMavic 2 Enterpriseの良いとこどりをした機体といえるでしょう!

 

出典:YouTube

MATRICE 30には2種類のラインナップが用意されており、それぞれに決まったカメラが搭載されております。1つはM30と呼ばれるカメラが搭載され、もう1つはM30Tというものが搭載されております。2つの違いはサーマルカメラの有無です。
MATRICE 300 RTKのH20/H20Tと同じような構成になっています。

MATRICE 300 RTKの性能に引けを取らないほどのカメラを搭載しているM30シリーズ。これは点検・監視などの現場のオペレーションに革命が起きそうです。

DJI Matrice30シリーズの特徴

1.どんな天候条件下でもしっかり動く頑丈な空撮プラットフォーム

今までは機体が防塵・防水を謳ってもペイロード(カメラ)が対応していないため、悪条件のフライトがなかなかできずにいました。H20シリーズでIP44と保護等級が明記されたときには現場から喜びの声が上がったものです。

今回、IP55をカメラでもクリアし、より強い防塵防水性能を手に入れました。これにより、さらに安全なフライトが可能になっています

2.ユーザーデータを安全に保護するデータセキュリティレベルの高さ

データ保護もMATRICE 300と同じAES暗号化プロトコルを用いるため、高い安全性と機密性を保ちながらフライトができます
また、オフラインアップデートに対応しているため、機体自体をネットワーク環境に接続する必要がありません高いセキュリティを求められる防衛、官公庁分野にも安全に使用していただける機体です。

パイロットからのニーズに対応!業務用送信機DJI RC Plus

出典:YouTube

送信機も、スマート送信機の形から一新されました。

以前のスマート送信機はスティックの持ち方によっては画面が隠れてしまうことや、画面が下側だったのでパイロットの目線移動が大きくなってしまうこともありましたが、今回はスティックが画面の横につきましたので、不安点が解消されています

またバッテリーの持続時間もスマート送信機より単独でも2.5時間から3時間へ外部バッテリー使用時だと4.5時間から6.5時間へ増えました。個人的には、日本の出力時の充電時間がとても気になるところです。

また、今回のアップデートのもう一つの目玉が、物理スイッチが増えたことです。
産業機をお使いの方ならCENDENCEプロポを思い出した方もいらっしゃるのではないでしょうか。

従来のスマート送信機では、割り当て機能が少なかったため、直感的な操作が難しかったと思われた方もいらっしゃったかと思います。

今回は、画像で見る限りでも新たに6つの物理スイッチが配されています多様かつ直感的な操作が容易になるはずです。
機体はSDKに対応しているため、今後自社開発したモジュールの割り当てにカスタムボタンを使えば、より広い用途での対応が期待できるでしょう。

状況認識力と機能性がアップデートされたDJI FlightHub2

DJIのFlighthubといえばパイロットの飛行時間や機体情報などの一元管理と、機体画面の遠隔確認ができるソフトとして販売されていました。しかしこれらは惜しくも開発が終了しています。

それがFlighthub2という形で帰ってきたのはとてもうれしいことです。
従来までの機能はそのまま継承し、さらにはFlighthub2上で飛行ミッションの作成も可能になり、クラウドサーバーにアップロードされるため、現場とオフィスがシームレスに連携でき、より使いやすいソフトになりました

今現在、日本での発売は未定ですが、ぜひとも販売されてほしいものですね。

搭載されている主な機能

ワンタッチ パノラマ機能

ワンタッチで360°のパノラマ画像を作成し、該当ミッションの2.5Dベースマップに上乗せされます。

クラウドマッピング機能

ユーザーが対象エリアをハイライト表示すると、M30がそのエリアを自動的に2Dマッピング化します。データ上の地図にオルソ画像を上乗せして表示できるため、現場の詳細な状況をチーム内の誰でも確認をすることができ、素早い情報収集が必要な緊急時にも対応できます。

ドローン飛行を遠隔で操作できるDJI Dock

出典:YouTube

DJI DOCKは機体のホームポイントとして機能し、自動で給電を行ってくれるドックになっております。
従来のオペレーションは、離陸させて指定した場所に着陸まではできましたが、充電は人力で行わなければならなかったため、結局は人の力が毎回必要でした。

しかし、DJI DOCKを用いることですべてが自動化できます。毎回同じ飛行をする監視のような現場では、省力化に直結するソリューションになりそうです。M30製品ラインのエコシステムは従来のDJI製品よりも格段にパワーアップしているといえます。

余談ですがティーザーサイトの画像はこのドックとM30だったようですね。

▼参考
https://www.dji.com/jp/dock

夜間飛行を強力にサポートするZenmuse H20N

出典:YouTube

最後にもう一つ、と発表されたのがこのH20N。しっかりMATRICE 300専用ペイロードも開発されていることから、これからもMATRICE 300もフラッグシップの産業用ドローンとしてあり続けることがよくわかりました

基本的なカメラ性能はH20Tと同じですが、スターライトセンサーという名の暗視センサーが付き、より夜間業務での使い勝手を向上させたものとなっています。

H20Tにもナイトモードが搭載されておりましたが、やはり人間の目にも見えない暗所では性能の限界がありました。
今回はよりその機能を発展させたものと考えてよいでしょう。

普段なら飛行しない環境でも飛行させなきゃならない場面が、MATRICE 300とH20シリーズの組み合わせにはたくさんあります。今回のH20Nはそのような需要に対応したカメラといえます。
捜索や監視の現場で高い評価を得ているH20ですが、これにより更に夜間での使い勝手も向上し、より高い評価を得るカメラとなりそうです。

編集後記

今まで、ドローンは人間の仕事の効率化に寄与することを目的に開発・活用されてきたにも関わらず最終的には人間が介入しなくてはいけない場面が発生してしまうことが多くありました。結果としてしなくてよい仕事が増えてしまっているケースもあります。

今回の機体と周辺機器、ソフトウェアによって、従来まで抱えていたドローン運用の弱点はかなり解消されると思います。
特に自動着陸と給電は、各社研究開発を積極的に進めている分野でした。その領域において、機体メーカーであるDJIが先駆的な発表をしたことは業界全体を揺るがす出来事だったといえるでしょう。

今回の新製品により、DJIというメーカー1つの製品だけで作業の自動化が可能になります。ユーザーが使いやすいドローンシステムを構築できることは間違いないでしょう。

 




 

2022.03.23